もうひとこと:2024年9月号「注目人事のシン・制度」取材後記
創業以来掲げる「協創」の文化を浸透させるために、ドリーム・アーツ社が人事と広報のコラボレーションで取り組んでいるのが『新・未来通信』だ。Web型社内報『新・未来通信』の一番の特徴は、何といっても全社員参加型という完全オープン性にある。「隠れたリーダーの魅力を全社に向けて発信する」と人事が強調すれば、「コロナ禍入社世代にも楽しく文化を継承させていきたい」と広報も期待を寄せる。喜びも苦労も共有しながら職場文化の醸成を図るためにも、同期という大切な絆を次の同期たちへとつないでいくためにも、共に未来をつくる同社の施策が今、面白い。

もうひとこと:2024年10月号「訪問!隣の人事さん」取材後記
数あるIT企業の中でも、その独自性のあるワークスタイルから求職者たちから注目を集めている網屋。全国550ヵ所で利用できるサテライトオフィスをはじめ、働きながら休暇を楽しむワーケーションの整備にも力を入れている。そんな自由度の高い職場環境の中からは、社員発案による『100人プロジェクト』も誕生した。「『100人プロジェクト』は、2014年3月から4年間かけて取り組む若手エンジニア育成プロジェクトです。人事主導ではなく社員の発案、しかも若手社員によるプロジェクトであることが最大のポイントです。なぜなら風通しの良さの証明だからです」とはCHROの声。成長著しい企業の"人事の肝"がここにあった。

もうひとこと:2024年7月号「注目人事のシン・制度」取材後記
十人十色のカラフルなキャリアの実現のために、ウィルグループで始まった女性活躍推進プロジェクトの名は『ウィルカラ』。2021年から始まった同プロジェクトは現在3期目に入り、各部署から自発的に集まった女性メンバーたちが今、周囲の男性たちを"楽しく"巻き込んで進化し続けている。ちなみに、"楽しく"巻き込まれた男性陣の反応も上々で、「さらなる男性の育児参画が女性の職場復帰のカギ」との共通認識が職場に根付いてきている。「合言葉は「『女活』という言葉がなくなるその日のために」。ウィルグループの『ウィルカラ』は、その目的達成に向けてフル稼働中だ。

もうひとこと:2024年8月号「訪問!隣の人事さん」取材後記
100人の普通よりも1人のタレントを求めて、リファラルで採用した人材たちと共に会社を共に創っていくのがTalentXの人事である。そんな同社には、社員1人ひとりがオーナーシップを持ち、自社の魅力を語ることができる人材になるための人事施策が充実している。なりたい自分に挑戦できる『ポテチャレ制度』、会社の近くに住むだけで20万円もらえる『かいちか!制度』、勝者のメンタリティを学ぶ『CULTURE DAY』などなど、HR業界の歴史を変える会社になるための熱き視点で展開する同社自慢の人事施策の数々を、「これでもか!」と紹介した次第です。

もうひとこと:2024年6月号「注目人事のシン・制度」取材後記
「カルチャーを知ることで立ち返れる場所をつくりたい」と、組織力強化に向けた『カルチャーデック』(Culture Deck)の作成に踏み出したギークス。既存社員の1人ひとりに、あるいは、ギークスに入りたいと思っている求職者に対して、「なりたい自分」「なれる自分」をイメージしてもらうための、いわば往くべき道を教えてくれる新時代の"ガイドブック"だ。コロナ禍以降、働く場所は1つではなくなったからこそ、これからの企業経営に求められるのはカルチャーの共有なのではないか…と、そんなことを考え出した企業の新たな挑戦でもある。

もうひとこと:2024年5月号「訪問!隣の人事さん」取材後記
SUPER STUDIO社の人事的価値観は、ズバリ「何をやるかより、誰とやるか」というもの。創業以来、採用の主軸となっているリファラル採用においても、決して"誰でもいい"とはならない。そこで重要になってくるのが、「CULTUREを言葉にする」取り組みである。同社には『7つのCULTURE』が制定されており、その浸透こそが相互理解につながるというわけである。「ただエンゲージメントスコアを良くするのではなく、組織を良くするためにはどうするべきかにこだわった結果です」と、人事領域を管掌する人事パーソンの言葉が光る。

もうひとこと:2024年4月号「注目人事のシン・制度」取材後記
「働き方改革」というと、どこか"上"からの目線で半強制的にやらされている感も否めないが、「"働く"という価値を社員が自ら選び取る」という目線で考えてみるとどうなるだろう? そんな新しい角度から独自の働き方改革に挑み、「みんなが幸せ」という成果を生んだ会社がある。社名はちょっと風変わりな『かっこ株式会社』。働く時間も選ばなければ、働く場所も選ばないオールフリーさで今、国内のみならず海外からも優秀な人材が集まってくる。今回はそんなかっこの『フレキシブルワーク制度』にフォーカスした。

もうひとこと:2023年9月号「訪問!隣の人事さん」取材後記
誰もが"ウズウズ働く"ことができる職場を創造して発足したのが、第二新卒・既卒・フリーター向けに就業支援事業、教育研修事業を展開しているUZUZ。GPTWジャパンが主催する2023年版『働きがいのある会社ランキング』小規模部門において、4年連続でベストカンパニーに選ばれている注目の企業だ。社歴や経験に関係なく、誰もが職場改善に向けて「一言ものもーす!」ことができる職場には、「have to」より「want to」重視の主体性を持った働き方が定着している。ちなみに、「フィードバック思考は×、フィードフォワード思考は○」というふうに評価されたりもする。「人事の仕事の究極は、組織のカルチャー創りにあるのではないでしょうか」。そう語るのは、自身も新卒入社半年後に1ヵ月半で退職し、フリーターを経て、第二新卒として大手人材サービス会社で活躍した経験のある常務取締役の川原敬史さんである。労働人口の減少に歯止めがかけられない今、誰もが"ウズウズ働く"ことが求められているのではないだろうか。

もうひとこと:2023年7月号「訪問!隣の人事さん」取材後記
リゾートバイトに特化した人材派遣に取り組んでいるオンリーワン企業のダイブ。学歴や資格は一切問わず、「人間力」にフィーチャーした採用を心がけている。「就活のゴールは入社式ではなく入社半年後に置く」「立場を守ろうとする上司は評価されない仕組みを設ける」など、独自な視点に基づいた人事施策がてんこ盛りだ。「自分が挑戦したいことに向かって、フルスイングする姿勢を讃え合う社風なので、時に"会社っていいものだな"と、涙を流す者が大勢いたりするのです」と語るのは、人事部長の佐々木義郎さんである。「人はできないから学ぶ、できないことができるようになるから楽しいと、そんなふうに思ってもらえる企業であり続けたいですね」と、人事部長の視線も温かさビームが満載だ。

もうひとこと:2023年6月号「ロングインタビュー」取材後記
「事業の継続は技術力と、人間力の両輪があってこそ」。そう語るのは御年75歳の山ア孝助さん。日本屈指のものづくりの町・東京都大田区で東横システムを起業し、これまで「新家族主義」の掛け声の下、"社員1人ひとりを子ども"として育て上げてきたハートフルな親父さんである。ところが残念ながら時代は変わり、そんな「べたべた感」を嫌う新世代の社員たちが増えてきた。すでに息子に後継の道を託すことは伝えてはいるが、コミュニケーションがぎくしゃくしている感は否めない様子である。「日本はこの先、どうなるんですかね?」。変わるべきものと変えてはいけないものの狭間に揺れる、古き良き完全昭和型のニッポンの経営者の憂いに焦点を当てた今回のロングインタビューです。

もうひとこと:2023年5月号「訪問!隣の人事さん」取材後記
国籍の異なる多様なメンバーが集い、ロボティクスで物流DXに挑戦しているベンチャー企業のラピュタロボティクス。ベンチャーとはいえ国内の自律走行搬送ロボットシェアでは、すでにトップを走っている注目の企業だ。「6〜7割のメンバーは国外に家族がいます。日本で結婚したメンバーも少なくありません。なので、彼らにとって"アウェイ"な日本を、"ホーム"にするという視点を大切にしています」と語るのは、タレントアクイジョン&マーケティングマネージャーの田渕恵理子さん。事業が目まぐるしく成長するなか、それぞれのメンバーが自身の強みを発揮できるよう、風通しの抜群な職場創造に努めている。

もうひとこと:2023年3月号「訪問!隣の人事さん」取材後記
空き家再生事業のリーディングカンパニー「カチタス」。新入社員すべてが営業職という環境を人事の強みに、求める人材像は『Open×Active×Tough×Clever!!!』。社会貢献性のある事業を採用へのこだわりとして昇華させている。毎週木曜日の1時間はアポ入れをせず、全員がオンライン研修に参加するなど、従業員規模700名超の規模らしくない団結力も健在。コーポレートスローガンは『家に価値タス』だが、“人に価値タス”心意気こそ人事さんたちの真骨頂であった。

もうひとこと:2023年2月号「ロングインタビュー」取材後記
「辞めてほしくない人材を“辞める前提で採る”のが採用のポイント」と語るのが、国内最大級のビジネスSNS『Wantedly』を運営するウォンテッドリーの大谷昌継さん。大谷さんは昨年、『すごい採用−考え方を変えれば採用はうまくいく』を上梓した。なぜ辞める前提で人を採用するのか…。「ジョブ型採用が主流になりつつある今、自分自身でキャリアを選択することが当たり前になってくるからです。要は“転職しなさそうな人”を採用するよりは“辞める前提で採る”ほうが健全であるという逆転の発想です」。採用重視に偏ることなく、これからは“選ばれる側”の人事へと進化していくことが求められているのである。

もうひとこと:2022年12月号「訪問!隣の人事さん」取材後記
インフルエンサー広告を中心に、Web広告で強みを発揮している株式会社ナハト。2022年には『ベストベンチャー100』にも選ばれた同社は今、半期だけで1,300名ものキャリアたちが面接にやってくるほど人気がある。ちなみに採用枠は20名。同社の人事は“狭き門”ゆえのプラスアルファも大切にしている。「ご縁を結ぶことができなかった圧倒的多数の皆さんにも、ナハトで話ができて良かったと、そんなプレシャスな時間を提供するのもこれからの人事に必要なことと考えています」とは人事トップの声。社員の成長と会社の成長をリンクさせることを目標に、創業5年目、平均年齢26歳と若い職場のチャレンジが始まっている。

もうひとこと:2022年11月号「ロングインタビュー」取材後記
「あなたには、誰もついていきたくないって知ってます?」。ある日突然、信頼している部下からこう言われたら、あなた、どうします? 「めまいがして、何も聞こえなくなったんです」と語るのは、かつてその当事者であった“元上司”の本田英貴さんである。「休職して初めて見えてきたのは、上司としての思い上がりでした」と本田さんは語る。出口の見えないコロナ禍のなか、1on1ミーティングを介して、部下の本音を聞き出しながら、新たなコミュニケーションを創り出そうと努めている上司の皆さんもきっと多いことだろう。だから今、必要になるのは“組織内のかけ違いを、世の中からなくす”という熱い想いである。今回のインタビューには、その実践のヒントがギュッと濃縮されている。

もうひとこと:2022年10月号「ロングインタビュー」取材後記
例えば、「弊社はダシ屋です」という相手と名刺交換をしたら、「どんなおダシを取り扱っているんですか?」と、聞いてみるのが普通かもしれない。しかし、相手は鰹節でもサバ節でもなく、「企業が本来持っている個性」を“おダシ”と位置づけているのである。株式会社インビジョンの人事は今、より人間味を出していくための“おダシ”と、HRテクノロジーや仕組みで無駄を省いていく“アク取り”をベースとして採用方法で成果を上げている。吉田誠吾さんは「世の中に“仕事っておもしろい”と、心の底からそう言える大人たちが日本中に出てきたら、最高に楽しい国になると思うんですけどねえ」と終始軽妙に話してくれた。

もうひとこと:2022年9月号「訪問!隣の人事さん」取材後記
新卒か中途かにかかわらず、誰もがフラットに発信できる職場が、モバイルサービス事業&フィナンシャルサービス事業のセレス。新卒入社直後から始まる「新規事業立案研修」では、初期投資額1億円、3年後には利益ベースで1億円を稼ぐという前代未聞の壁に挑むフレッシュマンたちがいる。「新しい視座」を育て、「相思相愛」にこだわって“配属ガチャ”からの脱皮を図り、志さえあれば誰もが成長できる職場環境も用意されている。「当社は“最初の縁”を大切にする職場なんです」とは人事トップの声。そうなんです。『訪問!隣の人事さん』では毎回、自社の人事を徹底的に自慢してもらっているんです。次回も隣の芝生ならぬ、隣の人事さんの工夫とこだわりに乞うご期待!

もうひとこと:2022年8月号「訪問!隣の人事さん」取材後記
学生時代に部活動や試合に出場し活躍したことがある、いわゆる「スポーツ人財」「体育会人財」が集うスポーツフィールド。各々が抱く「スポーツの持つ可能性」を追求しながら、それぞれのパフォーマンスが最大限に活きる働き方を模索するという、ちょっと異次元な人事が魅力の会社である。まず求めるのは「この人と一緒に働きたいと目線を合わせる」こと。そして目指すのは「井の中の蛙ではなく、市場価値を高める人財」という。年間133日の休日休暇の設定で公私共の充実を期するなど、「これ、いいでしょう」と自慢したくなる人事施策にフォーカスした。

もうひとこと:2022年8月号「ロングインタビュー」取材後記
2022年5月、『働きやすさこそ最強の企業戦略である』を上梓した特定社会保険労務士の大槻智之さん。“悩める人事パーソン”からの相談は多種多様で、しかもひっきりなしという。「世の中はいくら働き方改革といっても、意外にも長時間労働時間の是正を嫌う人もいるんです」と語るかと思えば、「なんでもハラスメントと決めつけるには無理がある」と、次々と興味深い話を。悩み解消の特効薬について伺うと、「誰にでもできる人事から、誰にもできない人事への脱却です」。『誠心誠意尽くす』『約束を守る』『知ったかぶりをしない』を信頼の3原則として、今日も悩める人事パーソンのお悩み解決に努める男の生き方もまた面白い。

もうひとこと:2022年6月号「ロングインタビュー」取材後記
まだ少し肌寒い3月中旬に、新潟へ。「友達経営」なるユニークな経営で成長するフラー(株)の渋谷修太さんに会うためだ。オフィスに入るとコタツがある。そこで仕事をする人がいる。「コタツに入って仕事ができる会社なんです」と笑う渋谷さん。そのココロを聞くと、「心理的安全性のための重要アイテムなんです」と回答。なるほど、リモートワークでもいいよという会社の方針に反して、働く仲間たちとのコミュニケーションを求めて、みんなが進んで“コタツにあたりに来る”のである。「生まれ故郷の新潟に拠点を作って、本当に人が集まるのか心配でしたが、新潟から未来を創ろうと、僕と同じことを考える人が大勢やってくるんです」。各自が働く場所を自由に選択できるようにと今、新潟から独自の働き方改革を進めている。

もうひとこと:2022年4月号「CHROはかく語りき」取材後記
誰もが一度は目で見て、耳で聞き、そして覚えたアートネイチャーのCМ。しかし、商品を必要としない…というか、そもそも同社の商品にはまだ縁遠い若者たちが就活生となると、新卒採用は難しくなる…。ということで、そのギャップを埋めるべく日々、人財戦略に挑戦を重ねているのが、アートネイチャー人財開発室の皆さんである。記事中では、人財開発室が取り組む“あの手この手”のチャレンジメニューを紹介。日本初の総合毛髪企業として、業界を牽引するリーディングカンパニーの底力が垣間見えた。

もうひとこと:2022年3月号「ロングインタビュー」取材後記
今号の『ロングインタビュー』には、定年退職まで“人事のプロ”であり続けた横山俊宏ささんが登場。人事マンとして過ごした約40年間の人生を振り返り、「大切なことは、時代に振り回されることなく、人事の本質を見失わないことです」と語る。人を相手にするだけに、そもそも“人事の型”などないのかもしれないが、いやいやどうして、型もあれば軸もあるというのが横山流の人事の世界である。「自分以外の眼を持つと、信頼される人事になる」。これから人事部門で活躍する人にぜひ参考にしてほしい、この人と1時間。

もうひとこと:2022年2月号「CHROはかく語りき」取材後記
そもそも「企業理念は石碑に刻むものではない」というところから、企業活動がスタートしているサイボウズ。『理想への共感』『多様な個性を重視』『公明正大』『自立と議論』の4つをキーワードに、常に1人ひとりの社員が“決断を迫られる”職場でもある……なんて書くと、人によっては「そんなに緊迫した職場なの?」と思うかもしれない。ところがどうして、自部の言葉で仕事をする文化が定着し、オンラインによる雑談も日夜花盛り。社内の誰もが議論の中身を知ることができ、在宅勤務のコンディション管理にも配慮が行き届いた職場なのである。ちなみに人事本部のモットーは「当たり前を疑う姿勢」。常に理想的な職場を創造し続けるサイボウズ独自の人事施策にフォーカスしました。

もうひとこと:2021年12月号「CHROはかく語りき」取材後記
近頃のHR界では「社内で褒め合う」という文化が定着しつつある。その礎を築いたといわれているのがUnipos株式会社。同社は今、社員1人ひとりの行動に対する報酬を「感情報酬」と定義して、社員の成長に役立てている。CHROの言葉を借りれば、「頑張っている縁の下の力持ちをちゃんと称える精神が身近にあれば、組織だけじゃなく社会全体も、もっと良くなると思うんです」となる。長引くコロナ騒ぎで「分断」が社会問題となっている昨今、青臭いと言われようが、人が人を正しく評価できる環境の整備は人事にとって重要なことだと思う。相変わらず自宅で仕事をしている人にも、久しぶりにオフィスで仕事をしている人にも、「俺はずっと電車に乗って毎日通勤しているけど、何か?」という人にも読んでほしい、今回の『CHROはかく語りき』。さあ、頑張っている人を知っているなら、今日からその人に感情報酬を贈りましょう!

もうひとこと:2022年1月号「ロングインタビュー」取材後記
もしも、「給与も賞与も、社員みんなで決めてます」という職場があったら、あなた、信じられますか?…というわけで、インタビューを試みた今月の『ロングインタビュー』。主人公は、「せっかくの小企業なんだから、大企業にできないことをやってやろうと思ってるの」と笑うIT企業の副社長・新免玲子さん。人材育成のキモを伺うと、「愛です!」と明快。「うちの会社は忖度禁止!」「先輩も上司も疑って一人前」「白黒はっきり、グレーなし!」などなど、心に残る名言の数々を披露してもらった。

もうひとこと:2021年11月号「ロングンタビュー」取材後記
企業理念に『そこまでやるか、をつぎつぎと。』を掲げる、包装機メーカーの川島製作所。「私はもう“包装機メーカー”という概念を捨てようとみんなに言ってるんです」と言うのは、同社5代目の伊早坂嗣社長である。その理由を聞けば、「次の世代には何物にも縛られない自由な感覚で、明治45年から続く老舗の看板を継承してもらいたいから」と潔い。「人はよく顧客満足などと言いますが、それは結局、お客様の想定内のこと。それに対して私たちは、『えっ! そこまでやるの?』という感動を与えたいのです」。人に感動を与える会社とは何か? 老舗企業の挑戦に終わりはないようだ。

もうひとこと:2021年9月号「CHROはかく語りき」取材後記
「個と組織をポジティブに変革する」ことを掲げて成長を続けている人材ビジネスのウィルグループ。組織が5年後も10年後も強くあり続けるために今、「新卒採用でもガンガン踏み込んで勝負」をしている。そのテーマは、「熱い!賢い!気持ちいい!」。新たな人事に取り組む際の意思決定の速さも自慢なら、同時に進化し続けるのが同社の人事本部の強みでもある。「結局は1人ひとりの存在意義が重要なんです」とCHRO。出勤前にサーフィンする人も、南の島からコーチングする人も、副業で正義のパンチを繰り出すボクサーもいる摩訶不思議な“人事部”の魅力をお届け!

もうひとこと:2021年8月号「ロングインタビュー」取材後記
これまではどことなく“後ろめたい”雰囲気の中で行われてきた「副業」だが、昨今は堂々と「副業してます!」と宣言できる時代になった。人はなぜ副業を選択するのだろうか。そこで今回、ご登場願ったキーマンが『専業禁止!』の清水正樹氏。「そもそも副業を望む人材は優秀であり、そのような方々のチャレンジの場を広げることは、本業に返ってくるメリットも大きい」と語る。副業という“越境体験”を推進することで見えてくるのは、人と組織の成長を促すマネジメントの極意かも…。

もうひとこと:2021年7月号「CHROはかく語りき」取材後記
今回の『CHROはかく語りき』はアトラエ。中途採用に際して、人材と向き合うのは人事部…ではなくて、従業員が「僕が」「私が」と手を挙げて採用担当者となるのがアトラエ流。コロナ禍でオフィスを縮小する企業が相次ぐなか、逆にオフィス環境の整備に乗り出し、リアルな面談から生まれるアイデアを商機へと変えるのもアトラエ流。評価制度も社員全員でつくるから、誰もが自分事として人事と向き合うメリットも生まれる。人事の中心者は語った。「奇跡のコーポレート部門と呼ばれたいのです」。1人ひとりが経営者となって人事を担う面白さを堪能するアトラエワールドを体感した取材でした。

もうひとこと:2021年5月号「ロングインタビュー」取材後記
誰にでもある「コンプレックス」にスポットを当て、コンプレックスこそ営業の最高の武器になることを提唱する中北朋宏さん。元芸人というキャリアを生かして、コメディとコミュニケーションを合わせた「コメディケーション」で、今よりも何百倍も強い“俺”を創ることを仕掛ける『株式会社 俺』の人事系コンサルタントでもある。「最強の自分を創るために手っ取り早いのは“職場の師匠”を見つけ、弟子入りし、自分を育ててもらうことなんです」とアドバイス。果たして、どんな職場にも“師匠”は、いるのか、いないのか…。「今の世の中をもうちょっと面白くしたい」と夢見る人たちに贈る、中北流“愛”のメッセージをどうぞ。

もうひとこと:2021年4月号「CHROはかく語りき」取材後記
今回の「CHRO」は、先端技術・マーケティングを融合させたシステム開発・コンサルティング事業のドリーム・アーツ編。組織を強くするためのキーワードは「協創」で、関係者は、「組織の現場力を磨き、さらに強靭にするうえで最も重要なキーワード」と断言。そんな同社では今、コロナ禍のなかで、朝のオンライン会がルーティン化したり、拠点間の距離をなくした在宅勤務が定着。また、従来からある「発信し合う文化」を強みに、オンラインイベントを盛大に開催するなど、エンターテインメントな仕掛けも超ド級。「クリエイティブで型にはまらない人事でこれからも」と、その取り組みはとことんポジティブ。ご一読を!

もうひとこと:2021年3月号「ロングインタビュー」取材後記
「ひきこもり」と聞いてあなたはどう思う? 今回のロングインタビューにご登場いただいた佐藤啓さんは「ひきこもり界隈は人材の宝庫です」と明言。さらには「ひきこもりの人っていたって普通の人」とも。そんな佐藤さんが興こした会社が『株式会社ウチらめっちゃ細かいんで』、略して「めちゃコマ」。納期もなければ目標設定をしないめちゃコマは今、右肩上がりで成長中。「そんなばかな…」と思ったあなたにこそ、ご一読願いたい8ページ。ストレスなしで安全・安心に働くことができる異次元の職場、「心理的安全性」に満ちためちゃコマの世界にご案内!

もうひとこと:2021年2月号「CHROはかく語りき」取材後記
今回は東京・渋谷区にある「最も感動を与えた会社」ギークス。感動を“与える”ではなく“与えた”というのは、初めから利益を求めるのではなく、自社が提供するサービスで感動をもらったその後に、しっかりと利益がついてくるという考え方があるから。なんだかこれ、100年以上続く老舗企業が誇る『先義後利』とリンクしていて面白い。そんな経営に直結する人事を担うのは「コーポレートデザイン部」の皆さん。「人事の仕事は黒子的な部分が非常に多いものです。しかし、だからといって単なる事務処理をしているつもりは全くありません。逆に、事業と経営の発展のために貢献し続けている誇りがあります。それはまた、事業発展のベースをつくっているという想いでもあり、私たちのやりがいにつながっています」。企業の勢いそのままにCHROが語りに語った言葉からは次代の人事が見えてくる。

もうひとこと:2021年1月号「ロングインタビュー」取材後記
ある時、取材先の人事スタッフから「Uniposって知ってますか?」と聞かれた記者。簡単にいうと、同じ職場で働く“あの人”の陰の活躍を社員同士で評価し、ポイントを贈り合うWebサービスのことだった。「ならば!」と、それを世の中に送り出した人のもとへ。待っていたのは今回のFringe81(株)の斉藤知明さんである。斉藤さんは、「褒め合う文化・習慣が職場に根づけば、自ずと組織は成長へと向かうんです」と断言。その言葉を信じるか、信じないかはあなた次第。ただこれだけははっきり言うことができる。「褒めたほうが絶対に得!」と。さあ今年は、思い切って褒める人になってみませんか?

もうひとこと:2020年12月号「CHROはかく語り」取材後記
「CHRO=人事最高責任者」といっても、企業によってその名称を付けなかったり、別の名前で人事部門のトップを務めていたりと多種多様。そんな人事のトップが何を考えているのかを知りたくて、始まった連載が『CHROはかく語りき』である。「思いっきり人事の自慢をしてください」というと、初めこそ「そうは言われても…」と尻込みする場合もあるにはあるが、「よくよく考えてみるとうちの人事ってスゴイかも?」という視点で語れば、出るわ出るわの"わが社のいいところ"で大盛り上がり。今回は「蛍は清水でしか生きられない」と謎の言葉でヒートアップする『アイル』の皆さんです!!

もうひとこと:2020年10月号「老舗のDNA」取材後記
『印刷テクノロジーで、世界を変える。』 2025年を目標に、社会的価値創造企業という新たな企業像に向け、挑戦を続けている凸版印刷の心意気である。「トッパンは1900年の創業時から、常に変革と挑戦を繰り返し、成長してきた企業なのです」と、代表取締役副社長執行役員の大久保伸一さん。前例のない仕事でも断らず、挑み続ける姿勢は同社のDNAでもある。今回の取材では、「ダイバーシティ&インクルージョン」に取り組むダイバーシティ推進室の模様、注目の『同性パートナー制度』の中身など、"120年企業"の大胆な人事改革にもフォーカス。あなたの知らないトッパンの世界へ。

もうひとこと:2020年9月号「ロングインタビュー」取材後記
新型コロナウイルス感染拡大の状況下、「複業家」の中村龍太さんに初めてコンタクトを取ったのが3月のこと。直接会って会話ができたのは緊急事態宣言解除後の5月末だった。中村さんはサイボウズの社長室に所属するビジネスパーソンでありながら、ドローン撮影とそのレクチャーを行う個人会社の代表、さらには農業まで始めた「ポートフォリオワーカー」である。「僕の場合、副業ではなく複業なんです。複業は特別なものではなく、むしろ多様な自分を生きるための働き方なのです」。ウィズコロナの時代に突入した今、働き方の新たなあり方を真剣に考える人たちにぜひご一読願いたい。

もうひとこと:2020年6月号「ロングインタビュー」取材後記
企業がグローバル人事を展開するにあたり、「グローバル人事を、日本で、日本語で、日本人だけで議論してはいけない」と提言する有賀誠さん。これまで、職責範囲として、「グローバル」「アジア・パシフィック」「日本」と3種類の人事を経験した、文字通りグローバルな人事マンである。有賀さんは、「グローバルな組織・人事の構築は、企業としての基本思想である"何を最重要と考えるのか""それが複数あるとしたらそのバランスをどうするのか"といった点をピン止めするところから始まります」とアドバイス。ウィズコロナからアフターコロナの時代を見据えながら、これからの人事としての在り方を今一度、グローバルな視点を加味しながら再確認してみることもいいのかもしれない。

もうひとこと:2020年4月号「CHROはかく語りき」取材後記
「世界に夜明けを」との理念を掲げ、2010年に創業したモバイルゲーム事業&ライブエクスペリエンス事業のアカツキ。『RPG』という名称の人事部を核に、感情やハートといった"見えないもの"を大切にしながら人事施策を展開するハートドリブンな会社である。同社のCHROは胸を張って語る、「人生が輝く働き方を創造する」と。今回新シリーズ『CHROはかく語りき』第一弾では、"見えないもの"で結ばれた従業員(メンバー)たちの、共創と競争に焦点を当てたニューウェーブ組織の魅力をお伝えした。次回第二弾も乞うご期待!

もうひとこと:2020年3月号「老舗のDNA」取材後記
2020年4月5日に創業100周年の節目を迎える桃屋。社名を聞けばピンとくる人が多いと思う、おなじみの食品メーカーだ。それもそのはず、同社の経営理念は「良品質主義」と「広告宣伝主義」。とりわけ昭和33年から放映が始まった『江戸むらさき』のテレビCМ(通称『のり平アニメ』)のインパクトは強く、今でも「何はなくとも〜」のフレーズは懐かしくもあり、一方で若い世代には新しくもあるのだ。「桃屋は小さな壜の中に大切な食文化を詰めているんです」。そう語るのは現社長の小出雄二さん。家庭はもちろん、ライバル企業にも真似のできない味の世界は、今日も一膳の温かいご飯と共に広がっていく。いただきます!

もうひとこと:2020年2月号「ロングインタビュー」取材後記
コンサルティング業のピアズ社は、2016年にベンチャー企業で初めて『日本経営品質賞』を受賞して話題となった。そんな注目企業のトップが桑野隆司さん。桑野流のマネジメントについて、「良い人材の輩出いかんで経営者の価値が決まる」と語る。ちなみに「人に優しい企業か?」と問われれば、「NO」と答える桑野さん。その意は「叱るべきところは堂々と叱る会社だから」と明快だ。「経営者は社員にふられても、ふられても、片思いを続けるものなのです」。終始洒脱な言い回しで経営者としてのやりがいを披歴してくれた。

もうひとこと:2020年1月号「ロングインタビュー」取材後記
首都圏を中心に、総菜・弁当の製造販売店16店舗と飲食店2店を展開する『株式会社はなまるフードサービス』。「会社というのは働いている人たちの“能力の総和”で成り立っているものなのです」と創業社長の川名勝経さん。たとえ1人ひとりの能力は小さくとも、働く場所が輝いていれば仕事は楽しく大きく育つ…。そんなアナログ的なトップマネジメントで社員が辞めない環境を整えてきた。「最近、大多数を占める女性社員から言われるんです。社長! 働いている私たちから“はなまるがあって良かった”と言われるような企業にならなきゃダメでしょうって(笑)」。還暦を過ぎ、新たに中小企業診断士としての道を歩みだした川名さん。「社員1人ひとりの人生にも“はなまる”をあげたいです」と笑った。

もうひとこと:2019年12月号「老舗のDNA」取材後記
サンゲツの人事担当者に理想の社員像を伺うと、返ってきた答えは「生意気な人材」。その極意は「1人ひとりが会社経営の主人公として、会社と自らを変革して行くことができる人材となるか否か」となる。具体的には、『変革』『強靭』『誠実』の3つを掲げて人材採用に当たっている同社。1849年の創業から170年目を迎えた老舗企業の心意気は今なお健在だ。

もうひとこと:2019年11月号「ロングインタビュー」取材後記
「働き方改革は今までを否定するところから始まります」と強調するのは、多種多様な“働き方”に適応したきめ細かな管理業務支援で売上を伸ばしているキャスター社のCEO中川翔太さん。「リモートワークのメリットばかりを強調してしまうと、人事パーソンたちの職を奪いかねない」と苦笑い。でも一度、中川さんの話に耳を傾けてみても面白いと思う。なぜなら、多様性が尊重され、場所や時間に縛られることなく、誰にとっても今以上に働きやすい世の中になる可能性を秘めているから。鬼が出るか蛇が出るか…。未来は予測できないが、未来を創ることができると信じる人が人事の仕事を変えるのだろう。

もうひとこと:2019年10月号「老舗のDNA」取材後記
1920年創業の国際自動車株式会社。通称は「km」。全タクシードライバーのうち女性ドライバーの占有率は4.1%で、東京地区のそれと比べると約2倍と高い。さらに、ドライバーの平均年齢も40代後半で業界屈指の若さもある。「昔は大学の就職課からも敬遠されたものですが、今では将来の夢を語る若手人財がやってきます。隔世の感がありますね」としみじみ語るのは西川洋志社長。健康経営への取り組みにも積極的な同社は、ベテランドライバーを含めた全人財に歯科検診も実施。西川社長も「当社のドライバーのお口はきれいです」と太鼓判。2020年のオリンピックイヤーに創業100周年の佳節を迎えるkmは今、国内のみならず、インバウンドからも注目される存在になっている。

もうひとこと:2019年9月号「ロングインタビュー」取材後記
例えば、新卒採用は、会社の業績拡大を見据えて行われるというのが普通かもしれない。しかし、三和建設の場合はちょっと違う。社長の森本尚孝さんは「既存社員の成長を促すためにするのです」と説明する。一体何が違うのか。「新卒採用自体が既存社員の教育の場であると考えています。リクルーターとして活躍するのが社員なら、内定者のメンターを担当するのも社員です。要は“新卒採用は社員総出のお祭り”なのです」。『つくるひとをつくる』(企業理念)ために、誰もが自分事として動く職場には今、就活生たちが群れを成す。主体的に働く人材たちのどこにも負けない本気度が創り出した“人に困らない経営”の極意がここにあった。

もうひとこと:2019年8月号「老舗のDNA」取材後記
長野名産の七味唐辛子といえば、元文元年創業の「八幡屋礒五郎」。「牛に引かれて善光寺参り」で有名な長野市内で300年近くも暖簾を守り続けている。現在の当主は九代目の室賀豊さん。来たる2021年の善光寺御開帳に向けて新たな戦略を立てている。「当社は元祖でも本家でもなく“根元”を名乗る珍しい老舗企業です。諸説ありますが、要は根のある部分を大切にせよとの代々当主の伝言と私は捉えています」。長野オリンピックを機に全国ブランドとなった古からの香り高き七味唐辛子は今、古くて新しい調味料として若い世代にも人気だ。根っこを大切にしながらも、いまだかつてない七味の世界を創出するアイデアマン当主の次なる一手とは。

もうひとこと:2019年7月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
武井浩三さんは、これまでの「社長」、あるいは「経営者」、さらには「起業家」などといった概念をぶち壊してしまう人である。それも“楽しく”“優しく”壊して人を呼び込む、といった魅力もいっぱいの人であった。「もう10年もしたら、会社という枠組みはあちらこちらでなくなっていき、自分はどの会社に属しているのか分からないほど有能な人材が多く出てくると思うのです。要は異なる会社同士で人材のシェアリングが始まるという話です」。はたしてそれは夢か現実か、誰もがその渦中で実力を問われることになりそうだ。

もうひとこと:2019年6月号「老舗のDNA」取材後記
バブル経済の崩壊、リーマンショック等々、乗り越えなくてはその先の未来がないといっても過言ではない出来事は多々あるが、1908年創業のDICはこれまでどんなに厳しい経営状態になっても、一度たりとも人的リストラをしてこなかった。「おそらく賛否両論はあるでしょうが」と人事の担当者は語るが、なかなかどうしてカッコイイ。『従業員の雇用に手を付けるというのは最終手段であると心得よ』。創業者の心を今に伝える人事の妙がここにもあった。

もうひとこと:2019年5月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
そもそもなぜ新卒人材が企業にとって大事なのか。そんな素朴な疑問をアトラエの新居佳英社長にぶつけてみた。返ってきた答えはストレートに「まだ白紙ですから」だった。「初めに伝えるのは、会社に勝手なイメージを持たないように、との一言です。すると彼らはストレスなく何でも自由にやりだします。当社流のティール組織の始まりです」。人が一番成果を出せるのは、本当に楽しいことをしているとき。そんな完全ストレスレスの職場づくりの魅力を余すところなく公開する、今月のロングインタビューをぜひ一読あれ!

もうひとこと:2019年4月号「老舗のDNA」取材後記
江戸中期の寛政の頃より、米一筋の商いを続けている京都の八代目儀兵衛。「ブレンド米をブランド米に」とのメッセージは、単に「単に〇〇産の×××(米の銘柄)だからおいしいに決まっている」との既存の"常識"を打ち破る老舗の心意気でもある。「要はお米のエルメスになりたいのです」。そう語るのは"八代目儀兵衛"こと橋本隆志さん(株式会社八代目儀兵衛 代表取締役CEO)。京都から東京へ、そして、海外へと日本の米が今、熱い!

もうひとこと:2019年3月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
世の中は今、何かにつけて「平成最後の○○」を連発。その表現がどうなのかは別にして、「最後だからこうなる!」と腹を決めて挑めば道は開けるだろう。なんて話はさておき、ITベンチャーを起業後、2年も経つのに世の中のニーズをつかみ切れていない起業家がいた。その人の名は宮田昇始さん。産休・育休の申請書を身重の身体で書く妻の姿を目の当たりにしたとき、「これだ!」と閃いたのが、簡単なオンラインで完結できる画期的なクラウド人事労務ソフト『SmartHR』だった。今回のロングインタビューは、そんな人事・労務の煩雑さを駆逐した宮田昇始さんに迫った。ちなみに、今回が「平成最後のロングインタビュー」。

もうひとこと:2019年2月号「老舗のDNA」取材後記
SDGs。国連が掲げる地球規模の課題に今、人事の側面から楽しく挑戦している中小企業が横浜市にある。創業100年を優に超える「大川印刷」である。そのリーダーは6代目の大川哲郎社長。いついかなる時もじっとしていることがない。「インターンの学生に言われて印象的で嬉しかったのは、『社長は本当にスロットマシンみたいな人ですね』でした。聞けば、絵柄が揃うまでずっと挑戦し続けているからだそうです(笑)」。その魅力に惹かれ、他社の内定をもらってから遊びにやってくるインターン生もいる。「当社に入社しなくてもいいんです。学生さんは皆、未来のお客様なのですから」。その懐の深さが格好いい。

もうひとこと:2019年1月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
会社経営に「これにて完成」はないということを若き起業家・鈴木良さんから学んだ気がした。「金太郎飴みたいな人ばかり採用していけば、そもそも気持ちがいいし、家族みたいだし、嫌な人は1人もいない。でも、自己実現という自分の可能性を、人生のチャンスを最大限に使える価値にはつながらないなと思います」。ならば、どうするのか。「それをやるためには、今までは“この人、文化を汚すんじゃないか”とか“ちょっと価値観が違いすぎるんじゃないか”っていう、その観点をもっと広げて、いろんな人たちとコラボレーションしていくように、1人ひとりがスケールアップしていかなければならないと思っています。これからもしばらくは、そんな紆余曲折が続くでしょうね(笑)」。近道を行くとか、いやいや王道を行くべきとか、議論を重ねるのもいいが、人それぞれの自己実現に焦点を当てた経営に邁進する鈴木良さんの手腕、否、生き方が面白い。

もうひとこと:2018年12月号「老舗のDNA」取材後記
人それぞれに忘れられない味がある。人それぞれに誰かに教えてあげたい味がある。今回は、そんな“特別な味”にこだわる話を、看板商品『さけ茶漬』で知る人ぞ知る『新潟 加島屋』さんからお届け。「当社の食品工場では、男女共に全員が新潟出身者です。外国人労働者を含め、その土地・地域以外の人材の活用も重要なことは十分わかっていますが、やはり新潟の人間だからこその味覚と、新潟の伝統的な食べ物を、新潟の人間でつくることにこだわっていきたいのです」(5代目社長の加島長八氏)。生まれた川を勢いよく遡上していく鮭のように、時代の流れに迎合しない老舗企業のこだわりが変わらぬ味の調味料かもしれない。

もうひとこと:2018年11月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
楽天大学学長の仲山進也さんは、楽天の社員でありながら兼業自由、勤怠自由、仕事内容も自由の「完全自律型自由人」である。「周囲の人から“自由でいいですよね”と言われると、なんだかざわっとするんです」と笑顔に。断っておくが、その「ざわっ」は、「いいよね、好き勝手なことをしていて」というニュアンスを感じるからだが、仲山さんは言う。「組織にいながら自由に働くことって、実は誰にでもできることなんですけど、人事の人がどう思うか。でもそれが当たり前にできるようになると、勝手に自分で考えて行動する人が増えるんですよね」。さあ、禁断の扉を開けて、その“ざわっ”の世界へ!

もうひとこと:2018年10月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
静岡県沼津市にある平成建設は平成元年の創業以来、「高学歴大工集団の職場」として歩み続けている。古き良き「大工という匠」たちが絶滅危惧種となっている今、「高学歴だろうが何だろうが、大工の仕事が好きな人材を集めているから面白い」と、経営トップの秋元久雄さんは強調する。「社長っていうのは、社員に向いている仕事を探してやることが一番の仕事だね。周りの奴も親も分からないその子の一番良いところを、社長である私が見つけてあげる。そして伸ばす。そこは大切にしたいね。だから、仕事の単純化は絶対になし。単純化したら大工の仕事がつまらなくなって、仕事を楽しめない人をただつくるだけ。それは悲しいですから」。今回は、働き方改革よりも“楽しみ方改革”で職場を活性化させる、「人材育成の匠」の話をお届けしました。

もうひとこと:2018年8月号「老舗のDNA」取材後記
2011年から「海陸統合」に向けた独自の人事改革を始めている商船三井。わが国を代表する大手海運会社の興味深い人事施策のキャッチフレーズは「海と陸の垣根をなくす」だ。海も陸も共に働く職場として見つめ直すその姿勢そのものがグローバル。どんなに情報通信技術が進化しても、絶対に外航海運の役割がなくなることはないとの誇りが、1人ひとりのモチベーションとなり、未来を創る。「自律自責型人材の育成」に努める“100年企業”は今日も改革を恐れない。

もうひとこと:2018年6月号「老舗のDNA」取材後記
今回の老舗のDNAは、疲れた身体に嬉しい『バスクリン』の風呂…ではなくて、『バスクリン』を社名にした株式会社バスクリンの話。なにせそのルーツが明治26年にある企業だけに、「これは!」と閃いたアイデアも、「そういえば過去にやって失敗したかな」という結論に至ることも珍しくない。それでも挑戦し続けるバスクリン社の誇り高き面々。彼らを人呼んで『エクセレント・イノベーター』という。どんな変化の時代にも選ばれる“卓越した革新者”となるための秘訣は湯けむりの中にある!?

もうひとこと:2018年5月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
産業界は今、大企業を中心に「働き方改革」に向けて動いている。しかし、Great Place to Work Institute Japan(GPTW)代表の岡元利奈子さんは少しばかりの警報を発令する。「なんていうんでしょう、それこそ“政府に言われたから”とか、“これ以上働くと労基署に怒られるから”ということだけで、みんなが労働時間を短くする気持ちになるかといったらならないですと言いたいです。なぜなら残業代がなくなって困るぐらいにしか思わないからです (笑)。会社としてどういう姿を実現したいがためにこの働き方改革をやるのかという、そのビジョンを明らかにすることが大事だと思っています」。読者にもお馴染みの『働きがいのある会社ランキング』を発信するGPTWからのアドバイスともいえそうだ。

もうひとこと:2018年4月号「老舗のDNA」取材後記
社員研修のすべてを統合して企業に設けられている学びの場が、いわゆる“企業内大学”といわれるもの。しかし、インク業界の老舗・東洋インキグループでは、「大学」ではなく「専門学校」との位置づけで人材教育に当たっている。そのこだわりはまさに“ものづくりのこころ”から。一般的な企業内研修と違って、その運営を人事部が行うのではなく、各部署の“その道のプロ”がリードする点も興味深い。『人間尊重の経営』を経営哲学に掲げる100年企業ならではの人事は、独自だが参考になる要素に満ちている。

もうひとこと:2018年3月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
人間に代わるロボットの職場進出により、「自分の仕事が奪われるのではないか?」と心配するビジネスパーソンは絶対にいるはずだ。その“気になる奴”が今回スポットを当てた「RPA」(ロボテック・プロセス・オートメーション)である。でもちょっと待ってほしい。私たちには明るい職場改革が待っているのだ。「AIとRPAを組み合わせることによって、人間本来の時間の過ごし方が可能になります。つまり主役はロボットではなく、紛れもなくあなた自身なのです」(RPAテクノロジーズ・大角暢之代表の言葉)。誰もが今よりも何倍もハッピーになるかもしれない未来予測を、大角代表を取り上げた今回の『THE LONG INTERVIEW』からどうぞ。

もうひとこと:2018年2月号「老舗のDNA」取材後記
大阪市にある百年超企業のコニシ。「老舗企業といっても、実は社名を聞いてピンと来る人はそう多くない」と語るのは経営企画グループの中谷光宏さん。ところが、「ボンドを作っている」と語れば話は別。『ボンド』なら、昭和47年の発売以来ずっと変わらぬ信頼性で支持されている合成接着剤で、誰もが知っている。一方、コニシの人材育成に欠かせないキーワードは「自律型人材の育成」というもの。「どんなに時代が移り変わろうとも、良い製品はそのままに、新しいことを積極的に取り入れていくなかで自律型人材は育っていく」と、人事部統括部長の佐野直哉さん。現在約6,500品種ものボンド関連アイテムを世に送り出す、会社愛にあふれた社員たちの結束力はボンド並みに強そうだ。

もうひとこと:2018年1月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
今回はブラック企業被害対策弁護団代表の弁護士・佐々木亮さんにインタビュー。ブラック企業そのものの数は減少傾向にあるとはいうものの、「会社を辞めたい人を辞めさせない」といった妨害行為はあとを絶たないという。よくあるケースを聞くと、「辞めるというなら損害賠償を求める」「次の募集に50万かかるから払え」「次の人を見つけてきたら辞めていい」とハチャメチャだ。「それらはすべて“一発アウト”ですから、くれぐれも気をつけてほしい」と佐々木弁護士。「退職の自由」は労働基準法に明記された労働者の権利である。佐々木弁護士は「労働者は奴隷じゃないという話です」と念を押す。違法の意識がないままブラック化する企業は多いので、今一度立ち止まってホワイトな人事を確認しておきたい新年の幕開けである。

もうひとこと:2017年12月号「老舗のDNA」取材後記
長野県上田市のシナノケンシ株式会社。現在は精密モータの開発・製造を中心としたメーカーだが、もともとは『信濃絹糸紡績』という名の絹糸紡績業の会社。時代の変化とともに衰退する生業に別れを告げ、新たにモータ事業に参入した昭和30年代には、当然ながら社名変更について議論された。しかし、決まったのは“絹糸”を残した形での『シナノケンシ』だった。「“ケ”を“デ”に変えればシナノデンシになるから丁度よいのではないかと、そのような案がいっぱいあったのですが、結局は、カタカナの『シナノケンシ』で落ち着きました。創業100周年を迎えた今も、原点は社名の中に生きています」(金子元昭社長談)。変わりゆく流れの中にも変わらないものがあり、そんな不易流行のドラマが長野県の老舗企業に語り継がれていた。

もうひとこと:2017年11月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
横浜市にあるグリービジネスオペーレーションズ社の企業理念は、『障がい者が自身の能力を最大限に発揮でき、仕事を通じて自律的に成長し続けられる会社を創る』というもの。そのため、“障がい者だからできない”のではなく、日々の仕事を通じて社員自らが成長していくことがミッションだ。福田智史社長も「面接の場でも就職することがゴールではありませんとはっきり伝えています」と断言。障がい者と健常者の相互理解が進む職場には、厳しくも温かな風が吹いていた。

もうひとこと:2017年10月号「老舗のDNA」取材後記
市販の胡麻油の中では群を抜く高級感があり、しかも「香味抜群」と誰もが認める「岩井の胡麻油」。知る人ぞ知る“横浜ブランド”は100年を超える同社のものづくりのこだわりが凝縮された逸品といえそう。「当社の商品の1つひとつが立派な知財」と語るのは、同社8代目の岩田徹太郎社長。モットーは「誠実であれ、真面目であれ、こつこつたれ」とシンプルだ。「商品も心意気も余分なものは一切ないからこそ、お客様も認めてくださる。これからの経営もそうありたい」。褐色の胡麻油の1滴に込めた老舗の物語をどうぞ。

もうひとこと:2017年8月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
かつては「残業が当たり前のブラック企業」。しかし今は「残業ゼロで子育て中の社員からも大歓迎される企業」になったIT企業のアクシア。現実に上場企業の入社を辞退してまで同社を選んだという若い女性社員も笑顔でいきいきと働いている。代表取締役の米村歩さんはしみじみと語る。「昔は雇っては辞め、雇っては辞めの連続でしたので、それから思うと大きな前進です」。会社の規模はどうあれ、30代の若手経営者が挑んだ職場改革は今、周囲の注目を集めている。

もうひとこと:2017年7月号「老舗のDNA」取材後記
ほんの数年前まで、「今どきの若者は海外赴任を好まない」という傾向があったと思う。今回、わが国の代表的グローバル企業「クボタ」に行き、そんな話は一過性であったことを知った。新卒採用の最前線に立つ人事部長の近藤渉さんも、「当社の伝統は徹底した現場主義。海外出張、海外赴任が当たり前だと思ってくださいと就活生に伝えている」と明言。「『望むところです!』と応える若者たちが頼もしい」と、クボタ一筋の近藤さんは笑みを浮かべた。失敗を恐れることなく果敢に挑戦し続ける人材たちが集う老舗企業の心意気、ここにありである。

もうひとこと:2017年6月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
会社の業績が好調でも、社員が幸せとは限らない。その理由を教えてくれたのが、ランクアップの岩崎裕美子社長である。「うちの会社、ずっと昔から早く帰れますけど、めちゃくちゃ暗かったんですよ。朝礼はお通夜みたいだし(笑)」。“私たちの経営のどこがいけないの?”と悩んだ岩崎さんはある日、気がついた。「働きやすさを追求するんじゃなくて、働きがいを追求しなきゃダメなんです。そこはすごく反省したところです。だから、“うちの社員、暗くてね”なんて経営者を見ると、かつてのうちと同じだなって思います」。

もうひとこと:2017年5月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
障がい者雇用の総合コンサルティング企業として注目を集めているゼネラルパートナーズ社。「価値は時代と共に変わるもの」が持論だ。「なんとなく“人事”というと、採用の仕事ではまずその“数”しか見ていない気がします。やはりそこには“働いている人の気持ち”があるかどうか、しっかりと判断することが必要ではないでしょうか」。ダイバーシティ経営、多様化、タレントマネジメントなど、職場を取り巻く“価値”をどう見直していくのかが、今後の人事のカギになるのではないだろうか。

もうひとこと:2017年3月号「老舗のDNA」取材後記
今年、創業から120周年の節目を迎える明電舎。「当たり前に続く日常」のために欠かせない社会インフラと深く関わる企業ゆえに、同社で働く1人ひとりの使命感は大きい。そこで記者は“地味にスゴイ”同社の魅力を探るために品川区の本社ビル、ThinkPark Towerへ伺った次第。「これからも多様な人財が活躍できる会社であることが重要」と強調するのは人事企画部の皆さん。今回のキーワード“志を同じくするもの”たちが集う老舗企業のDNAは明日へ、そして未来へと着実に伝えられていく。

もうひとこと:2017年2月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
ビジネスパーソンにとって何が一番気になるのかと考えると、もちろん年収は重要だけれど、やはり「働きがいのある会社か否か」かだと思う。ギークスではその鍵を「対話」にあると分析し、半年に1度の頻度でサーベイを実施。各部署からの忌憚のない意見・要望に目を通すのはもちろん曽根原稔人社長以下、各部署の上司たちである。「無記名ということもあり、かなり辛辣な意見もよく書いてあります。しかし、それらは恥ずかしいものではなく、働きがいのある会社にするための課題なのです」(曽根原社長)。“サーベイは自分の通知表を見ているようなもの”と表現する曽根原社長だが、成績が悪ければ放っておかず、努力して改善に向けて努力するのが当たり前。社員はそういったトップの謙虚な姿勢を評価し、両者の絆は深まるというわけだ。簡単なようで難しく、難しいようで簡単なマネジメントではないだろうか。「社員にウソをつくようなトップは失格」。正直かつ謙虚に生きるスポーツマン、曽根原社長の魅力の一端もここにある。

もうひとこと:2017年1月号「老舗のDNA」取材後記
日本が高度経済成長期に入ったばかりの頃、森永製菓は他社に先駆けて広告部を設置。以来「広告の森永」は同社の代名詞となった。そしてもう1つ。広告部の設置から2年遅れて営業部の下に「企画調査課」なるセクションも誕生。こちらも「マーケティング」という概念が日本の産業界に入り始めたかどうかという時期のことであった。「時代を先取りする先見性もまた森永製菓のDNA」と語るのは同社人事総務部の皆さん。遺伝子を継承する喜びと誇りは紛れもなく新時代へと続いている。

もうひとこと:2016年12月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
ワイン醸造家の井上雅夫さんには、ワインととことん向き合ってきたからこその名言がたくさんある。その一つが「職場はワインセラーのようなもの」。いろんな国の、いろんな種類の、いろんな個性のワインが“しのぎを削る”のではなく、ゆっくりと、仲良く熟成の時を待つ正真正銘の多様性空間がそこにある。「職場はそんな甘いものではない」という意見ももちろんあるだろうが、そこは一つ、冷静になってワインでも。一番重要なことは、誰よりもまず自分自身が熟成しなければいけないということかもしれないと考える私はすでに、酔っている?

もうひとこと:2016年11月号「老舗のDNA」取材後記
新卒採用者が定年まで勤め上げるスタイルが定着している三菱鉛筆。就活生からも「従業員同士の仲が良い家族的な会社」と評価されることが多い、と語る人事部の皆さん。しかし、本当の家族的な会社とは仲が良いだけではないようだ。「家族だからこそ親子げんかもあれば、兄弟げんかもあります。表面的な仲の良さではなく、腹を割って話し合うことのできる仲の良さこそ、当社では大事にしています」。長く愛されるロングラン商品を開発する源は、表面的に目立ったりしないところもまた老舗企業の奥深さなのかもしれない。

もうひとこと:2016年10月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
これまで約1年と6ヵ月にわたり、パタハラ対策プロジェクトを行ってきた佐藤士文さん。雑誌や新聞、さらには海外のテレビ局も含めて、「本当にたくさんの取材を受けました」と感謝する一方、「まだまだ『パタハラ』の認知度は低い」と現実を注視。いつまで活動をやり続けるかは本人にも分からないが、「これからも啓蒙活動していきます」と前へ。見えないゴールに向かって、パパたちはまだまだ走り続けていく。

もうひとこと:2016年9月号「老舗のDNA」取材後記
乃村工藝社の業種は「ディスプレイ業」。人事部長の折笠智和さんによると、1970年の大阪万博を機にその存在が知られるようになった。現場出身の折笠さんは「それまでは建設業という大きな枠の中で埋もれていたプロの仕事が、ようやく日の目を浴びるようになったということですかね」と誇らしげに解説。「空間創造」という誰にもマネのできない仕事だからこそ、「一度でも夢中になると二度と抜けられない魅力的な仕事なのです」と笑う。決して“裏方”とは言わないが、さりとて表舞台に立つ花形役者でもない。100年企業の同社が大切にしている「ものづくりよりことづくり」の妙味がここにある。

もうひとこと:2016年8月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
創立から16年目のアドウェイズ。若く、勢いのある岡村陽久社長が率いるベンチャー企業は今、就活人材も転職人材も一目置く憧れの就職先となった。かつて共に時代を創り始めた20代の若者たちは働き盛りの30代、40代となり、社内組織はちょっと前に描いていた光景とはまた違う未来に視線を凝らし始めている。「今さら“こういう価値観を持とう”みたいなことは言うと嘘になる。だったら、これからも大事にしていきたいものを皆と探っていきたい」。それぞれの視線にある先にあるのは、生涯働ける職場であるか否かの新基準。「俺がやらなきゃ誰がやるとの気概で勝負したい」。社長の言葉1つひとつに力がみなぎっていた。

もうひとこと:2016年7月号「老舗のDNA」取材後記
茨城県は「土浦発」の醤油メーカーとして、古き良き日本の食文化である「醤油」の魂を日本のみならず、世界へも発信し続けている柴沼醤油醸造の18代当主・柴沼秀篤さん。「足場は常にここ」と創業地・土浦を愛してやまない郷土愛の溢れた人でもある。「年間約5,000名の方が醤油蔵の見学に訪れてくれます。そのお1人おひとりと言葉を交わし、蔵人の情熱を伝えるのも私の大事な仕事です」。奢らず、気取らず、淡々と…。世界中のソムリエたちが絶賛する日本の味を守る老舗の若き継承者は、どこまでも謙虚に次の100年を見つめていた。

もうひとこと:2016年6月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
そもそも各職場にはそれぞれのジョブローテーションがあるが、リラクを経営する江口康二社長が展開するその周期は短めの2年。視野の狭いスペシャリストを育てるのではなく、いろいろな人の気持ちが分かる心の広い人材に育ってほしいと考えているからだ。「魅力的な人材を育成するのが当社のミッション。そうすれば利益は後からついてくる」。これもまた江口さんが実践する『モンゴル式経営』の極意の一つだ。

もうひとこと:2016年5月号「老舗のDNA」取材後記
その昔、「白黒つけるぜ!」と叫んで世直しに励んだヒーローが映画の「ゼブラーマン」。一方、「世の中のためになるものづくり」を合言葉に前進し続けているのが、120年企業の『ゼブラ』で働く「ゼブラマン」たち。別に言葉遊びをしているつもりはないが、ただひたすらに突き進む真面目さは両者に共通している。人間が文字を書き続ける限り、『和と団結と信頼』を標榜する縞馬たちの挑戦は続く。

もうひとこと:2016年4月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
根岸榮二社長のこだわりは「時間」。人材育成も企業理念の浸透も、じっくり時間をかけてその時を待つ。急がば回れの心の余裕は、人を育て、企業理念を社会に浸透させていくための必須アイテムだ。「経営の極意は信用第一に尽きます。これを軽く見ては絶対にいけません。だからたっぷりの時間が必要なのです」。食を介して集まる人たちの笑顔を、働く明日の原動力に変えて、今日も「チームねぎし」は愚直なまでに、人の道をゆっくりと歩む。

もうひとこと:2016年3月号「老舗のDNA」取材後記
小泉産業の始祖の名は長い間「小泉武助」が定説だった。しかし、創業から300年目を迎えた今年、不思議なことに、「小泉太兵衛」が正式な名前ということが近江商人研究の第一人者によって明らかになった。「歴史が長すぎて、実は分かっていないことがまだまだあるのです」とは同社関係者の声。触れずにおこうかと一瞬だけ思ったが、やっぱりそれもできない性分なので、以上、お知らせでした。

もうひとこと:2016年2月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
失敗を責めず、ノルマも課さないのが、キングジムの宮本彰社長の人材育成法。だから皆、伸び伸びと商品開発に取り組み、自信を持って市場に打って出ていく。「要は『数打ちゃ当たる』です。一部の人から“待ってました”と言われることが狙い。これが本当の“心地よい空間”の楽しみ方です」。ちなみに宮本社長の趣味は釣りのなかでも最も難しいといわれるヘラブナ釣り。焦らず、じっくり、好機を捉えるスタンスは、氏の経営手法と似ている!?

もうひとこと:2016年1月号「老舗のDNA」取材後記
愛媛県大洲市にある醤油蔵「梶田商店」。醸造責任者である梶田泰嗣さんの好きな言葉に『温故知新』がある。「ものづくりの仕事の肝心なところはすべて、歴史が教えてくれると肌で感じています。父にしろ、先輩たちにしろ、蔵で働く先人が書き残した手書きデータの一つひとつに、醤油や味噌に注ぐ愛情が感じられるからです」。先進のデジタルな世界を否定して生きていくことはできないが、人の温もりがあるアナログな環境で育まれた醤油や味噌はやっぱり、おいしい。

もうひとこと:2015年12月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
そもそも「日本の映画は人気俳優の使いまわしで持っているのではないか?」と感じている人は少なくないと思うが、(株)映画24区の三谷一夫代表に話を聞いてナットク。業界自体に人材の動きがないから新鮮味が感じられなかったのだ。「だからこそ業界の外の人たちにどんどん入ってきてほしい」と三谷さん。これって組織も同じかも。受け入れる側の人たちとの温度差は気になるが、そこは一発、ドーンとやってみれば世の中はもっと面白くなる!?

もうひとこと:2015年11月号「老舗のDNA」取材後記
社員ととことん向き合って語り、自分の人生をかけてもいいと思える仕事かどうかを問い続けるのが小田原鈴廣の鈴木悌介副社長のマネジメント。とりわけ「食」に対する思いは徹底して伝えている。「社員たちにはよく『食』という字は『人』と『良』の言葉からできていると言っています。つまり食べて人が良くなる仕事だと。それが私たちの仕事の本質なのです。だから変なことはできないよねと。こういう話になるわけです」。日々襟を正して仕事に向かうプロフェッショナルな世界がここにある。

もうひとこと:2015年10月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
特定非営利法人ReBit代表の藥師実芳さんこそ、LGBTへの理解を社会に求めるために欠かすことのできない人材である。しかし、「僕らが拠点になってはいけない」と強調。その真意を問うと記者は納得。「1人ひとりが自立しない限り、困難な道は開けない」と、自分に言い聞かせるように語る藥師さんがいたからだ。男性か女性かで悩んでいた時代はとうに過ぎ、1人の人間として力強く歩む若きキャリア・カウンセラーの生き方は、実に堂々としていて爽やかだ。

もうひとこと:2015年9月号「老舗のDNA」取材後記
「旬のものを大切な人に贈ることこそ真心。その真心を絶対に裏切ってはいけません」と千疋屋総本店の大島博社長。たしかに旬を味わう喜びが感じられる一番は果物を食べるとき。それも「SENBIKIYA」ならなおのこと。仮に、この先100まで長生きしたとしても、あのマスクメロンを味わえるとは限らない。だから今、食べたい。だからといって自分で買うのはおかしい。誰か贈ってくれないものか。記者のつまらぬ話に、大島社長は付き合って笑ってくれた。自分のくだらない発言を反省しつつも、やっぱり食べたいと思う夏の終わりの午後3時。嗚呼…。

もうひとこと:2015年8月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
株式会社J.C.O.S「野球の力」の城友博さん。プロ野球選手としての“旬”は短かったが、名将・野村克也監督のもと、主力の1人としてリーグ優勝した経験は貴重だ。「野球人である前に社会人であれ!」と叱咤激励された日々を糧に、今を本気で生きている。「格好が悪くてもいいんです。やらずに後悔するより、やって後悔するほうが納得できますから」。常に次の塁を狙い続ける勝負師の魂は健在。

もうひとこと:2015年7月号「老舗のDNA」取材後記
日本人にとって「家庭薬」は当たり前に存在するが、海外ではちょっと事情が異なるようで、そこには各国との取引拡大を担う太田淳之常務ならではの視点があった。「家庭薬は海外の現地にもないことはないのですが、なかなか日本の企業みたいに何百年続いているというものはありません。だから“いい薬なんでしょう”って信頼してくれます。でも、歴史があるからいい薬じゃなく、いい薬だから歴史がある。この順を忘れてはいけないと思っています」。太田胃散が愛される理由はここにもある。

もうひとこと:2015年6月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
多忙なビジネスパーソンに対し、久世浩司さんが提唱する一つの力が「意志力」。大きな仕事を成功させる核となる強い意志、固い意志を支える意志力の土台となるのは、どうやら睡眠らしい。「きっちり7時間、8時間の睡眠時間を確保して自分の意志の力を一度回復させ、そのうえで仕事に向かっていくというのが、より効率的に仕事ができる基本です」とも。忙しく働くことを自慢していたのははるか昔のこと。ライフスタイルを見直す大きな機会になるかもしれない睡眠について、さあ考えてみましょう。

もうひとこと:2015年5月号「老舗のDNA」取材後記
創業から約420年の歴史を重ねる「宇津救命丸」。社名にも使われている商品の立ち位置はすでにセンターではないが、誰もが知っている有名ブランドであることは事実。いかに少子化とはいえ、子供たちの未来のためになくてはならない良薬だ。「私の責任として500年は続けたい」。使命感あふれる創業家の19代目が発揮する手腕に期待の注目が集まる。

もうひとこと:2015年4月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
本能に即したマネジメントを推奨する森内真也さん。中学時代に「面白い人間になる」と心に決めたためか、人間観察が得意なようだ。「関本さんって優しい話し方をするんですね。電話だとちょっと怖そうだったので…(笑)」。当たっているかどうかはここでは伏せるが、ちょっと嬉しい。「また会いましょう」。自分が面白い人間に観えたかどうかは聞かないことにした。

もうひとこと:2015年3月号「老舗のDNA」取材後記
業歴200年の近江屋ロープを支えているのは、まさに人。若手からベテランまでがお互いに助け合い、喜びも悲しみも分かち合う。「全従業員が一丸となり、経営の危機を乗り越えた絆はどこよりも強いと思っています」(野々内達雄社長)。野々内社長がたびたび口にするのは「人財こそ企業の命綱」。こんなにもピッタリくる言葉はほかにはない。

もうひとこと:2015年2月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
梅島みよさんに生涯現役の秘訣を質問。回答はとても明快だった。「人は育ちが違い、考え方も行動も違うもの。だから人を変えるのは無理です。そう考えると気が楽ですよ」。梅島さん曰く、逆に相手に合わせて自分を変える必要もないようだ。「そもそも自分と同じような人間がいたら気持ち悪いでしょ(笑)」。90歳を過ぎてもなお人生を楽しむ女性である。

もうひとこと:2015年1月号「老舗のDNA」取材後記
にんべんの高津家に家訓は存在しないが伝統の行事は健在。おせちもその一つだ。江戸時代からのレシピが今も津家の正月の食卓を彩っている。「商人の家ですから質素ですけど、風情はあります。ただ手間がかかります。だけど旨い。人付き合いに似ていますね」。付き合えば付き合うほど味が出るのが人情の世界。古き良き時代の心を今に伝える人々がここにいる。

もうひとこと:2014年12月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
裁量労働制の導入を模索するなら、「誰を本当に優遇すべきかを考えることが先決」と語る渡辺パコさん。たしかに“さぼって短時間労働”の人と、“ちゃんと仕事して短時間労働”の人が同じ評価でいいはずがない。「裁量労働制がもっと産業界に定着すれば、がんばっている人は報われます。誰もが堂々と週末を堪能できる世の中になってほしいですね」。“週末自由人”の渡辺さんならではのごもっともなご意見に自由でない(?)記者の私も大賛成。

もうひとこと:2014年11月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
岩田松雄さんは、「日本の学校教育に足りないものは、権力を自分のためじゃなく、世の中のために使いなさいという教育です」と指摘。他人を幸せにしてこそ、リーダーの価値も高まるとも。地位は自分で勝ち取るものと考えるか、人から与えられるものと考えるかの分かれ目がここにある。権力は持つべき人が持ってこそ平和な世の中になるのだと痛感。

もうひとこと:2014年11月号「老舗のDNA」取材後記
「一緒に米作りを始めませんか」との橋場友一社長の呼びかけに応じて、田植えに、稲刈りにと人が集まってくるのが泉橋酒造。「人が集まるところに旨い酒あり」なのか「旨い酒あるところに人が集まる」のかは解釈次第だが、まちがいないのは、6代目は誰よりも人を大切にする人であること。笑うと人の良さそうな“えなりかずき”に見えるのは私だけ?

もうひとこと:2014年10月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
「どんどん恥をかくのも仕事のうち」と社員に語る富士製薬工業の今井博文社長。それは、自分より目上の人に近づきたいのなら、必死になって勉強することを指す。「そんなこともわかってないのか」って言われて恥をかいても、必死に勉強してまたチャレンジすれば、そのたびに信頼度は増すことを確信しているからだ。「この前、いつもありがとうと言ってもらえました」。そう報告する社員の成長が何よりも嬉しい様子の今井社長である。

もうひとこと:2014年9月号「老舗のDNA」取材後記
日本人ほど自国の文化に詳しくない国民はないと言われるようだが、若い頃の久保順平さんもかつてはその一人。「海外勤務を経験したことで、江戸時代から続く酒蔵の息子であることの責任を感じた」とポツリ。古来より伊勢神宮へと続く街道脇に静かに佇む久保本家酒造の趣のある建物は創業時のまま。毎年6月にはホタルが飛び交うまほろばの里に暮らす蔵人たちの日常は“あたり前”でも、訪れる人々の郷愁を誘うすばらしき“非日常”でもあった。

もうひとこと:2014年8月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
南沢社長が提唱する働き方が「傍楽(はたらく)」。傍を楽にする生き方を継続することは簡単ではないが、だからこそ挑戦するところに職場の未来がある。南沢社長自身も「結局は働く仲間たちも、お客様も、何故あきゅらいずと付き合っているのかが分からなくなってはおしまい」と強調。たしかに、自分が何のために仕事をしているのかが分からなくなっては楽しくないと思う。傍目がどうあれ、自分の立ち位置だけは見失いたくないものである。

もうひとこと:2014年7月号「老舗のDNA」取材後記
高度成長期に少年期を迎えていた柏原孫左衛門社長は、大きな空が見えていた頃の日本橋の光景を知らない。一体誰が日本の芸術品のような橋の上に高速道路を架けるプランを提案したのかは知らないが、つくづくセンスのないやつである。進化を続ける古くて新しいこの街に、本当の空が戻ってくる日は来るか!? 同い年の十二代目と記者は、まだ見たことのない日本橋の大空を待望している。

もうひとこと:2014年6月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
ひと頃は「グローバル人材を採用したい」というのが企業のオープンな声だった。しかし、「インタビューなどをしていると、アウェイの環境下での突破力を求める声が多い」と岡崎仁美さん。世界を相手にする以上はすべてがアウェイ。サッカーW杯が開催される今、突破力が求められているのはフィールド上だけのことではない。

もうひとこと:2014年5月号「老舗のDNA」取材後記
西川産業の西川康之社長は46歳の働き盛りだが、創業400年を超える老舗企業では、ときに若さゆえの苦労も。「若いからゆえに意見を言うだけでは理解されないことも少なくない」と若手社員も同情する。しかし、アイデアマンの康之社長は黙っていない。『昔の方もこう言っているではないですか』と熱弁。「どんな時代も良い商品の芽を埋もれさせてはならないという信念は揺るがない」と、周囲からの信頼を集めているトップリーダーだ。

もうひとこと:2014年4月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
「今こそ学生が真剣になるシステムを世の中に作るべき」と持論を展開する辻太一朗さん。「体力測定の反復横跳びは30秒間一生懸命にやるから体力が測れるのに、イマドキの学生は『反復横跳びは僕、やりませんが、どうしてもというのなら2回にしといて』って採用担当者に言っているようなもの」と苦笑い。50年後には人口の4割が高齢者になる日本。すでに「待ったなし!」の状況がひしひしと迫ってきている。

もうひとこと:2014年3月号「老舗のDNA」取材後記
およそ30年前、NHKが番組の中で弁当のルーツを探ったところ、行き着いたところが日本橋弁松総本店だった。「結局、誰が最初の弁当を販売したかなんて分からなかったようですが、どうやら“弁松らしい”というところまでは絞り込めたようです」(日本橋弁松総本店8代目・樋口純一氏談)。江戸の昔の真相は“甘濃ゆい味”だけが知っている!?

もうひとこと:2014年2月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
Kaienの鈴木慶太さんたちが始めたビジネスは、いわゆる「障がい者支援」ではない。鈴木さんは、「要は目の前の人にいかに喜んでもらえるか、どれだけの価値を提供できるかに面白味を感じているから」と強調。従って就業支援であってもその本質はサービス業。「当たり前のことを当たり前に黙々と」。派手さはなくても、鈴木さんの言葉からKaienの謙虚なビジネス姿勢が見えてくる。

もうひとこと:2014年1月号「老舗のDNA」取材後記
自ら『21世紀型のマネジメント』と命名して透明性のある会社づくりを進める船橋屋の渡辺雅司社長。創業から200年を超える老舗であっても、ご本人はまったく「当主の座」に胡坐をかくつもりはない。あるのは「攻め」のみだ。「自分が表に出てやったこと(マネジメント)が、どんどん形になって会社の未来をつくる。私自身も面白ければ、働くみんなも面白い。これがすべてです」と笑う。変化球は一切なしの直球勝負が心地よい。

もうひとこと:2013年12月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
80歳でエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎氏の快挙について、百瀬社長が一言。「何で成功したかといえば、本人に何が何でも俺はやり抜くといった強い意志があったからでしょう。会社経営も同じ。トップがやる気を持って取り組めば、必ず結果が出ると私は過去の経営のなかから答えを導き出しました。しんどいけど、面白いところですね」

もうひとこと:2013年11月号「老舗のDNA」取材後記
海外からリスペクトされる日本の伝統文化の中でも、再ブレイクの兆しがあるのが日本酒とか。山口酒造場の蔵元・山口哲生氏は「日本酒はまだまだやることがたくさんある。そういう意味ではまだ始まったばかり。おもしろい仕事ですね」と、その奥深さを語る。古き良き日本酒であっても、「始まったばかり」という謙虚なものづくりの姿勢に未来があると見た。

もうひとこと:2013年10月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
菊池桃子さんが多忙な人とは十分承知のうえ、キャリアの話をぜひ聴きたいと「ロングインタビュー」にリクエスト。しかし、連絡はなかなかこない。菊池さんのヒット曲『もう逢えないかもしれない』が頭をよぎる(ちょっとシャレてみました)。そして約2ヵ月後、「OK」の返事をいただく。読者の期待を感じつつ、ピシッと一本筋の通った凛々しい菊池さんにインタビューできて、感謝!

もうひとこと:2013年9月号「老舗のDNA」取材後記
全国各地にいわゆる「伝統野菜」があるが、京都と言えばやはり、九条ねぎ、賀茂なす、鹿ケ谷かぼちゃなどの“京野菜”。種の保存に心血を注ぐ農家と共にタキイ種苗の存在感も光るが、その一方で、子々孫々のために日夜、品種改良に取り組むのもまた同社の姿。古き良き伝統を守ることだけが老舗の姿ではないことを教えてくれる社会に無くてはならない企業がここにもあった。

もうひとこと:2013年8月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
小松俊明さんがアジア諸国に行くと、現地の人たちは日本人を次のように評価するそうだ。「しょせん日本でしか働けないんでしょ」と。子供の進学先を何も考えずにそのまま国内にするか、それとも海外にするか――。教育のグローバル化も待ったなしで家庭に迫っていると言ったら大げさだろうか。人生いろいろあるけれど、「気がつけば自分がガラパゴス」だけは避けたいと思う。

もうひとこと:2013年7月号「老舗のDNA」取材後記
入社後のミスマッチがないよう、面接の前には必ず学生を連れて売場見学をさせているのがエトワール海渡。同社社員の顧客との丁寧な応対ぶりに、新人たちは「何か秘訣があるのですか?」と質問。「特別に意識はしていません」と誰もが口を揃えるが、これもまた伝統に裏打ちされた商人道の基本姿勢か。人の振る舞いはときとしてマニュアルを超える?

もうひとこと:2013年6月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
「社員は社長のほうは向かず、お客さんの満足だけを考えて仕事をしていればいい」と言い切る日本レーザーの近藤宜之社長。だからこそ「経営の透明性は大事」と強調する。従って、同社ではみんなの給料も常に丸裸状態。決して“裸の付き合い”ではないが、堂々と見せ合うことで余計な諍いはなくなる。こんなあけっぴろげな企業がどんどん出てくれば、世の中はもっと平和になるのかもしれない。

もうひとこと:2013年5月号「老舗のDNA」取材後記
「商売は守りに入ってしまったら辛くなるだけ」とは、京都の老舗菓子司・亀屋良長の吉村専務の言葉。暖簾を守ることだけに執着すればするほど、周囲が見えなくなるという。「文化の発信というのも老舗の大事な使命ですが、それよりも社員の幸せ、お客さんの幸せを考えるようになった。これも大手術を無事に乗り越えたおかげかもしれません」。代々培われた伝統と虚心坦懐に向き合えたとき、次の一手が見えてくる!?

もうひとこと:2013年4月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
台東デザイナーズビレッジ「村長」の鈴木淳さんのもう一つの肩書きは「インキュベーションマネージャー」。インキュベーションには「孵化器」の意味があり、鈴木さんも「クリエイターの卵を無事に孵化させ、ヒヨコにして世の中に送り出すまでが私たちの仕事」と説明。「だからこそ顔を見せに帰ってきてくれたときは嬉しくて」と目を細めた。

もうひとこと:2013年3月号「老舗のDNA」取材後記
大七酒造の十代目当主・太田英晴社長は東大法学部出身。聞けば子供の頃からの本好きで、「ちょっとだけ政治学者になるのも夢でした」と回顧。それでも造り酒屋を継いだのは「使命だから」ときっぱり。家訓である『起きて造って寝て売れ』は厳しい戒めでもあるが、あえてそこに挑戦する真摯なジェントルマンでありました。

もうひとこと:2013年2月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
殿村政明さんにインタビュー中、何度か「ここ笑うとこですよ」とツッコまれた。困った。面白いのだけれど、自分は「わっはっは」とは笑わず、どちらかというと「ふっふっふ」と笑うタイプだからだ。どうでもいいような話だけれど、殿村さんからしたら私は典型的なコミュニケーション下手になる。ワラトレ始めようかなっと…。

もうひとこと:2013年1月号「老舗のDNA」取材後記
ドイツ留学の経験を持つまるや八丁味噌の浅井信太郎社長。質素倹約に努めるドイツ国民の生活ぶりに感銘を受け「もったいない精神」は今も健在。出張の際も一駅〜二駅程度はよく歩くと笑う。「ケチと言われるのは心外ですが、倹約家と言われるのは逆に気分がいい。だって質素倹約には哲学がありますから」。浅井社長の哲学は味噌蔵をはじめとする会社の建物にも反映され、修繕を重ねて今も現役の味噌蔵は岡崎観光に欠かせない人気スポットになっている。

もうひとこと:2012年12月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
学生時代はバンドにも夢中だったという斉藤実さん。憧れたアーチストの一人が今も現役で活躍するギタリスト『カルロス・サンタナ』。数あるヒット曲の中でもイチ押しはやはり『哀愁のヨーロッパ』だそうだ。「機会があればもう一度、バンドやりたいですねぇ」。インタビュー中に流れる素敵なBGMも斉藤さんの大好きなインストゥルメンタル。「いつも心に音楽を」も斉藤さんのこだわりの一つです。

もうひとこと:2012年11月号「老舗のDNA」取材後記
日本酒の質の良さを判断する基準の一つが透明度。石川酒造の石川社長も「造り酒屋の多くは“濁る”ことを嫌って商品名に濁点を付けない慣わしもある」と教えてくれた。従って、同社の新製品『たまの八重桜』は“やえざくら”ではなく“やえさくら”と読みにこだわって新発売。「他にもあるかな」と思い浮かべながら今宵も一献、時間旅行へ出発!

もうひとこと:2012年10月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
ロンドンオリンピックでの日本の活躍のキーワードが「チーム力」なら、「ライフネット生命の躍進を支えているのもまたチーム力」と語るライフネット生命の岩瀬氏。「なんだかんだ言っても会社がすごいんじゃなくて、働く一人ひとりがすごい。そんなふうに人が評価される会社をめざしていきます」。確固として、揺るぎなく、そして、堂々と突き進む次代のリーダーが好きな言葉は「誇り」だそうだ。

もうひとこと:2012年9月号「老舗のDNA」取材後記
日本橋鮒佐の佃煮のタレは65年もの。四代目・宮内隆平社長は「うちのタレは、最初はどことなくとがっていたけど、40年を超えたあたりから旨味が増した。まるで人間みたいだねぇ」としみじみ。ちなみに四代目のお薦めはこのタレをたっぷり使った牛蒡の佃煮で、「筋があるから旨いんだよ。これも人間と同じ」。佃煮一つで人を語れる四代目がおもしろい!

もうひとこと:2012年8月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
「背番号があるというのは現役でいる証拠。ただその引き際が難しい」と、マイスター60の平野茂夫さんはしみじみと語る。誰にでも訪れる“その日”はいつか…。その幕引きを自分でするところに真の大人の格好良さがあるのではないかと記者は思う。「でもできるかな、はたして自分に…」。昔、プロ野球の阪急ブレーブスに「塀際の魔術師」と称賛された外野手がいたが、自分は称賛されなくてもいいから「引き際の魔術師」をめざしたい。

もうひとこと:2012年7月号「老舗のDNA」取材後記
「鳩に豆鉄砲」という言葉があるが、京都『豆政』のシンボルマークも実は「鳩に豆」。5代目社長・角田潤哉氏は、「京都の小さな豆菓子屋なのにって思われるかもしれませんが、目標は世界一。世界中から京都を訪れる異国の旅人を豆のおいしさで驚かせたいですね」と意気込む。『鳩だけに ハット驚く 豆鉄砲』(関本作)。

もうひとこと:2012年6月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
子育ての相談もよく受けているという『ほめ達!』の西村貴好さんは、「子供っていうのは、外見は親の縮小コピーですが、内面は親の拡大コピーなんです」と指摘。母親がついつい子供を叱ってしまうのは、「自分の嫌な部分を子供の中に拡大して見てしまうから」というのがその理由だとか。子供にしてみれば迷惑な話だが、これ、職場でもありません? ついつい部下を叱ってしまうのは、そこに自分の嫌な部分が見えるから…。笑えない人は、まずほめてみましょう。

もうひとこと:2012年5月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
起業のきっかけとして上位にランキングする理由の一つが、「自分が入社したいと思える会社を作る」という発想だ。ベーシックの秋山勝社長も起業の決め手はそこにあった。「もう一言付け加えると、『いかに楽しめるか』も大事にしています」。社員の平均年齢は30歳。秋山社長は40歳。「解決すべき課題もいくつか出てきていますが、だからといって失敗を恐れてしまっては何もできません。皆とやるだけです。それも思いっきり楽しくですね(笑)」。秋山社長は今日も笑顔で突っ走る!

もうひとこと:2012年5月号「老舗のDNA」取材後記
七味家本舗の福嶌良典副社長は言う。「私も修行中の身とはいえども、やはり社訓は大切にしています。しかし…」と。働き盛りの副社長が言う「しかし…」には、後継者として覚悟を決めたその理由が凝縮されていた。「究極は、自分自身が成長するために仕事がしたいですね。そうすれば自ずと結果はついてくる。そう思うんです」。足し算でも、引き算でもない家業発展の方程式が、15代目候補の頭の中には明確に描かれている様子だ。

もうひとこと:2012年4月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
「日本企業の多くは時間当たりの生産性に甘い」と指摘するのがネットイヤーグループの石黒不二代社長だ。「ひとことで言えば成果主義が徹底してないからなんでしょうが、『長く仕事をする人=仕事ができる人』みたいな職場がいまだにあって、働くお母さんたちだけじゃなくイクメンたちも気の毒だなって思いますね。優秀な人が多いだけに実にもったいない話ですよね」。アメリカと日本の文化の違いだと思えばそれまでだが、単なる「働き者」と「仕事のできる人」を明確に区分けするだけの判断基準が次代のリーダーには必須のようである。

もうひとこと:2012年3月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
即戦力を求める際、一つの判断基準になるのが「社会人経験」だろう。近頃は、新卒学生のバイト経験もそれに含まれるが、「それよりも何といっても主婦の力はすごい」と太鼓判を押すのがビー・スタイルの三原邦彦社長だ。「金額的にいうと、例えば、パートとかアルバイトをするのは学生と主婦が中心なんですけど、時給的にはそんなに変わらないですよね。でも社会人経験が豊富なのはどちらですかっていった場合に、圧倒的に優位に立つのは当然ながら主婦の彼女たちで、やっぱりオフィスワークにおける事務職であったりとか、販売職だとかいうところについては社会人経験がないとなかなかできなかったりもしますので、彼女たちの活躍の場があるんじゃないかというのが発想の原点なのです」。主婦たちの多彩な社会人経験は、労働生産性の低下が叫ばれて久しいわが国を救済する奥の手になるのかもしれない。

もうひとこと:2012年3月号「老舗のDNA」取材後記
祖父から伝わる“田口家直伝”の墨汁を通して、書道文化の普及に務めている開明三代目の田中葉子社長。自らも筆を持ち、さらさらと書をしたためる時間を大切にしている。「以前、当社の若い営業社員の手元にあった発送前のDМを見て感心したことがあるんです。DМはもちろん印刷物なんですが、わざわざ自分の名前だけは墨汁を使って筆で書いているんです。そんなに上手な字ではありませんでしたが(笑)、『この人は偉い』と素直に感心してしまいました。当たり前といえばそうなのですが、忙しい日々の中でふと立ち止まって原点を見つめるといいますか、そんなことを彼から教えてもらったような嬉しい出来事でした」。映画の中の刑事のセリフではないが「迷ったら原点に返れ」はビジネスにも通じるようで、この原点回帰の姿勢も老舗のDNAなのかもしれないと感じた。

もうひとこと:2012年2月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
バリューコマース・飯塚洋一社長の『もう一言』〜「ここにいてよかった」と思える会社に〜
『少なくても皆さん、人生のある時期をバリューコマースで過ごされるわけですから、30年いる人も、何らかの事情で数年で辞めちゃう人もいるかもしれないけれど、やっぱり「バリューコマースにいてよかったな」と、そんなふうに振り返ってもらえる会社でありたいと思っています。どんな改革も結局はそれに尽きるんじゃないでしょうか』

もうひとこと:2012年2月号「ロングインタビュー」取材後記
経営コンサルタント・小宮一慶さんの『もう一言』〜良い仕事をすることが一番の社会貢献〜
『よく「社会に貢献できる仕事をしましょう」と言いますが、私は良い仕事をするのが一番の社会貢献だと思っています。だから私の話を聞きに来てくれるお客さんが良い仕事をして、その結果たくさん儲けてくれることが私にとっての社会貢献です。つまり「儲かるぐらいいい仕事をしましょう」っていうのがこちらの趣旨なんですね』

もうひとこと:2012年1月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
アップガレージ・石田誠社長の『もう一言』〜若い社員が多い会社だからこその取り組み〜
『若さは一つのキーワードですね。ただまぁ、楽しく仕事をやればそれでいいというわけではなくて、当然に規律も必要ですし、守らなきゃいけないルールも当然に必要になってくるので、「厳しさの中にある楽しさ」ということで取り組んでいます。また、上場企業ですから収益の向上やコンプライアンスへの取り組みも大切です。しかし、そうはいってもがんじがらめの膠着した組織とか、そういうガチガチの雰囲気というものだけは作りたくありませんでした。それが現在のアップガレージなんです』

もうひとこと:2012年1月号「老舗のDNA」取材後記
福寿園・福井正憲社長の『もう一言』〜蓄積の元〜
『私の考え方の基本にあるのは「作り手の論理」なんです。ものづくりはもちろん消費者の意見を聴くのもいいですが、消費者のいいなりになってしまってはマイナスです。社会にものづくりを通じて貢献するというのは、何もお客さんの好みのものばかり作るんじゃなくて、「こうあるべきなんです」という姿勢で作ることだって大切です。もっと言いますと、あくまでも自分のために作った満足のいく良い品物を、余分に作ったからお分けしましょうという発想です。その辺が私の言う「蓄積」の元なんです』

もうひとこと:2011年12月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
アイル・岩本哲夫社長の『もう一言』〜メッセージメールで社員と会話〜
『面白いもので、日頃大人しい社員ほど、文字で書くといろいろ鋭い意見を言ってくるので、メッセージメールをやってみて良かったなと思いますね。私も、面と向かっては言いにくい「すごいな!」とか「頼りにしています」とか、そんな言葉をたくさんメールに書いて、社員たちと会話をしているんですよ』

もうひとこと:2011年12月号「ロングインタビュー」取材後記
東海大学駅伝監督・両角速さんの『もう一言』〜自らも人間力の向上をめざして〜
『1位になることだけが目標ではありません。それより、学生たちの琴線に触れる指導ができるかどうかで、お互いに成長していけたらと思っているんです。なので、10年ぐらい先で「あの人に教わって良かった」って振り返ってもらえるよう、自分自身も人間力の向上に努めていかないといけないんです』

もうひとこと:2011年11月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
オフィストレイン・後藤美香社長の『もう一言』〜男性社員の身だしなみチェック〜
『主にパチンコ業界での話なんですが、特に男の従業員の方っていうのはおしゃれに全く気を使わないといいますか、特にオジサンたちは放っておくともう大変です(笑)。やっぱりそこは接客業ですから、身だしなみもおしゃれも気を使うことが大事で、髪型もきちんとしていたほうがいいわけです。けっこうそういうところのアドバイスは意外らしく、私が注意してあげて逆に喜ばれることが多いんです。そういう意味でもちょっと風変わりな業界ではあると思いますね』

もうひとこと:2011年11月号「老舗のDNA」取材後記
ロート製薬・広報、矢野さんの「もう一言」〜海外からも参加する大運動会〜
『ロート製薬の運動会は毎年、大阪本社の広大な芝生の上で開催しますが、実は全国の従業員はもちろん、海外で働く人たちも運動会に参加するために日本に帰ってくるのです。そこまでやるかって思うかもしれませんが、だからこそ楽しいんです(笑)。従業員の家族も一緒になって爽やかな汗を流す光景はなかなかなもので、手前味噌で恐縮ですけど、とことん面白い会社で働くことができて幸せですね』

もうひとこと:2011年10月号「ロングインタビュー」取材後記
温井和佳奈さんの『もう一言』
『会社を経営するというのは辛いことのほうが多いんですけど、人生の深みといったことからすると、やはり自分で会社を作って汗を流してみる経験は貴重だと思います。それをカンボジアの女性たちにも経験してもらえたら嬉しいですし、とりわけ「人生変わって良かったな」と思ってもらえたら、それはそれで素晴らしいことなんじゃないかなと思います』

もうひとこと:2011年10月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
水口翼社長の『もう一言』
『やっぱり人が増えれば増えるほどコミュニケーションが希薄化していく感じはありますね。だからといってマニュアルを作ってがんじがらめにするつもりはありません。飲みに行くのもいいですけれど、そのあたりが今後の課題の一つなんでしょうね』

もうひとこと:2011年9月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
正田勝啓社長の『もう一言』〜ものづくりへのこだわり〜
『当社の経営の基本は「正田塾」にあります。だからこそ「正田塾なくして社員なし」なんです。ですから、ものづくり精神を土俵の外に置いて相撲をするなんてことはありえません。私はものづくりを通して苦労した人の言葉こそ信じられる言葉だと思っているんです』

もうひとこと:2011年9月号「老舗のDNA」取材後記
安田容造社長の『もう一言』〜商品は信用〜
『社員に口うるさく言うのは、一に礼儀作法ですね。それともう一つ、利益最優先のがつがつした商売でなく、本当に汗水たらして良い物を作り、そうして出来た念珠を礼儀正しくお客様に薦めていくと。こういった地道な商売をすることによって構築された信頼、信用といったものは、どんな時代になってもやっぱり大きな支えになるものだと思っています』

もうひとこと:2011年8月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
フィアロコーポレーション・岩ア晃彦社長の『もう一言』〜多能工化への取り組み〜
『先が読めない今、フレキシブルな多能工をどれだけ育成できるかがこの先を決めるポイントになるでしょうね。なので“人”が大事です。だからこそ手間がかかります。それでもやっていかなきゃいけない。3代目として、この先何をすればいいのかが明確になってきた分、ものすごく仕事が面白くなってきました。「さぁこれから!」ですね(笑)』

もうひとこと:2011年8月号「Theロングインタビュー」取材後記
池田弘氏の『もう一言』〜経済とは本来、民を救うためのもの〜
『東日本大震災後の政府の対応や、原発事故の責任問題を含めて、今の政府は本当に何をやっているのかと思っています。経済政策もそうです。借金ばかりで人々が太刀打ちできなくなっているのにどうして増税なのか理解できません。経済というのは本来、民を救うためのものであって、一人ないしは少数の者たちが富むためであってはならないはずです。多くの人を救うために経済があるべきで、どんどん救いづらい方向に行ってしまっては残念ですね』

もうひとこと:2011年7月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
アイスタイル・吉松徹郎社長の『もう一言』〜今どきの若者論〜
『面接で学生と話をしていると、就職するっていう概念がすごく希薄になってきているように感じることがあります。しかもそれは私たちの世代が就活時に感じていた起業に対する情熱とも違っていて、「こういうサービスを作りたい」といったビジネスモデルをどんどん提案しているだけの未成熟な就業観のようなものなのかもしれません。要は、あまり“会社という箱”が先にないような意識で、「あっ、それ、会社にしないといけないんでしたっけ」みたいなところが、逆に面白いと思っています』

もうひとこと:2011年7月号「老舗のDNA」取材後記
川木建設・鈴木健二社長の『もう一言』〜企業は人なり!〜
『若いときには「企業は人なり」なんて言ってましたけど、だんだん本質が分かってくると、まさに「なんで人間力なのか」、「なんで人なのか」っていうふうに深く考えていくんですね。すると結局、全部生みだすのは人じゃないですか。やはり良い仕事をするには良い人材。良い人がやっぱりお客さんにも喜んでもらう原動力だと。だから社内の人は大切にしたいです。なんて、昔はこんなんじゃなかったんですけど、根幹は「自分が成長する」ってことに尽きると思います(笑)』

もうひとこと:2011年6月号「Theロングインタビュー」取材後記
西村卓二さんの『もう一言』〜リーダーはサブリーダーを持て〜
『年がら年中叱ってても逆効果ですから、やはりお父さん役とお母さん役みたいなのがいて、例えば、監督とコーチの2人でやっている場合は、監督が叱ればコーチはなだめると。コーチが叱れば監督はなだめるとかね。それが大事です。職場でもそうじゃないですかね。リーダーの横にはサブ的な役割をする人がいて、それぞれ役目がきちんとあるところに部下はついてくるんだろうなって思います』

もうひとこと:2011年6月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
北嶋實さんの『もう一言』〜やっぱり職人は体で覚える〜
『我々は現場で自分の体で覚えなきゃいけない仕事なんですね。数字とか言葉ではなかなか伝えることができないんです。難しいですけど、結局はこのやり方しかないですね。そういうことなんで、特に勉強的なことでの教育ではなく、実際に自分が現場で学びながら、自分の体で覚えていくと。そういうような繰り返しで今までも、これからもずっと生きていくんですよ』

もうひとこと:2011年5月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
ECナビ・宇佐美進典社長の『もう一言』〜業績評価と個人評価について〜
『例えば、事業責任者であったり、子会社の社長であったりということだと3つの視点があります。1つは、事業が成長してるかどうかで、粗利の部分ですね。これが成長しているかどうかっていう部分をまず見ます。2つ目は、組織がうまく回っているかどうかです。活性化しているかどうかであったり、組織面がうまく機能しているかどうかはやっぱりポイントになります。3つ目は、個人が成長できているかどうかです。この3つのバランスが大事で、どんなに景気が良くても組織がボロボロで、みんな不平不満を言って人がどんどん辞めていくとか、誰も成長してないっていう状況だとすると、それは評価としては良くないわけです。結局、そこのバランスがうまく取れてないと続かないので。なのでバランスを大事にしています。一方で、人とか組織ばっかり見ていても、やっぱり事業がうまくいかないっていう場合も考えられるので、とりわけ新規事業の立ち上げとかであれば、これはこうある意味で当社の仮説が間違っていたりとか、本人の努力以外の部分もどうしても関わってくるので、その部分をマイナスにつなげないように見ていくことは重要ではないですかね。いつまでも一つのことにこだわらず、それなりにリセットされて、じゃあ違う事業をもう一度ゼロから立ち上げてうまくいった場合もありますし。あとはまぁ、一般のスタッフとかですと、われわれの最低限の価値観に沿った行動ができているかを見て評価しますね。そのうえで能力とパフォーマンスの部分で評価をしていくっていう形になります』

もうひとこと:2011年4月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
ジュンコーポレイション・小板橋義和社長の『もう一言』〜地元の製造業発展のために若い自分たちができること〜
『頑張っている群馬県の製造業に活力を与えることができないかと自分なりに考えて社外にも活動の場を広げています。でも思うんです。私らより年上の人というのか、特に団塊の世代の人たちの考えというのは僕には合わないなって。協力会っていっても結局は飲んだりゴルフをしたり温泉に行ったりすることが中心で、「協力って何?」って思うこともしばしばあります。なんだか時間がもったいないような気がしてなりません。そんななか、本当に共存共栄で行こうということを私なりに訴え続けて10年が経ちました。ただ私が訴えても若輩者ですから誰も聞いてくれません。だからとにかく言い続けることにし、同時にここら辺のリーダーになる人を見つけなくちゃということで何人か社長さんとお会いして、ようやく「後継者塾」みたいな“子会”の組織を作ることができました。子会は刺激的ですよ。とにかく自分たちが動かなければ何も変わらないってことで、2代目の若手経営者たちが中心になってワイワイやってます。ようやく最近、“子会”のメンバーも“親会”に入り始めてどんどん活性化しているというのが現状です。時間はかかりますが、やっぱり楽しいですね』

もうひとこと:2011年4月号「Theロングインタビュー」取材後記
ルーク19・渡辺明日香さんの『もう一言』〜消費のカギは女性が握る〜
『消費のカギを握っているのは90%女性ですよ。家を買うのもクルマ買うのも最後は全部女性が決めています。だから当社の会員の98%は女性なんですけど、だからといって男性は関係ないなんて思わないでくださいね。実は女性の手から男性の手に渡して使ってもらうっていう販売方法もあって、例えば「育毛剤」。奥さんから「これ良いわよ。使ってみなさいよ」って言われると、まあほとんどの男性は「そうか」って使いますよね。別に女性の言いなりとは言わないけど(笑)。「これ、家内が薦めてくれたんだ」とか、「娘から薦められたから」ってことでニコニコしながらその商品を使えば価値観もさらに上がるってことです。だからこそそういうプロモーション方法もありってことをメーカーさんは意識するべきで、けっこう女性がいるからこそ売れるっていう男性商品も出てきているんですよ』。

もうひとこと:2011年3月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
株式会社マネジメントサポート・古谷治子社長の「もう一言」〜女性の戦力化について〜
女性は男性に比べて「細かい」ですとか、「感性」ですとか、もっと言うと「うるさい」というか「見極めの目」が優れていると思っています。具体的には「サービス」面においての女性の活躍が顕著で、とりわけお客様との接点においての見極めの目は男性のそれよりも勝っているのではないでしょうか。ですからそういったところの善し悪しを判断する、また問題があったとしたら「こういう風にするといいですよ」と、とにかく言い続けるのは女性のほうが上手です(笑)。1回でポーンじゃなくて、長くずっと指導育成をしていくっていうやり方は女性のほうがとても慣れているような気がします。そういったことを踏まえていうと、女性でも男性でもその活用のポイントとなるのは、やっぱり業種に応じたバランスが必要だなってことですね。ご参考になったら幸いです(笑)。

もうひとこと:2011年2月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
株式会社ウイル・奥山 睦社長の「もう一言」〜自立・自律〜
「これからの人材像ということになると、やっぱり国際的にものを見る目を持った人でなければいけないし、これはもう必須のスキルですよね。あとはやっぱり、時代を巧みにキャッチアップしていける人間でしょうね。知識社会の変化などを自在にを受け入れて、生産性を高めて、そして自身の価値を高めていくっていうことです。だからこそ常に勉強していく人材じゃないと厳しいと思いますね。研鑽して自己力を高めていって、その自覚とビジョンがいつでも描ける人。そういうのがやっぱり望ましい人材なのかなのかなと思います。難しいですけれどもね。自立と自律ですかね。
 自立という面でいうと、羽田空港の国際化なんてまさに大田区の企業が真に自立するチャンスだと思います。この先、いったいどんな時代になるんだろうってワクワクします。それを見届けなきゃっていう気持ちをエネルギーにして、今しばらくは自分の研究に力を注いでいくつもりです。自分を磨かなかったら真の意味での自立も自律もありませんからね」

もうひとこと:2011年2月号「人材活用 社長手腕」取材後記
株式会社ハー・ストーリィ・日野佳恵子社長の「もう一言」〜女性の方が堅実〜
「大企業の社長や経営幹部って男性がやっぱり多いですよね。女性経営者で大きな会社ってまだまだ少ないと思います。だからとって私は女性の社会進出がどうのこうのというのではなく、女性なら女性特有の視点で企業と消費者の橋渡し役になれればなと思ってやってます。20年も会社経営していて思うのは、女性は男性と違ってハッタリはなしですから、もしものときのリスク管理は女性のほうができているんじゃないかということです。堅実なんでしょうね。女性は遠くを見るより地面を固めながら、地に足がついた生き方をしたがるものなんです。反対に男性は空に向かっていくロケットタイプですよね。そういうのってあると思いますね」

もうひとこと:2011年1月号「人材活用 社長手腕」取材後記
株式会社大槇精機・大町亮介社長の「もう一言」〜社長としての喜び〜
「社長になって5年目を迎えようとしていますが、社長と認めてもらうまでになんだかんだでやっぱり2年近くはかかりました。古くから働いている職人さんたちも、『亮介がそういうんだったらしょうがねえな』みたいな感じでね。みんながひとつになれたかなって実感できたのはやっぱりここ2年ぐらいたってからですかね。
僕はできるだけ現場に顔を出すようにしているんですけど、僕が行くととりあえずは『社長が来た』ってなるわけじゃないですか。最初はこっちもぎくしゃくしていましたけど、最近嬉しかったのは、『社長にもっと現場に来てもらいたい』という声をもらったことなんです。『なんだか社長が来ると元気になるから』って。そんな風に言ってもらえるって幸せですよね。若い社員と僕の年齢は近いんですけど、僕もバタバタしているんでなかなかじっくり話をすることはできませんが、やっぱり時間を作らなくちゃだめですね(笑)。
 そんなこともあって、ボーナス支給の数日前から、社員一人ひとりとじっくり話をするようにしているんです。何時間かかるか何日かかるかはっきり決めていませんが、本音が聞けるまでやるっていうのが基本で、特に若手なんか社長とじっくり話せるってことで逆に楽しみにしてくれています。本当に嬉しい。だから僕もやりがいを持って堂々と仕事ができる。だから社員の皆さんには本当に感謝しているんです」

もうひとこと:2010年12月号「人材活用 社長手腕」取材後記
株式会社イマジンプラス・笹川祐子社長の「もう一言」〜キャッシュフロー経営〜
「今の仕事を始める前、20代の後半に思いっきり働かせていただいた会社には本当に感謝しています。とりわけ資金繰りに関する実践的な勉強は、イマジンプラスの経営に大いに役立っていますからね。実はこれ社員たちによく話すんですけれども、要するに赤字でも会社は倒産しない、キャッシュさえあれば会社は倒産しないんだと。逆にいうと、どんなに損益上黒字でも、手元に現金がなかったら会社っていうのは倒産するんだってことですね。
 とはいっても、何が何でも社長になりたいという野望まではなかったんですけれども、ゆくゆくは経営に携わりたいと思ったので、働きながら簿記の勉強をしました。毎週土日は簿記学校に通ったんですよ。金曜日は夜中から朝方まで飲んでいるのに、土曜日の朝9時には簿記学校の机にちゃんと座っていましたからね(笑)。それで、簿記3級の資格をとって、いわゆる決算書とか財務諸表が読めるようになったんです。資格をとって数年後、以前の職場の社長と一緒に資金繰りをしたとき、やっぱり実践の場でキャッシュフロー経営がいかに大切かってことがよく分かりました。ただ、損益だけ、決算書だけ見てて、これは黒字だとか赤字とかいうんじゃなくて、毎月毎月お金の出入りを細かく見るようになって一皮むけたような気がします。だから会社の若い子たちに言ってるんです。『よく遊べ! よく学べ!』って(笑)」

もうひとこと:2010年11月号「老舗のDNA」取材後記
株式会社小堀・小堀進専務の「もう一言」〜商売の基本〜
「この間、テレビを見ていたら、ミュージシャンの小田和正さんが出ていました。小田さんは必ずコンサートの前日に現地に入り、その町を歩くんだそうです。町の人たち触れ合って、自分から先にその町を好きになる努力をするそうです。あれだけのヒットメーカーなのに、その謙虚な姿勢にびっくりしました。つまりは『お客さんのこと深く知る』という努力ですね。翌日のコンサートではお客さんと一体になって、感動を呼ぶということです。すごいですよね。
 小田さんほどじゃないですが、私たちの『感動ミーティング』もそんなふうに謙虚な姿勢になってやってみようということで始めたものです。これまでの反省から、商品知識だけ頭に詰め込んだ仏壇屋でなく、顧客知識の勉強にも真剣に取り組む仏壇屋になろうという試みです。でも、やり始めて分かったのは、一番喜んでいるのは小堀で働く私たちだってことです。この“気づき”は大きかったですね。結局、大切なことはすべてお客様に教えていただきながら伸びるということじゃないでしょうか。それが商売の基本だと思います」

もうひとこと:2010年10月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
西島株式会社・西島篤師社長の「もう一言」〜教育に力を入れた国は栄える〜
「日本の伝統とか歴史とか文化というのは固有のものです。これが国際化の中に厳然とあって、その日本的なものを追求していくというのが私が思う国際化です。みんなが英語を習うことが国際化じゃないですからね。国際化とは何か、グローバル化とは何かというと、一言でいえば「日本的なことを極めること」。それが国際化。じゃなきゃみんなアメリカになっちゃう。だからそれを守るために、変えなきゃいけないものと守らなきゃいけないものがある。不易流行ですね。日本には天然資源もレアメタルも何もありません。だからこそ「人」が財産であり資源です。もっと言うと人を宝として生かしていかなければ日本の未来はないのです。そのためにも日本がやる手段は2つしかありません。1つは教育。もう1つは科学と言ってもいいけれど「ものづくり」です。産業立国としてはじめて日本が成り立ち、存在感を示せるわけです。申し訳ないですが、介護、医療などの内需型で産業立国になるなんてありえません。お金をたらい回しにしているだけだからです。日本がこれからも産業立国としてやっていくためには、教育とものづくりがこれからの大きなポイントになります。そこに創造性と勤勉性、あるいは向学心などが付いてくる。当社ではそれを大事にしたと思っています。モチベーションも上がりますしね。従って社員教育も大事です。学校でいう義務教育も高等教育も保育園の学習だって大事ですし、家庭教育もそうです。教育は国の柱です。教育にどれだけ予算を付けても付けすぎることは一切ありません。教育に力を入れた国は絶対に栄える。これが私の結論です」

もうひとこと:2010年9月号「老舗のDNA取材後記
半兵衛麩・11代目当主・玉置半兵衛(玉置辰次)氏の「もう一言」
〜うちは“老舗”ではなく常に“新店”です〜

「半兵衛麩はご先祖さんたちの苦労やお客さんとのご縁で商売ができているんです。ちなみに宮内庁御用達の看板をいただいていますが、あえてそれをパンフレットに載せたり、ホームページでことさら強調したりすることはしていません。理由は簡単です。天皇陛下を看板にすることはしませんし、またそれをしたら甘えが出てしまうからです。良い商品を作るのは当たり前のことですが、そのうえで良い商売をしようと思ったら、まずは良い人間になれというのも私たちのマネジメントの一つです。これが商売の基本中の基本かもしれませんね。その積み重ねで今があるということですね。ただし、世の中はどんどん移り変わっているのですから、これでいいと満足してはいけません。常に進歩している世の中についていかなければなりません。老舗の暖簾にあぐらをかいていたら商人としては失格です。ということで、うちは“老舗”ではなく、いつも“新店”という心がまえで商売をしています。考えてみてください。老舗というのは「老いた店舗」と書きます。こんな失礼な呼び方があるかって、父親もよくいってました(笑)。だから歴史はあっても半兵衛麩は“新店”だと、私は思っています」

もうひとこと:2010年8月号「人材活用 社長の手腕」」取材後記
青木製作所・青木常務の「もう一言」〜3Sのビギナーですけどよろしく!
「うちは戦前からある古い会社なので、僕らも知らないような荷物があちこちにあるんです。ほんとだったら床に置いてある荷物を全部上に上げて、床面を全部ペンキ塗ってきれいにしていけばいいんですけど、従業員が10人弱じゃなかなかできない。でも絶対にやりますよ。多少時間がかかっても少しずつ改善に向けてやっていきます。今はちょっと景気が悪くて仕事がないということもあって時間はたっぷりありますからね。でも何が出てくるんですかね。なにしろ兄も僕も、一度も開けたことがないんですから。楽しみでもあり怖くもありですね(笑)。また、これも3Sの取り組みの一つなんですが、使い終わった道具は必ず元あった場所に戻すようにしたんです。ちゃんとしている会社からすれば当たり前でしょうけど、実はこれ、なかなかできなかったところなんです。職人って、自分で道具を抱え込む傾向があって、あまり他人に貸したがらないんですね。逆にいうと、10名の職人がいれば道具は10人分いるわけですから経費がかかってしょうがないんです。それを今回改めて、誰もが使いたいときに使えるようにきちんと整理し道具の種類もリストラしました。もちろん使い終わったらちゃんと戻すことも徹底して。そうすると面白いもので、モノを大切にするようになるんです。以前はスパナでもモンキーでもそこらへんに放っておいたのに。中途入社の人にしても使う道具が一目で分かるので教える手間も省けますしね。いいですよ3S(笑)」

もうひとこと:2010年7月号「人材活用 社長の手腕」」取材後記
タニサケ・松岡浩会長の「もう一言」〜教育の前提は社員を喜ばすことにあり!
「私はよく『社員の喜びと会社の利益は比例する』と言ってますが、要するに、社員というのは喜んで出社してきたらちゃんと知恵出して頑張ってくれます。だから会社は儲かるようになる。そこに人材育成の一番のポイントがあるんです。だったらトップは社員が喜ぶことをすればいい。私はずっとそれをやり続けてきたんです。じゃあ、真の喜びの出社は何かというと、それは『社員が会社に歴史を残したときに初めて真の喜びが発生してくる』ということですね。会社に歴史を残すということは存在感ということです。いま現場はこうだけどこうした方がいいということに関して提案したことが、それが形として残るとそれは会社に歴史を残したことになる。そうすると、私はこの会社にいてもいいんだという存在感につながる。もっと言うとそれは社員の自信につながるということです。もっともっと言うと、社員の自信は笑顔にもつながります。要は人生と一緒で、他の人を喜ばせた時に初めて自分の歓びがあるんじゃないかな。その辺だと思う。だから上に立つ人には徳がないといけないでしょうね。『徳は自己犠牲に比例する』と。徳を高めようと思ったら、自分の時間を社員の喜びのために使い切る。自分がどれだけ人様のために自分の時間やお金を使ったかどうか。社長だからって外車を乗り回し、いい洋服を着ているというのでは説得力がないような気がします(笑)」

もうひとこと:2010年6月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
吉寿屋・神吉武司会長の「もう一言」〜これが“わが社の法律”です!
「なんだかんだ言ってますが、私は別に難しいことは何もしてないんですよ。当たり前のことを全員でしているだけ。ボールペンにしてもそう。必要な分だけ机に入れていれば仕事はできるんです。従業員だけでなく、お客さんもうちの会社に来たら自分の傘に名札を付けて管理してもらってますが、それも当たり前。『当社の法律』なんです。法律だから、それを創業以来ずっと守り続けているということですね。逆に言ったら、法律を守れない人には辞めてもらいます。その人がどんなに成績が良くても辞めてもらいます。その人に合う会社は世の中になんぼでもありますからそっちへ行ったらいいんです。トイレ掃除でもみんな本当によくやっています。もちろん交代制でね。倉庫の掃除も毎日やるのが当たり前。ゴミ一つ落ちていないのが普通なんです。そんなふうに、あえて決まりを作ることは重要です。きついように思いますけど慣れたらどうってことはないです。毎日毎日、整理・整頓・掃除をしているからうちの会社の空気はきれいです。思いっきり吸っていってください(笑)。空気がきれいになると正常なものの考え方ができます。正常なものの考え方ができると正常な仕事ができます。正常な仕事ができると業績は上がってきます。これは本当のことで、私の信念ですね。それがあれば、適正な利潤が確保でき、適正な教育ができるようになるという話です。どうでっか? おもろいでしょ(笑)」

もうひとこと:2010年4月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
日本電鍍工業・伊藤麻美社長の「もう一言」〜従業員から見た社長のイメージについて
「最初のうちは不安だったらしいですね、やっぱり。今でも“甘いよ”って言われる時もありますから(笑)。というのは、あまり私は怒らないんです。年に2回ぐらいですかね、怒るとしたら。それもよっぽどの時。なんで怒らないかっていうと、怒って良い結果に結びつくんだったらいいですが、怒っても相手が理解してなければ、そのムダなエネルギーを使っただけになるのがつらいからですかね。だからまずは理解してもらえるように話すことが基本です。子供じゃないですから。小さい子なら声の迫力で納得させることはできますが。大人になったらやっぱり、理解したかしないかってことになるので。ルール作りに関してもそうですね。あまりがちがちには作りたくないんです。私がルールを決めるんじゃなくて、『私は最近こういうことがおかしいと思うけど皆さんはどうですか?』って話をすることから始めます。で、1ヵ月以内にある程度ルール化するのかしないのかを皆さんで決めてほしいと。けっこうそれでうまくいってるんです。もっと怒らなきゃダメですかね?(笑)」

もうひとこと:2010年4月号「人材活用 社長の手腕」取材後記
樹研工業・松浦元男社長の「もう一言」
「うちの会社のベテラン連中は自分の仕事に自信を持っているから、若い者にビシビシ言ってくれますが、日本の国で今一番足らないそれでしょ。例の朝青龍のことだって日本相撲協会の指導者連中がだらしなさすぎますよ。あんなもの僕に言わせれば即刻解雇ですよ。何を遠慮しているんですかって。過去の功績なんか関係ありません。彼を解雇することによって相撲界がマイナスになるなんてことはどうでもいい。ダメなものはダメ。今回のバンクーバーオリンピックでもだらしのない服装をして謝っていた若者がいたけど、ああいう場合も即刻出場停止でしょう、普通は。そういうことをビシッとやらなきゃ。マスコミも甘いです。政治家もそうでしょ。それと政治家の資金問題の件も頭にくる。親から数億円のお金をもらっておいて「知らなかった」っていう総理もおかしい。僕らがそれをやっていたら税務署から指摘されますからね、脱税で。これが日本中にある。ダメなものはダメということが社会的に必要です。それは一般の会社も同じで、社長の経費の使い方なんてまさにそう。いくら自分の会社だからって、好き勝手に使っていいなんてことはあり得ません。会社は働く皆のものなんですから、誰かが注意しないとね(笑)」

もうひとこと:2010年2月号「スーパーシニアな人」取材後記
河村さん曰く「商社マンから大学教授になって、何が驚いたかといえば会議ですね。そもそも会社の役員会とか会議というのは、何か目的があってやるもので、何かしらの結論を出して次の行動に向かうための、ある種の指針みたいなものなんです。ところが大学の会議というのは、ただの弁論大会みたいなもので、とにかく自分が主張するだけ主張してどうしてもだめだったらタコつぼに入って知らん顔をしてればいいっていう感じで始末に負えないんですよ(笑)。これにはほとほと参りましたね。これが本当のカルチャーショックだと思いました。もちろん今では笑い話ですけれど。当時は本当に腹がたって腹がたって仕方がありませんでした(笑)」

もうひとこと:2009年12月号「スーパーシニアな人」取材後記
武道家・大塚博紀さんのとっておきの一言
「武道には負けた相手のことを思い遣る精神がなければいけません。だから空手の試合でガッツポーズをする選手がいたら僕は厳しく諫めてからこう言います。『優勝した人は負けた人の悔しさ悲しさ、寂しさ、そういうものを分かってあげられる人間になりなさい』と。たとえ金メダルをとったって、何年かすればオリンピックの選手だって人々の記憶から忘れられちゃいますからね。本当に大切なのは人生の金メダルを取ることなんですよ。
 子供達に心はいくつ持っている? と聞くと、たいていは『一つ』と答えます。心は一つだけれども、人の心には善の心と悪の心があるから二つなんだよと教えてあげるとキョトンとしてますよ(笑)。可愛いですね。空手もそれと同じ。思い遣りの気持ちを持った素晴らしい未来の人材が空手の道場から次々と飛び出して行ってもらいたいですね」

もうひとこと:2009年10月号「旬これスーパーシニア」取材後記
世の中には「曲がったことが大嫌い!」という人がいる。私もできればそうでありたいと常々思っているが、本音と建前じゃないけれど、「イザ!」という時になると自分の意見をコロコロと使い分けたりしてしまう。情けないことだ。一方、ジャーナリストであり、今は縁あって文化女子大学附属杉並中・高等学校の校長先生を務める野原明氏は正真正銘筋金入りの直球派だ。ちなみに先生は酒を飲まない。飲んで本音を語り合おうなんていうタイプではなく、真っ昼間に渋茶を飲みながら、時には机を叩きながら、堂々と議論を戦わせるのである。腹を割ってとことん話し合うから信頼関係が生まれて“野原ファン”も次々と登場する。北海道を舞台にした炭鉱労働問題のときも、旧国鉄時代の不透明なストライキの時も、とっておきのニュースはいつも誰よりも先に野原氏のところに届いたという。周囲の記者はいつも不思議がっていたそうだ。「記者クラブで発表された内容だけで記事をまとめ、一流のジャーナリズムを気取っているような人間は信用できない」。夢見る少女たちに囲まれて好々爺を演出しているように見えても、もう一勝負したいと第三の人生を描き続けるダンディズム。“文大杉並”に可愛い娘を入れたいと願う親は、実は母親よりも父親のほうが多いというのも頷ける。野原明氏の旬よ、いつまでも!。