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. | 2005.11 | . | ||
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イラストレーション:火取ユーゴ |
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飛月入日。NHKの朝のラジオに旅先から飛び入り出演。定年後CDデビューして高齢者の星とも言われるジャズ歌手、上山高史氏のロング・インタビュー番組だ。氏は子供の時からのキャリアがありプロ時代を経てサラリーマンになったが、歌はそのまま上手かった。同じような人は他分野にもいるはずで、たとえば野茂があのままアマ野球をやっていたら、一生プロより上手いアマチュアだった。こういう人たちが定年になって皆どっと名乗り出たら面白い。番組中流れた「Only
Look At You」という曲は、拙作ヴァイオリン・ソナタ「Chasin' the Phase」(vn松原勝也で04年初演)の第二楽章のメロディに歌詞をつけてもらったもの。このタイトルについては、うるさい関係者が「文法的にどうか」という疑問を呈したが、ロンドン在住の人、英国育ちの女性フルート奏者Miya、近所に住むテキサス育ちの茶髪女先生などに歌を聞いてもらって、こういう状況なら大丈夫という答を得ている。このタイトルの新CD(この曲は山下が伴奏)は12月発売予定。電話トークの最後は、アナウンサーが「今度山下さんもこの番組に出てくださいよ。出てくれるかな?」「いいとも。何だこの番組は」というやり取りになった。受信料支払いに影響するだろうか。 雅月楽日。宮中晩餐会などで宮廷楽団の雅楽奏者が西洋オケもやるという今の制度はよくないと、以前に月刊誌に書いた。無反応のままだったが、この間「ご提案は届いている。その後、バイオリンだけは外部から招いてもよいことになった」と、宮内庁関係者が教えてくれた。ひとまずよかったよかった。あのときご相談に乗っていただいた團伊久磨氏と高円宮殿下のお力のせいがあったに違いない。 邦月山日。大津で尺八の山本邦山さんと共演。奥様の山本雅楽邦さんが主宰するお琴の団体「正派白菊会」の演奏会のゲストで、第二部でデュオ。邦山さんは六十年代にシャープス&フラッツと一緒にアメリカのジャズ・フェスティバルに出演しているというこの分野の先駆者で、以来ジャズのキャリアも多彩だ。八十年代には一緒にデュオでヨーロッパ・ツアーをした。ベルギーのジャズ・フェスでは、フルートのギュンター・ハンペルと吹き比べになった。ハンペルはフルートで出すビョエーというフリーク音を決め手に売り出した人だが、なんといっても元祖ビョエーは日本の尺八だ。邦山さんの繰り出す強烈なモノホン芸の前で劣勢は否めなかった。今回もその時のフリー系の曲やスタンダードや民謡のテーマで、楽々と即興デュオを楽しんだ。 国月立日。「親子で楽しめる国立音楽大学ファミリー・コンサート2005」に参加。出演は、百瀬和紀指揮の「くにたち・ウインド・フィルハーモニー」。ソリストは、増田いずみ(SP)、武田忠善(cl)雲井雅人(sx)、 津堅直弘(tp)、三浦徹(Euph)。百瀬氏は森山威男(ds)の先輩パーカッショニストでN響時代の早くから我々のドシャメシャ演奏を聞きに来て励ましてくれた人だ。安心してドシャメシャ「ラプソディー」を弾く。ブラスの連中の打ち上げは盛り上がり間違いないと在学時代から知っているが、その時間は先約があり参加できず残念。 酒月場日。酒場「ホワイト」の三十周年記念本発売記念パーティ。筒井康隆ご夫妻や奥成達、繁兄弟など久しぶりや相変わらずの人たち無数と乱交。最後はステージで、村上ポンタ秀一(ds)、中村誠一(ts)、原田芳雄(vo)、内田裕也(vo)、桑名正博(vo.g)、吉川晃司(vo)、江口洋介(vo)、と一緒に大騒ぎとなる。どうしてこうなるかは、記念本「白く染まれ」(IBCパブリッシング、宮崎三枝子:著、糸井重里:タイトル、ビートたけし:帯)を読むと分かります。 耶月蘇日。オフ日が生じたのでドライブ旅行を企てる。今回は青森県の戸来村にあるキリストの墓を見るという動機を採用。早朝5時過ぎに出発して7時には東北自動車道を驀進。福島のあたりで道路の反動が三三七拍子になる仕掛けがある。白石とアテネ、平泉とワシントン、松尾村と北京の緯度が同じという標識をすっ飛ばして青森に入った。国道4号線から454号線と山に分け入る。昼なお暗い未舗装の道ですれ違いも危うい。そういえばさっき金田一温泉というのを過ぎたし、やはりこれは八墓村かと不安になったその時、前方に出現したのが「蛇沼小学校」とは、できすぎでねえの。気を取り直してなんとか戸来村に到着。墓は土饅頭のような盛り土の上に木の十字架が立っていた。キリストは21才で失踪後、弟のイスキリ共々日本で修業し、帰国して日本の素晴らしさを説いたが受け入れられず磔になった。しかし磔になったのは弟で、本人はまた青森に帰って来て天狗になったというのが大筋。なかなかのトンデモ話だ。イスキリというのが蕎麦を持ってきて蕎麦切りになったのではないかと直感が働くが、ま、こういうことは好きだがキリがないので(あ、意図せぬ洒落の連続)またいずれ。 「CDジャーナル」2005年11月号掲載 |
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