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失行は、麻痺や運動障害がないのにうまく動作できない

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交通事故サポートセンター(橋本行政書士事務所)

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失行とはなにか

【このページの目次】

1.失行とは

麻痺などの運動障害がなく、言われたことも理解しているにもかかわらず、日常生活で普段行っている動作がうまくできなくなることを失行といいます。

2.失行の種類

典型的な失行に、以下のようなものがあります。

  • 肢節運動失行・・・麻痺や感覚障害がないのに、机の上の硬貨をうまくつかめなかったり、ポケットに手を入れるときに小指が引っかかったりしてうまく入れられないなど。

  • 観念運動性失行・・・時間的・空間的な動き方に異常をきたしており、例えば道具を使わず、金づちを打っているまねの動作をしようとしてもできなかったり、「バイバイ」と手を振っていても、前後や斜めに手が動いたり一定の速度で動かすことができないなど。

  • 観念性失行・・・観念運動性失行が単一物品の操作の問題であるのに対して、観念性失行は一連の運動連鎖が必要な行為が障害されるという違いがあります。道具の名前、使用方法も分かるのですが、「紙を折って封筒に入れる」といった一連の動作ができない状態です。

  • 観念運動性失行や観念性失行が疑われる場合は、以下のような日常の動作を検査して確認します。
  • ●指示した動作がうまくできるか?(敬礼やバイバイ、気をつけの動作など)
  • ●道具を使う動作を、実際には道具を使わずまねできるか?(金づちでたたくとか、ねじをまわすような動作)
  • ●実際に道具を正しく持って使えるか?
  • ●道具を使った一連の動作ができるか?(急須とお茶の葉、湯飲みを使ってお茶を入れられるかなど)
  • 口腔顔面失行・・・観念運動性失行が口や顔面に起こったもので、口笛を吹けないとか舌打ちができない、などの症状が見られます。

  • 歩行失行・・・歩行のような、特に習わずにできるようなことができなくなります

  • 開眼失行・・・開眼のような、特に習わずにできるようなことができなくなります

  • 着衣失行・・・体と衣服を空間的に適合できず、衣服の上下、裏表の区別がつかない。ボタンがかけられない、などの症状が出ます。

3.失行の確認の検査

失行の確認の検査には、以下のようなものがあります。

ウェスタン総合失語症検査(WAB検査)の下位項目「行為」

ウェスタン総合失語症検査(WAB検査)の下位項目「行為」の中にある、上肢での左右別々での道具を用いない動作、道具を用いる動作、複雑動作に関する課題の実行につき評価します。

それぞれの項目で、口頭命令のみでできたとき3点、模倣でできたとき2点、実物の使用で1点、できなければ0点として点数化します。

標準高次動作検査(SPTA)

下記の表のように、大項目として顔面動作、物品を使用する顔面動作、上肢の習慣的動作、上肢手指の構成・模倣、など13項目があります。

SPTA

この検査では、できたかできなかったかだけではなく、錯行為、無定形反応、保続、無反応、拙劣、修正行為、開始の遅延、動作を言語化するなど、どういった行動をしたかという反応の質も評価されます。

上記の評価表は、日本高次脳機能障害学会のホームページよりダウンロードできます。

4.失行のリハビリテーション

失行の中でも、日常生活の中で特に問題となるのは、道具を使用するときに起こる観念性失行です。

リハビリでは本人のできないことをよく把握して、日常慣れ親しんでいる生活動作を主体に行います。

顔を洗う、歯を磨く、髪をとかすなどの動作の中で、うまくできない時には正しい手の動かし方、道具の持ち方などを指導して反復してやってもらいます。

また、起居動作・歩行のリハビリでも失行がある場合には、そういった状況を十分に理解して、ただ立ってください、歩いてくださいと指示してやらせるのではなく、正しい方向への手足の導きも重要です。


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