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交通事故サポートセンター(橋本行政書士事務所)
通常の外傷と、脳外傷(高次脳機能障害)での症状固定の考え方は違うのでしょうか。
以下に検討していきます。
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症状固定とは、自賠責保険においては「傷害が治ったとき身体に存する障害をいう」(自動車損害賠償保障法施行令第2条第1項本文)とされております。
これは「傷害に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達したとき」をいうことになります。
わかりやすく言うと、今後は治療を続けてもあまり良くも悪くもならない、安定した状態だなあ、ということです。
また症状固定日は、損害賠償では休業損害と後遺症逸失利益の区別の日となります。
つまり交通事故での補償(賠償)に関しては、
「症状固定までは治療費や休業損害、通院慰謝料を払いますよ」
「症状固定以後はそれらは払いませんが、その代わり逸失利益や後遺障害慰謝料を払いますよ」
というように、支払うお金の項目が変わります。
ただし症状固定日以降の補償をしてもらうためには、後遺障害等級が認定されることが必要です。
高次脳機能障害では、どの時点で「症状固定」とするべきでしょうか。
「症状固定とは」で述べた「医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない」というところの「治療方法」とは、リハビリによる各症状の回復が含まれることはいうまでもありません。
ですが頭部外傷以外のケガ、例えば
「足首を骨折して手術をし、その後リハビリも行って回復したが、足首はもとの1/2ほどしか曲がらなくなった」とか、
「人差し指の第二関節以降を切断し、その後第二関節以降を失ったまま傷跡が回復した」
というような場合に比べ、高次脳機能障害の症状固定については特別の注意が必要です。
高次脳機能障害では身体機能障害や認知障害だけではなく、直ちに労働能力の喪失の程度などを測ることが難しい社会行動障害のような症状も含まれますので、症状固定の時期は慎重に見極める必要があります。
高次脳機能障害で症状固定の時期を判断するには、器質的損傷の回復(固定)と、その後の各障害の回復の程度を注意して見ていく必要があります。
→【関連】症状固定は誰が決めるのか
器質的とは「解剖学的にかたちのあるもの」ということで、要するに物理的なかたちです。
頭部外傷を受けると医学的には、「外傷後脳室拡大は1〜数か月で完成し、以後はそのまま変化しない」とされています。
脳室とは、頭の中のくも膜と脳の隙間の空間、通常は脳脊髄液で満たされている部分です。つまり脳室が拡大するということは、その分脳実質(本体)が圧迫され、萎縮するということです。
外傷が原因で脳が損傷することにより、あるいはそのための出血などによって脳室が拡大することを、外傷後脳室拡大と言い、「外傷後脳室拡大の程度と脳外傷による社会生活適応能力の低下の程度とは強く関連する」とされています。
脳室拡大などの脳に対する直接的な圧力が止まれば高次脳機能障害の症状がそのまま固定するのではなく、その後のリハビリによってその障害は回復することがあります。
「医学上一般に承認された治療方法」にはリハビリによる回復も含まれているわけですから、脳外傷による高次脳機能障害の症状固定時期を判断するためには、リハビリによる回復およびその限界を考慮に入れることが必要です。
リハビリによる改善効果は1年ないし2年まで見られるとされていますから、これらの期間を目安にし、医師と相談しながら判断していくことになります。
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