遂行機能障害があると自分で計画を立ててものごとを実行することができません。人に指示してもらわないと何もできず、いきあたりばったりの行動をします。
遂行機能とは、「ある目的を達成するための一連の行為を手際よく行う能力」です。日常生活の中では意識しなくても、遂行機能を使った以下のような行動をしています。
@目標の設定
↓
A計画の立案
↓
B計画の実行
↓
C判断・評価
例えば、今日の夕食はカレーにしようと考えたとき(目標の設定)、レシピを考え(計画の立案)、足りない食材を買いに行きます。そうして材料をそろえたら野菜を刻み、肉を準備して炒め、カレールーを入れて煮込み、並行してご飯を炊いたりサラダを作ったりします(計画の実行)。その過程で、野菜を炒める具合を判断したり、味付けをし、濃い味、薄味など好みに調整していきます(判断・評価)。
遂行機能障害は前頭葉症状の一つで、このような一連の手順がうまくできなくなってしまいます。
見た目には、以下のような症状として現れます。
また、遂行機能障害があるときには、何かをやる際に通常通りであればできていても、いつもと違う事態が起きてしまったときにはうまく対処できず、そのまま行動しようとして困ったり、どうしてよいかわからず止まってしまったりします。
例えば電車に間違えて乗ってしまっても、乗り換えることができずに終点まで行ってしまうなどです。
臨機応変に対処することが苦手になるのです。
●確認の検査などは、こちらをご覧ください → 「前頭葉機能の検査」
一般的には前頭葉の障害、特に背外側の前頭前野の障害でこのようなことが起きることが多く、いわゆる「前頭葉症状」の一症状ととらえることも多くあります。
対応のポイントとしては、計画性のなさや段取りの悪さを補うために、手順書を作ってその手順に従ってもらうようにしたり、柔軟性に劣るのでなるべく臨機応変の対応をしないで済むような環境(変化の少ない作業など)を整えるといったことです。
支援者としては、本人の何がうまくできないかをよく理解し、根気よく対応することです。
できるだけ自分でやってもらうようにしてその意思を尊重し、できなかったり分からなかったりしたときは答えを提示して指導します。
そしてうまくできたときは「よくがんばったね」とほめてあげることです。
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