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交通事故サポートセンター(橋本行政書士事務所)
「認知症」「せん妄」「うつ病」などは、高次脳機能障害と似たような症状を現しますが、どう違うのでしょうか。
★徐々に悪くなる(進行する)のか、ゆっくり回復するのか、の違い★
認知症の原因の多くは、アルツハイマー病と脳血管性認知症です。
認知症と高次脳機能障害は後天的、つまりそれまでは健常だったのにある時期から認知機能の低下をきたす、という点については同じですが、もっとも大きな違いは、
認知症が一般的に認知機能が徐々に進行して行くのに対し、高次脳機能障害は傷害を受けて障害となってから、回復する部分があるということです。
つまり高次脳機能障害は進行的に悪化するわけではなく、症状を的確に診断、対処すれば症状の改善が期待できますので、時間がかかってもその症状に対する治療、リハビリテーションをしていくべきです。
★元に戻るのか、戻らないのかの違い★
せん妄とは、意識が混濁して言動がおかしくなったり、そこにないものが見えたり、大声で騒いだり、人を呼んだりする錯乱状態のことです。
せん妄は一日中続く場合もありますが、元に戻ることがほとんどで、高次脳機能障害とは別のものです。
昼間は目立たなくても夕方から夜に出現し、昼夜逆転のような状態になることを夜間せん妄といい、認知症の方に時々見られます。
「憂うつな気分」や「気持ちが重い」といった抑うつ状態がほぼ一日中あってそれが長い期間続く、というのはうつ病の代表的な症状です。誰しもが経験する憂うつな感情がひどくなった状態といえます。
一般的にうつ病は、脳に損傷が無いにもかかわらず機能的な問題として抑うつの症状を示す内因性のものがほとんどですが、脳卒中や外傷性脳損傷などの後でも憂うつで気持ちが重い、やる気が出ないといった症状をきたすことがあります。
内因性うつ病の原因は諸説ありますが、まだまだ説明できない点も多く、明らかになっていません。職場や学校、家庭などの環境要因などのストレスがかかわることも多いですが、特にそういった誘因が無くても発症する場合もあります。
脳卒中や脳損傷後のうつ病は、器質的な損傷(画像などで見て確認できる病巣)によるものであるとされています。例えば前頭葉損傷によって、表情が乏しく喜怒哀楽の感情が少なくなったような状態や、自発性の低下がみられるような様子は高次脳機能障害の症状ですが、うつ病の症状とも重なります。
脳卒中や脳損傷後のうつ病は、高次脳機能障害の症状の一つといえるのです。
高次脳機能障害の原因は、大きく
「内因性」のものと
「外傷性」のものに分けられます。
内因性の代表は脳卒中で、原因としても一番多いとされています。脳卒中は以下のように分けられます。
外傷性の脳損傷は、交通事故や転倒、転落で頭部に外部から衝撃が加わることで起こります。
高次脳機能障害の典型的な症状である認知障害、行動障害、人格変化は、主に脳外傷によるびまん性脳損傷を原因として発症しますが、脳挫傷や頭蓋内血腫などの局在性損傷との関わりも考えられ、実際には両者が併存するケースもしばしば見られます。
脳外傷による高次脳機能障害は、急性期(発症直後)には重篤な症状が現れていても、多くの場合は時間の経過とともに軽減していくといわれています。
ですから後遺症の判定は、急性期の神経学的検査結果に基づくべきではなく、時間を追って検査を行って回復の推移を確認するべきです。
上記の「典型的な症状」が後々まで残った場合、社会生活への適応能力が様々に低下していきます。これを社会行動障害と呼ぶこともあります。
軽症で忘れっぽい程度の障害であれば日常生活への影響は少ないと思われますが、重症では就労や就学は困難になったり、介護を要する場合もあります。
脳外傷による高次脳機能障害は、以下のような理由で見落とされやすいので、見落とさないための注意が必要です。
急性期の合併外傷のため、つまり目立った外傷がたくさんあることによって診療医が高次脳機能障害に気づかない。
家族や介護者は患者が救済されて意識が回復したことによって、他の症状もいずれ回復すると考えている。
被害者本人も、自己洞察力低下のため症状の存在を否定している。など
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