TEL.03-5393-5133
〒177-0042 東京都練馬区下石神井1-8-27-305
橋本行政書士事務所(交通事故サポートセンター)
耳の障害については両耳と一耳に分けて、聴力障害と耳殻の欠損について等級が定められています。
検査方法と障害等級の認定基準を以下に説明します。
聴力障害に関する等級認定のための検査は、
①純音による聴力レベル検査(純音聴力レベル)と
②語音による聴力検査(明瞭度)です。
オージオメーターを使用して検査をします。
聴力はデシベル(dB)であらわされ、小さい数値ほどよく聞こえるということなので、異常が大きいほどデシベル数は大きくなります。
500ヘルツ(=A)、1000ヘルツ(=B)、2000ヘルツ(=C)、4000ヘルツ(=D)の音に対する聴力レベルを測定し、(A+2B+2C+D)÷6で求めます。(6分式)
聴力検査は日を変えて3回行い(検査と検査の間は7日程度あけます)、2回目と3回目の測定値の平均純音レベルの平均によって行いますが、2回目と3回目の測定値の平均純音聴力レベルに10dB以上の差がある場合には、さらに聴力検査を重ね、2回目以降の検査の中でその差が最も小さい2つの平均純音聴力レベルの平均(差は10dB未満)を算出します。
語音による聴力検査とは「ア」「コ」などの言葉(語音)の聞き取りやすさを調べる検査です。
純音聴力検査と同様に防音室で、オージオメーターを使って行います。オージオメーターには語音の録音されたテープレコーダやCDプレーヤが接続されていて、ヘッドホンから流れる語音を聞いてその通りに発音するか、紙に書き、音の大きさを変えながら正答率を調べます。
検査値はヘルツごとに明瞭度がパーセント(%)として表示され、その最高値を最高明瞭度として採用します
語音による聴力検査は検査結果が適正と判断される場合、1回で差し支えありません。
チェック!! 後遺障害診断時の立証検査 【聴力障害】
|
人が音を聞くと蝸牛神経から脳幹部に神経電気的反応が生じるため、これを読み取って波形として記録したものです。
オージオメーターによる純音聴力レベルの検査や明瞭度の検査が自覚的聴力検査であるのに対して、ABR検査は他覚的な神経学的検査として行われます。
乳幼児や意識障害のある人にも実施が可能です。
両耳の聴力障害の等級と認定基準は以下の表のとおりです。
両耳の聴力を全く失ったもの
|
4級3号 |
両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
|
6級3号 |
1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
|
6級4号 |
両耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
|
7級2号 |
1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
|
7級3号 |
両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
|
9級7号 |
1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
|
9級8号 |
両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
|
10級5号 |
両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
|
11級5号 |
両耳の聴力障害の認定基準を表にまとめると、以下のようになります。
1耳の聴力障害の等級と認定基準は以下のとおりです。
1耳の聴力を全く失ったもの
|
9級9号 |
1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
|
10級6号 |
1耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
|
11級6号 |
1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
|
14級3号 |
耳鳴りについての等級は以下のとおりです。
耳鳴りに係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴りが常時あると評価できるもの |
12級 |
難聴に伴い常時耳鳴りのあることが合理的に説明できるもの |
14級 |
耳鳴りに係る検査とは、ピッチマッチ検査、ラウドネスバランスをいい、これらの検査により耳鳴りが存在すると医学的に評価できる場合に「著しい耳鳴り」があるものとして、12級相当となります。
この「難聴」とは、平均純音聴力レベルは40dB未満(聴力障害の基準を満たさないレベル)であっても、耳鳴りが存在するであろう周波数純音の聴力レベルが他の周波数純音の聴力レベルと比較して低下しているものをいいます。
耳鳴りが常時存在するものの、昼間外部の音によって耳鳴りが遮蔽されるため自覚症状が無く、夜間のみ耳鳴りの自覚症状を有する場合は、耳鳴りが常時あるものとして取り扱います。
耳鳴りの自訴があり、かつ、耳鳴りのあることが騒音暴露歴や音響外傷等から合理的に説明できることをいいます。
耳殻の欠損に関する障害の等級は以下のとおりです。
1耳の耳殻の大部分を欠損したもの | 12級4号 |
「耳殻の大部分の欠損」とは、耳殻の軟骨部の1/2以上を欠損したものをいいます。
耳殻の欠損障害については、外貌醜状障害としてとらえた場合の等級と比較し、いずれか上位の等級に認定されることになります。
例えば「耳殻の大部分の欠損」は第12級ですが、醜状障害としては第7級に該当するため、この場合は第7級が認定されます。
また、耳殻軟骨部の1/2には達しない欠損の場合でも、これが「外貌の単なる醜状」の程度に達する場合はは第12級とされます。
チェック!! 後遺障害診断時の立証検査 【耳たぶの欠損】
|
両耳の聴力障害については、障害等級表に掲げられている両耳の聴力障害の該当する等級により認定されます。1耳ごとの等級により併合するという取扱いはしません。
障害等級表では、耳殻の欠損障害について1耳のみの等級を定めているので、両耳の耳殻を欠損した場合には1耳ごとに等級を定め、これを併合して認定されます。なお、耳殻の欠損を醜状障害としてとらえる場合はこの取扱いは行わないことになっています。
耳殻の欠損障害と聴力障害が存する場合には、それぞれの該当する等級を併合して認定されます。
鼓膜に穴が開き(外傷性穿孔)、それが原因で「耳漏(じろう:みみだれ)」があった場合、手術などを行った結果、後遺障害等級に該当しない程度の聴力障害が残っていれば等級の認定となります。その場合、常時耳漏があるものは第12級相当、その他のものは第14級相当となります。
難聴を伴って著しい耳鳴りが常時あることが他覚的検査で立証可能であるものについては第12級、また難聴を伴い常時耳鳴りがあるものについては第14級相当となります。
関連項目 |