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後遺症認定(後遺障害等級の申請)手順は?期間は?判定は誰がするのか

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橋本行政書士事務所

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後遺症認定(後遺障害の申請)の手順は?判定は誰がするのか?

後遺症認定をする(後遺障害等級の判定をする)のは「損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所」という機関ですが、被害者が直接この調査事務所へ出向いたり、何かを持ち込んだりするわけではありません。

【このページの目次】

以下に「全体的な流れ」とそれぞれの段階での「具体的な手順」を見ていきます。


1.全体的な手続きの流れ

@

事故の怪我がある程度回復し、症状固定となったら、医師に後遺障害診断書を書いてもらいます。これが後遺障害認定の申請手続き(後遺症認定)のスタートです。

後遺障害申請の流れ
A

被害者から保険会社へ、後遺障害診断書を送ります(方法は「事前認定」と「被害者請求」があります)。

B

後遺障害診断書等の書類は保険会社から損害保険料率算出機構・自賠責損害調査事務所へまわされます。

C

損害保険料率算出機構・自賠責損害調査事務所で後遺障害の調査が行われ、等級の判断などがされます。
自賠責損害調査事務所は請求書類に基づいて、事故発生の状況、支払いの的確性、損害額等を公正かつ中立な立場で調査を行います。必要により事故当事者も調査します。

D

その結果が損害保険料率算出機構・自賠責調査事務所から保険会社へ通知されます。

E

保険会社から被害者へ、後遺症認定の結果が通知されます。


上記「A保険会社へ郵送」から「E結果の通知」まで、平均1.5〜2か月ですが、内容によっては3〜4か月かかったり、1か月程度で結果が出ることもあります。

結果に不服の場合は、
異議申し立ての手続きを行うことで、再申請することができます。


2.具体的な手順@ 医師に後遺障害診断書を書いてもらう

後遺障害診断書について

後遺障害診断書について

後遺障害診断書は、症状固定時において残存している症状(後遺障害)の内容を医師が記載したもので、後遺障害等級認定の申請に不可欠なものです。

これは医師が作成するものですから、被害者としては内容をあまり注意したり疑問を持ったりしないという方が多いかもしれませんが、後遺障害診断書は後遺障害等級が決まり、その結果賠償額にも大きくかかわる重要な書類ですから、内容をよく理解する必要があります。

 → 【関連項目】
   後遺障害診断書はいつ書いてもらう?

後遺障害診断書の内容について

後遺障害診断書の見方やポイントはこちら↓に詳しく説明していますが、

 → 【関連項目】
   後遺障害診断書の見方とポイント


重要なことは「残っている症状を第三者が判断できるように、所見や検査結果が詳しくきちんと書かれているかどうか」です。

医師は当然のことながら医療の専門家で、常に怪我の回復のために最善の治療を行っており、回復の程度を確認するための検査も全てご承知です。

ですが現時点で残っている症状を細かく書き出し、検査をしてあぶりだしていくという作業には、あまり情熱をもって当たってくれないかもしれません。

治療によってどれほど回復したかを確認したい医師に対して、どれほど症状が改善されずに残っているかを書いてもらわなければならないわけですから、仕方ありません。

ですから、残存症状を確認するための検査が不足していたら、こちらから医師に検査の実施と結果の記載をお願いしなければならないかもしれません。こちらは素人ですから、当然のことながら失礼のないようなお願いの仕方をしなければなりません。

医師へ要望をお伝えするタイミングとしては

(1)後遺障害診断書を書いてもらうための診察の際に(つまり事前に)、していただきたい検査をある程度お願いしたり

(2)あるいは一度医師に全てを任せて後遺障害診断書を書いてもらい、完成後に補足をお願いしたいことがあれば(つまり事後に)、改めて補足をお願いする


という方法があります。

事後にお願いする場合も、明らかに間違えている部分は訂正を求めてもいいですが(例えば上肢の「左右」を書き間違えているなど)、基本的には診断書は書きなおすのではなく「補足をお願いする」という姿勢です。


例えば必要な検査がされていなかったり(関節可動域の測定など)、増悪・緩解の見通し欄が白紙だったりした場合に検査の追加や追記をお願いする、ということです。


この「医師にこちらの意思を伝える(お願いする)」部分は最も神経を使うところですが、交通事故の損害賠償で最も重要な「後遺障害診断書」がどのように出来上がるかの重要な局面ですから、ここががんばりどころです。

複数の科の別々の医師にかかっている場合

複数の科で別々の医師にかかっている場合、それぞれの医師に別々の後遺障害診断書を書いてもらいます。歯科の場合は後遺障害診断書の用紙も違います。
そうすると症状固定日も違った日が記載されることになりますが、気にしなくても大丈夫です。

複数の箇所に同時に後遺障害が残った場合は「等級の併合」などがなされて等級が繰り上がることもありますので、後遺障害と思われるものは全て出すようにしましょう。

ーーーーーーもっと詳しくーーーーーー
●後遺障害診断書を書いたもらうことになったが、注意点は?

●後遺障害診断書を書いてもらうのは、今までかかっていた病院でないとダメ?


●後遺障害診断書はいつ書いてもらえるの?
 (治療期間6か月経過しないと後遺障害の申請はできないと聞いたが)

※各部位別のポイントはこちら↓
●眼の障害

●耳の障害

●鼻の障害

●口の障害

●醜状障害
●神経系統又は精神の障害

●内蔵及び生殖器障害

●脊柱及びその他の体幹骨の障害

●上肢の障害

●下肢の障害


→ こちらからメールか電話で相談する (相談方法の選択)

3.具体的な手順A 申請方法の違い「事前認定と被害者請求」

事前認定と被害者請求とは、後遺障害の申請の仕方の違いのことです。
後遺障害申請の手順
★事前認定とは、それまで治療の支払いなど「任意一括」を受けていた任意保険会社に、後遺障害申請の手続きなども頼むことです。

★被害者請求は、(これまで任意一括対応を受けていても)任意保険に頼まずに被害者から直接自賠責保険に後遺障害の申請手続きをする手続きのことです。

後遺障害診断書を自賠責損害調査事務所へ送る際には、その他に画像やこれまでの経過の診断書、診療報酬明細書など、他にも必要な書類がいくつかあります。

事前認定の場合は、任意保険会社の担当者が医療機関から画像を集めたり書類を集めたりしてくれるので、被害者にとっては「とても楽ちん」な手続きです。

それに対して被害者請求は、自分で自賠責から書式を取り寄せて「申請書類」を作成したり、印鑑証明書を取ってきたり事故の状況を説明する書類を作ったり医療機関から自分で画像を集めてきたりするなど、要するに手間がかかって煩雑です。

 → 【関連項目】
  被害者請求をする際の必要書類はこちら


では任意保険会社があるときは常に事前認定にすればよいのでは?

ただ、後遺障害認定は損害賠償に大きく影響することなので、任意保険に頼んで(事前認定にして)、担当者に「変なこと」をされたくない、あるいは自分ですべてを確認しながらやりたい、という場合には、被害者請求で後遺障害の申請をするのです。

「変なこと」とは、保険会社の顧問医の余計な意見書を付けたり、場合によっては必要なものを付けなかったりして、後遺症認定が受けにくくなるようにすることです。

また、被害者請求の場合は後遺障害等級が認定された時点で、自賠責保険から被害者へ後遺障害分の賠償金が支払われます。示談の前に一定額の賠償金(保険金)が先に受け取れるというメリットが、被害者請求にはあります。


後遺障害の申請手続きについてまとめると

事前認定

・任意保険会社に手続きを頼む。楽ちんだけど変なことをされるのでは?

被害者請求

・自分で自賠責保険に申請する。手続きや作業が煩雑で手間がかかるけど、任意保険会社に変なことをされる心配はない。
・示談する前に、後遺障害等級が決まった時点で自賠責分の賠償金(保険金)が受け取れる。


ということになります。

とはいえ、現実的には今どき「変なこと」とされるということはないと考えていいです。
事前認定は任意保険会社に任せておけば全て手続をやってくれるので、被害者への負担も減ります。
交通事故サポートセンターでは、以前は被害者請求をお勧めしておりましたが、現在は「示談をする前に自賠責からある程度のお金をもらっておきたい」という方には被害者請求をお勧めし、そうでない方にはどちらかご本人の希望をお聞きして、進めていくようにしています。

→ こちらからメールか電話で相談する (相談方法の選択)


4.自賠責損害調査事務所による調査

自賠責損害調査事務所において、加害者の賠償責任の有無や発生した損害の額などを、公正・中立な立場で調査します。

自賠責損害調査事務所とは何か
  • 自賠責保険から回ってきた被害者(または加害者)からの請求書類を受け、自賠責保険の損害調査を行う事務所で、損害保険料率算出機構の一つの機関です。

    自賠責損害調査事務所では、請求書類に基づいて、事故発生状況、支払いの的確性(自賠責保険の対象となる事故かどうかや、傷害と事故との因果関係など)および発生した損害の額などを公正かつ中立的な立場で調査します。

    請求書類の内容だけでは事故に関する事実確認が不十分な場合には、
    1.事故当事者に事故状況照会
    2.病院に照会
    3.事故現場調査
    など必要な調査を行います。

    自賠責保険会社で受付けられた請求書は、すべて自賠責損害調査事務所が調査し、その結果に基づいて最終的に各保険会社が保険金(損害賠償額)を決定のうえ、支払いがなされます。

    なお、一般の交通事故の場合は自賠責損害調査事務所による調査しか行われませんが、調査の過程で被害者に重大な過失があり自賠責保険から支払われないかまたは減額される可能性がある事案や後遺障害の等級認定が難しい事案など、自賠責損害調査事務所では判断が困難な事案と判断した場合には、その上部機関である地区本部や本部で審査が行われることになります。

    また、死亡事故で自賠責保険から支払われないかまたは減額される可能性があったり、脳外傷による高次脳機能障害という後遺障害に当たる可能性があるなど、高度な専門知識が要求され判断が困難な事案や、調査結果に対して異議申立がされているような事案の場合、特定事案として、
    自賠責保険審査会で審査されます。


5.認定結果に納得がいかない場合

後遺障害等級の認定結果に納得がいかない場合には、再審査を請求する制度があります。

まずは自賠責保険(または任意保険)会社へ、
「異議申立て」(再審査請求)を行います。実際には自賠責保険や任意保険会社は窓口となっているだけで、「自賠責損害調査事務所」に対して再度審査をしてもらうことになります。

初回の申請時と同様に自賠責損害調査事務所が審査をするので、等級の変更は一度出した結論を変えるわけですから、合理的な新たな医学的証拠が必要となります。

この「異議申立て」は何回もできますが、どうしても自賠責保険(自賠責損害調査事務所)の考えが変わらず等級も変わらない場合、この
「自賠責の判断はどうなのか。間違っているのかいないのか。」という判定をもらえる機関があります。

それが「
(財)自賠責保険・共済紛争処理機構」です。ここに申し立てるのです。
申立者(被害者)は「自賠責はこのような判断をしているが、●●の部分について判断の誤りがあり、本来なら●●となる。従って自分の後遺障害等級は●●級とされるのが妥当と考える」などと主張し、その内容を「公正中立で、専門的な知識をもっている弁護士、医師、学識経験者からなる紛争処理委員」が調停を行います。費用などは掛かりません。

それでも等級が変わらなければ、あきらめてその等級のまま話し合いに入るか、あるいは改めて本当の裁判をして、裁判官に後遺障害等級の判断を求めることになります。


関連項目

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