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橋本行政書士事務所(交通事故サポートセンター)
後遺障害が残った場合に請求できる「逸失利益」の対象期間は、一般的には67歳までとされています。なぜなのでしょうか。
交通事故で後遺症が残った時(後遺障害等級が認定された時)や、死亡した場合に、逸失利益が加害者側から支払われます。
逸失利益とは、もし被害者が生きていたら将来得ていたはずだったのに死亡したために得られなくなった利益(収入)のことです。
後遺症の場合も、被害者に後遺症が残ってしまったために、将来一定の割合で労働能力が下がってしまうために得られなくなった利益(収入)を逸失利益と言います。
例えば47歳で事故によって死亡してしまった被害者の場合、死亡しなければ得られていた利益は、事故直前の年収を収入と考えて、そこから一定の割合の「生活費控除」を差し引いた金額を、今後20年間(67歳まで)に渡って失った、と考えてそれを逸失利益として加害者が支払います。
67歳という年齢は、通常用いられる数値です。
「事故に遭わなければ67歳まで働けたはずだ」と考えているのです。
裁判でも紛争処理センターでも示談交渉でも、(むち打ちなどの神経症状は別ですが)逸失利益は67歳までとしています。
なぜ67歳か?
根拠は、なんと40年以上前の、1975年4月号の別冊判例タイムズ第1号にあります。
「稼動就労終了時期を67歳としたのは第12回生命表(昭和44年)0歳男子の平均余命67.74歳によったものである。すべての年齢の者の平均余命が即その年齢の者の就労可能期間とはいえないであろうが、一応0歳のそれを採用した」 とあります。
0歳の平均余命とは、いわゆる「平均寿命」です。
つまり1975年の平均寿命は67歳であり、その時に「就労可能年齢は67歳まで」と決めたことが、いまだに裁判や示談交渉でも使われているのです。
現在の平均寿命は、男性でも79.64歳だけど、それでいいのか?
67歳と決まったいきさつを知ってからずっと思っていますが、今のところ裁判官は変更するつもりはないようです。
なお、67歳を超えた方やあるいは67歳に近い年齢の方の逸失利益を考える際に、「就労可能年数は、その年齢の男子(または女子)の平均余命の半分」という計算方法を取るのが一般的です。
そうすると「今から67歳まで」と「今の年齢の平均余命の半分」のどちらが長いのかが問題です。
「今の年齢の平均余命の半分」の方が長くなる年齢は、現時点では男子は53歳、女子は48歳が境目です。
つまりこれ以上の年齢の人は67歳までではなく平均余命の半分として計算したほうが得だということになります。
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