全損害額150万円だが過失割合50%ある。この場合の支払額は?
全損害額150万円だが過失割合50%ある。この場合の支払額は?
- Q.後遺障害は無かったが、損害額が治療費70万円、休業損害20万円、通院慰謝料60万円の合計150万円だった。自分の過失が50%あるが、相手側保険会社からの支払いはいくら?150万円?120万円?75万円?
A.傷害事件(事故)で被害者と加害者が示談金の話し合いをする場合に、双方に過失があるようなとき、加害者から支払われる賠償金額は、過失相殺されて「加害者の過失分」のみが支払われます。
過失が50%ある被害者の全損害額が150万円だった場合、普通に考えれば50%を過失相殺されて75万円しか支払われません。ですが交通事故(自動車事故)の場合は自賠責保険があり、「任意保険会社は自賠責保険から支払われる金額を下回って支払いをしてはならない」ことになっています。
自賠責保険では被害者の過失が7割以上ある場合でないと支払額の減額はされません。
ですから「被害者の損害額が150万円で過失が50%だった場合、加害者が支払うべき損害賠償責任は75万円ですが、自賠責保険から120万円支払われますので、結果的に支払われる金額は120万円」となります。
「過失相殺(7割未満)後の金額が120万円を下回る場合は120万円が支払われる」ということです。
150万円の損害で過失割合は50%でしたが、受取額は120万円だったので20%減(自分の過失20%と同じ)ということになります。
ですが被害者にとって重要なことは、その内訳です。
本来であれば75万円となってしまうところ、自賠責があったので120万円でましたが、実はそのうち70万円は、治療費で使われてしまっています。
被害者に過失が半分あるからといって、病院が治療費の支払いを免除してくれるわけではないのです。
つまり120万円のうち、休業損害、慰謝料として被害者自身が受け取るのは、治療費を差し引いた残りの50万円です。
相殺前の損害額は休業損害20万円と慰謝料60万円の合計80万円だったのが、50万円(80万円に対して62.5%=自分の過失37.5%と同じ)になってしまいました。
このようなことですから、自分に過失が多い場合には、治療費を圧縮するために健康保険を使うことを検討しましょう。
なお損害額150万円、過失50%の場合、自賠責の120万円を超える部分の「30万円」に対してのみ過失50%がかかり15万円減額され、合計は15万円+120万円の135万円が支払われるのではないか、と考える人もいるようですが、現実にはこのような支払われ方はされません。過失相殺は損害額全額に対してかかってくるものです。