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過失割合(過失相殺率)とはなに?誰が決めるの?慰謝料との関係は?

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  2. 過失相殺とは

過失割合(過失相殺の程度)は誰が決めるのか

こちらでは過失相殺(過失割合)について、その意味と考え方などについて説明いたします。
<このページの目次>

1.過失相殺とはなにか(被害者にも過失がある場合)

交通事故は、加害者の過失が原因となって起こるケースが多いのですが、被害者にも過失があったという場合も少なくありません。例えば酒に酔った被害者が急に道路に飛び出してきたため、加害車両がこれを避けることができずに死亡させてしまった、というようなケースです。

交通事故では、事故の原因として被害者にも過失がある場合加害者の過失と被害者の過失の割合に応じて、損害賠償責任を負担させることにしています。それが
過失相殺で、どちらにどの程度過失があるかを数値で表したものを過失割合といっています。

 → 事故状況で当事者の意見が食い違ったら?(実況見分調書の取り方)


2.過失割合(過失相殺)は誰が決めるのか (警察が決める?)

過失割合(過失相殺率)は、被害者側と加害者側とで主張が食い違う場合があります。そもそも過失割合は誰が決めるのでしょうか。

究極的なことを言えば「裁判官が決める」ということになりますが、全ての事故が裁判になるわけではありません。

ですから通常は示談交渉をして
「被害者側と加害者側がお互い話し合って決める」ことになります。

と言っても何も根拠が無い状態で主張しても話し合いになりませんから、話し合いの資料として、蓄積された裁判例を参考に裁判所や弁護士会がまとめた算定基準が公表されています。
それが


「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版)・別冊判例タイムズ第38号」や「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(赤い本)」
などです。

 → 過失割合はどのように決められる?(判断基準)

警察は過失割合を決めるわけではなく、事故の事実を記録するだけです。

過失割合を決めるのは警察でも保険会社でもなく、驚くべきことに「話し合いで決める」わけですから、しっかりとした知識を身に着ける必要があるのだと思います。


※過失割合は話し合いで決めるので知識を身につける!


3.過失割合は賠償額に大きく影響する!

過失相殺における過失の程度のことを「過失割合」といいます。

例えば被害者の損害額が1000万円であったとします。この場合、被害者に20%の過失があれば、過失相殺により被害者が加害者に対して請求できる金額は、800万円となります。ですから下記の表のように、10%の過失割合の違いで100万円も、請求金額が大きく違ってしまうのです。

損害の合計 被害者の過失割合 被害者の請求可能額
1000万円 20% 800万円
1000万円 30% 700万円

したがって交通事故の損害賠償額においては、過失相殺をされるか否か、過失割合が何%になるかが重要な問題となるのです。

ーーーーーーもっと詳しくーーーーーー
●緊急自動車と事故を起こした場合の過失割合は!?

●無免許運転の場合の過失割合は?

4.被害者側の過失と過失相殺能力

過失相殺において被害者の過失を問題とする(被害者にも過失がある)ためには、被害者に事理を弁識する能力が備わっていることが必要とされています。事理弁識能力とは物事の善し悪しを判断できる能力で、小学校低学年程度(7歳ぐらい)になれば備わるとされています。

小学生になれば道路に飛び出せばどんな危険があるかを判断できますが、3〜4歳の幼児にはこのような能力もないのが普通です。この場合には、親や幼稚園の先生の監督責任が問題となります。

そこで幼児と親、または幼稚園の先生のような監督責任を負う人たちを被害者グループとして考え、親または先生の監督義務違反の過失を、「被害者側の過失」として過失相殺をしています。

また、過失相殺で問題となるものに
信頼の原則というのがあります。たとえば青信号で交差点を走っていたのに、信号を無視してバイクが交差点に入ってきてはねてしまった場合、相手が道路交通法を守るものとして信頼して運転していれば(信頼の原則)、過失責任を問われないというものです。


5.自分にも過失があるともらえる賠償額が減るだけじゃすまない!?

自分が被害者になってしまったけどこちらにも過失がある場合、損害額のうち過失の割合分を差し引かれてから相手から支払われる、ということは分かると思います。ですがそれだけでは済まないこともあります。

例えば被害者が自転車に乗って、信号のない交差点で四輪車と出合い頭に衝突したいう事故の場合、四輪車が広路(広い道路)で自転車が狭路(狭い道路)だったとすると、基本過失割合は 自転車に30%、四輪車に70% です。

この事故で自転車に乗っていた被害者のみが怪我をして、その怪我の治療費や慰謝料などの損害額が500万円だったとします(自転車の修理代金も含むと考えます)。

被害者の過失は30%なので、500万円の30%、150万円が差し引かれた残りの350万円が、相手から支払われます。ですがこれで終わりではありません。

自転車と四輪車の事故の場合、四輪車の方も、運転手は怪我をしていなくても車はダメージを受けて、修理が必要となることが多いです。

仮に車の修理代金が50万円かかっていたとすると、この
修理代金50万円のうち、被害者の過失分の30%(15万円)は被害者の責任なので、被害者が負担しなければならないのです。

「こっちは被害者なのに加害者の修理代を払うの!?」

と驚かれる方が意外といらっしゃいますが、言われてよく考えてみれば、みなさん分かります。
それほど、過失の割合がどうなるかは重要なことなのです。


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