ひき逃げに遭い、加害者がどこかへ行ってしまって分からない!という場合や、加害者が分かっているけど任意保険はおろか自賠責保険にも入っていなかった!というような状況で自分の怪我に対する補償がなされないような場合には、まずは自分や家族が自家用車を持っていたら、その自動車保険の人身傷害保険が使えるかどうかを調べてください。
車を持っていない場合、あるいは人身傷害保険があっても今回の事故では使えない、というような場合は、被害者としては最後の手段として「政府保障事業」を利用する、ということになります。
政府保障事業とは、上記のような「被害者への補償のよりどころが無い場合」に、被害者に対して政府が自動車損害賠償保障法に基づいてその損害をてん補する制度です。
てん補の対象となるのは、以下のような人身事故です。
@ひき逃げや当て逃げなど加害者が分からない事故。
法律的には「保有者が明らかでなく、被害者が自賠法3条に基づく損害賠償請求をすることができない事故」となります。
A泥棒運転による事故など、車の保有者は分かっていても自賠責保険が使えないような事故。
ただ泥棒運転でも、自動車の管理状況によっては保有者にも責任が認められて自賠法3条の請求ができることがありますので、そのような場合には自賠責保険を使って政府保障事業には請求できません。
→ 政府保障事業への請求方法
@物損事故
A自損事故
これらは自賠責保険と同様に補償の対象とはなりません。
B自賠責保険契約の対象外の車両(自衛隊や在日米軍の車両や、一般の自転車など)による事故も政府保障事業の店舗の対象とはなりません。
C加害車両が複数あるような「共同不法行為」の事故の場合、一方の車両がひき逃げをしてしまっても、もう一方の車両から自賠責保険が支払われるような場合も、政府保障事業の対象とはなりません。
D親族間事故(夫婦間、同一生計に属する親子やきょうだいの事故)も、原則としててん補を行わないことになっています。
政府保障事業に請求できる人(請求権者)や、補償の内容については、自賠責保険とほぼ同じです。
こちらをご参照ください ↓
自賠責保険の仕組みや計算方法について
政府保障事業に対する請求権の時効は、自賠責保険と同様に3年となっています。いつから3年かというと
傷害については事故日から3年
後遺障害については症状固定から3年
死亡については死亡日から3年
です。
ただ、加害者とみられる者がいて、その者が裁判の結果「加害者ではない」と確定したような場合には、その「加害者不明」が確定した時点から3年、という判例が最高裁で出ておりますので、このように運用されると思われます。
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