TEL.03-5393-5133
〒177-0042 東京都練馬区下石神井1-8-27-305
橋本行政書士事務所
|
交通事故の被害者が加害者に損害賠償を請求するためには、どのようなものが損害賠償の対象となるのかを理解して、具体的な損害額(請求額)を計算しなければなりません。
損害賠償の対象となるものには、
財産的損害と精神的損害
があります。さらに財産的損害は、
積極損害と消極損害
に分類されます。
積極損害とは、交通事故によって現実に支出した、または支出することになる損害のことです(治療費や車両の修理費など)。
消極損害とは、交通事故がなければ得られたであろう利益を失ったことによる損害のことです(交通事故で会社を欠勤しなければ支払われていたはずの給与など)。
※「示談金と慰謝料の違い」はこちらで説明しています→ 示談金と慰謝料の違いとは
精神的損害というのは、その交通事故によって被害者が感じた苦痛や不快感のことです。一般に慰謝料と呼ばれています。
交通事故で怪我をしたとき、あるいは死亡したときに、加害者に損害賠償を請求できる人(請求権者)の範囲は、以下の通りとなります。
<傷害事故の場合>
原則として被害者本人が請求権者ですが、本人が未成年者のときは、親(親権者)が法定代理人として請求することになります。
<死亡事故の場合>
原則として、死亡した方の相続人が請求権者となります。相続人とは
@配偶者と子(養子も含む)、子が死亡していたら子の代わりに孫
子、孫がいなければ A配偶者と父母(=直系尊属)
直系尊属がいなければ B配偶者ときょうだい
相続人は、亡くなった本人の損害を代わりに請求するのですが、その他に亡くなった本人の損害ではなく遺族となった方固有の権利として、慰謝料の請求ができます。慰謝料が請求できる遺族は、配偶者、子、父母、です。
また、結婚式は挙げたものの婚姻届けを提出していない、いわゆる内縁の夫婦の場合も、夫が死亡したような場合に内縁の妻も正式な妻と同じように損害賠償請求ができます。
ただ内縁関係が法律的に保護されるのは、実質的な夫婦と同様の生活をしている場合であり、いわゆる「愛人関係」では認められない場合が多いです。
<傷害事故だが被害者が意識不明の場合>
成年の被害者が意識不明など、意思疎通が難しい場合は、家族といえども本人の代理で自由に損害賠償請求を行うことはできず、「成年後見人」に選任してもらう必要があります。
成年後見人は、管轄の家庭裁判所に申し立てて選任してもらいます。
成年後見人は被害者の代理人として損害賠償請求や、財産の管理を行うことができます。
事故を起こして他人に死傷などの損害を与えた場合、加害者は被害者に対して損害を賠償する責任がありますが、被害者は加害者本人に対してだけではなく、以下の三者に対して請求ができます。
@運転者
事故を起こした車の運転者(加害者)です。故意または過失によって他人の権利を侵害した者として損害賠償責任があります(民法第709条)。
運転者が未成年であっても損害賠償義務を免れることはできません。
A使用者
運転者を雇って仕事をさせていた立場の人です。
使用者は、被用者(この場合は事故を起こした運転者)がその仕事中に他人に与えた損害を賠償する責任があります(民法第715条)ので、運転者と共に損害賠償責任があります。
B運行供用者
人身事故に限り、運行供用者にも賠償責任があるとされています。
運行供用者とは「自己のために自動車を運行の用に供するもの」をいい、具体的には
・(自動車の)使用者
・(自動車の)所有者
・自動車を他人に貸した者
・従業員が会社の車を運転した場合の、会社
・所有者を妻名義に変えていた車を、夫が日常的に運転していた場合の、夫
・レンタカーの貸主
・家族間で、持ち主は子供でも維持費等を親が負担している場合の、親
などです。
→【関連項目】妻が夫に請求できるか?(妻は他人か?)
損害賠償の算定基準には、代表的なものとして以下の3つの基準があります。
@自賠責保険の基準
A各任意保険会社の基準
B財団法人日弁連交通事故相談センターの基準
日弁連基準では、裁判例の集積を基に損害賠償額の基準を示しており、裁判基準とも呼ばれます。
※被害者は裁判基準で計算しましょう
関連項目 |