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橋本行政書士事務所
積極損害は実際にかかった費用★
積極損害とは、治療費や葬儀費など事故により被害者側が現実に支出した損害のことで、「払った実費」と考えていただければ結構なのですが、微妙なものもあります。
ここでは損害賠償請求の対象となる範囲のうち、傷害事故の積極損害となる項目について説明します。こちらでは被害者が損害賠償請求できることについて説明しています。
それぞれの実費について説明しています。
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治療費には診察料、検査料、入院料、投薬料、手術料、処置料等が含まれますが、原則として交通事故によって受けた傷害の治癒または症状固定までの時期に支出されたもののうち、必要性があり相当な範囲内での実費額が損害として認められています。実費額は診療報酬明細書や領収書などによって立証します。
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治療費の中でも「必要性や相当性」があるのかどうかが問題となることがあります。そのいくつかについて説明します。
過剰診療とは、必要性とか合理性が無いのに複数の病院などで治療を受けたり、不必要な入院、加療をするなどして不当な治療費を請求することです。
判断は難しい部分がありますが、医師の裁量を超えて明らかに不必要な医療行為がなされていたり、診療報酬額が普通より著しく高額な場合などは、治療費の一部または全部が認められないことがあります。
しかしながらセカンドオピニオンを求める必要性があったり、整形外科では部位によって(手関節や足関節など)専門医でなければ画像の判断や正確な診断などがなされないことなどもあり、実務上は過剰医療の判断はなかなか難しいところです。
個室や差額ベッド代がかかる特別室を使った場合、その通常の室料を超える部分については、特別な場合を除いては損害とは認められません。相手が払わないということです。
特別な場合とは、医師が必要性を認めたり指示をした場合や、症状が重篤で家族の付添や医療機器を多数使用するためのスペースが必要、というような場合です。
その他にも、裁判例では感染症に罹患している可能性がある患者や、精神症状がある場合などが認められたことがあります。
症状固定後の治療費は、原則として認められません。症状固定は症状が固定化しており、治療を継続してもこれ以上改善が望めない状態とされているためです。症状固定後は後遺障害として評価されて、別項目の後遺障害としての損害とされます。
→ 症状固定とは何か
症状固定後の治療費(将来の治療費)が例外的に認められる場合としては、上肢や下肢の関節を人工関節に置換したような場合です。
人工関節の耐用期間が10年などとされており、そのサイクルならあと3回は人工関節を入れ替える手術をする必要がある、などとして将来の手術代、その際の入院費などが認められることがあります。
また、歯牙欠損などでインプラントにした場合なども、一定の期間で更新の手術をする必要があるとされ、将来の治療費が認められることもあります。
〜コラム〜将来(症状固定後)の治療費をもっと詳しく「症状固定後の治療費」は原則として損害と認められず、賠償されません。 |
例えば、妊娠中の女性が交通事故に遭い早産とか死産、あるいは中絶を余儀なくされてしまった場合、この費用は当然損害として認定されます。
また、このような場合は積極的損害ではなく「精神的損害」となりますが、慰謝料も請求できます。とはいえ、胎児自身の死亡慰謝料ではなく、死産や中絶をすることとなった母親の苦痛に対する慰謝料ということになります。
医師の指示があるか、被害者の受傷の程度や年齢などから付添看護を必要とする場合には、付添費を請求することができます。
この場合には原則として、付添人を雇ったことでかかった実費の全額が損害として認められることになります。実費は領収書などによって証明します。
付添人を雇わないで近親者が付添人となった場合には、入院付添1日につき5,500〜7,000円、通院付添1日につき3,000〜4,000円を目安に認められます。
重篤な後遺症が残った場合には、介護の必要性の程度や内容に応じて将来の付添看護費が認められることがあります。
重度の後遺障害が残って生涯にわたって付添や看護が必要な場合には、将来介護費が認められます。
主に後遺障害等級の1級と2級で、脳挫傷や脊髄損傷などで全く体が不自由であるというような場合に認められることが多いですが、3級以下の後遺障害でも認められることもあります。
金額は、将来実際に支出すると予想される額です。近親者付き添いでは、常時介護を要する場合で一日について8,000円から9,000円程度、常時介護を必要としない場合は、その程度に応じて減額されます。
裁判例では、重度障害の場合には近親者(家族)と職業介護の両方の組み合わせで算定されることが多いようです。それぞれ近親者の年齢や被害者自身の障害の程度などを勘案して、被害者家族としてはなるべく有利になるように考えていけばいいと思います。
期間としては、一般的には平均余命までの年数です。
また、将来の介護費は症状固定から平均余命までの「将来の損害」を今現金で受け取るので、中間利息が控除されます。
将来の分を今いっぺんに受け取るのだから、それには利息が付くでしょう。その利息分は差し引きますよ」というのが中間利息控除です。
計算方法としては、後遺障害による逸失利益と同じですが、「対象となるライプニッツ係数をかける」ということになります。
例えばある被害者が、症状固定から平均余命まで今後20年間介護が必要となる場合、1年間の付添介護費を単に20倍するのではなく、20年に対応するライプニッツ係数をかけるということです。
20年に対応するライプニッツ係数は12.4622です。将来の20年分は、1年分を12.4622倍するということになります。
入院中、治療費以外にも諸種の費用を要することが通常です。これらの費用はおおよそ
@日常雑貨品費(洗面具、ティッシュペーパー、文房具、食器等購入費)
A栄養補給費(牛乳、卵、バター、茶・茶菓子等購入費)
B通信費(電話、電報、郵便代等)
C文化費(新聞・雑誌代、テレビ・ラジオ、賃借料等)
D家族通院交通費
に分類することができます。
一般にこれらの費用は少額で頻繁に支出されるものなので、被害者が領収書などによってこれをいちいち証明するのは大変ですし、実益も少ないものです。そこでこれらの諸雑費は、入院1日につき1,100〜1,500円を目安に定額化して、損害が算定されています。
治ゆまたは症状固定までの入退院、通院、転院などに本人が要した交通費です。
バスや電車等公共交通機関を利用した場合は、現実に支出した額を請求することができます。
タクシーを使用した場合、怪我の程度や交通機関の便などを考慮して、タクシーを使用することが相当な場合にはその全額が認められますが、そうでない場合には、タクシーを使用してもその区間の電車やバス代相当額しか認められません。
自家用車を使用した場合は、実費相当額(ガソリン代、高速道路代、駐車場料金)が認められます。そのうちガソリン代については、自賠責の基準である「1kmあたり15円」が一般的に採用されています。
被害者の家族などが見舞いや看護のために支出した交通費は、一般に入院雑費や付添看護費に含まれ、交通費として別途認められないと考えられています。しかし被害者の症状が重篤であったり、家族が遠隔地に住んでいるなどの必要性がある場合には、その交通費も相当な範囲で別途認められることがあります。
症状固定後も通院のために交通費の支出が必要な場合などは、将来の交通費として相当額が認められることがあります。
遠距離通院の場合は、その必要性が問題になります。
@ 被害者の居住地に医療機関が存在しない
A 主治医が治療上の必要から他の専門医療機関の受診を指示した場合
が認定の対象となります。
この場合、宿泊の必要性があれば妥当な金額が認定されます。
付添看護人が同行した場合は、被害者と看護人の交通費が認められます。
診断書等とは、診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書、医師の意見書、要看護証明書、要個室証明書、施術証明書・施術費用明細書、などがあります。
これらの費用は全て認められますが、取得のために要した交通費や切手代などは認められません。
診断書は、警察提出用と自賠責保険請求用の2通の費用が認められます。この診断書には死亡診断書・死体検案書が含まれます。
施術証明書は柔道整復師、あんま、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師が発行するもので、調剤薬局が発行する調査報酬明細書とともに発行に要する費用が認められます。
上記は「診断書等の費用」ですが、似たような項目に「文書料」があります。文書料は、交通事故証明書、被害者側の印鑑登録証明書、住民票の発行に必要な実費が認められます。ただしこれらを取得するために要した交通費や切手代は認められません。
義足、車椅子、補聴器、入歯、義眼、かつら、眼鏡、コンタクトレンズなどの購入が必要な場合には、その実費の相当額が認められます。その装具が将来にわたって必要な場合には、買い換え費用も認められます。
この損害は、いくつかのタイプに分かれます。
@子供が交通事故によって入院し、学校を休んだために勉強が遅れ、その遅れを取り戻すために補習を受けた場合
A留年したことによって新たに支払った授業料、あるいは事故前に既に支払っていてムダになった授業料
B自分が怪我をしたために子供の面倒を見ることができなくなったことにより負担した子供の保育料
いずれもその被害の程度、内容、年齢、家族状況に照らして必要性を認めることができれば、その費用の相当額が学習費として認められます。
ただしBは、被害者本人が休業したことによる損害と重なる面があるため、そちらの損害と調整されることがあります。
人間はいずれ死ぬのだから、加害者が葬儀費用を負担する必要はないのではないか、という議論がかつてはありました。ですが現在は、最高裁が葬儀費用だけでなく、墓碑の建設費用や仏壇の購入費用なども認めていることから、ごく普通に認められるようになっております。
金額としては、自賠責では60万円から、立証により100万円まで支払われますが、裁判の基準では130万円から170万円程度となっております。
関連項目 |