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橋本行政書士事務所
免責事由に該当してもあきらめない
任意保険の対人賠償保険は、簡単に言うと被害者が加害者の家族だった場合には支払われません(免責)。
保険の用語を使って言うと「被害者が、被保険者の父母、配偶者、子の場合には対人賠償は使えない」となります。
被保険者とは、
・記銘被保険者(保険の契約者)
・記銘被保険者の配偶者
・記銘被保険者または配偶者の同居の親族
・記銘被保険者または配偶者の別居の未婚の子
・記銘被保険者の承諾を得た使用者
記銘被保険者や車の所有者は私だとします。家族がこの私の車の事故で被害者になった場合、私の任意保険の対人賠償は使えない、というのが基本的な考え方です。
ですが自動車保険の場合、自動車損害賠償保障法の考え方(運行供用者責任)をもとに、加害者が被害者に賠償金を支払うというよりも「被保険者が被害者に賠償金を支払う」と考え、それぞれの被保険者ごとに個別に適用することになっています。
どういうことか、以下の例で考えてみます。
→【関連項目】妻は(保険契約上)他人か?
私(記銘被保険者)が私の車を運転していて自損事故を起こし、同乗していた私の子供が重傷を負ったとします。
この場合は被害者が被保険者である私の子なので、免責となり任意保険の対人賠償保険からの支払いはありません。これは分かります。
ただその時運転していたのが、私の承諾を得て使っていた私の友人(他人)だった場合、私は記銘被保険者なので被保険者ですが、この友人も「記銘被保険者の承諾を得た使用者」として被保険者となります。そしてこの友人と私の子は親族関係にはありませんので、この場合は免責受有に該当せず、私の保険の対人賠償が使えて私の子に対して支払いがなされます。
私がマスオさん状態だったとします。同居は「妻の両親」と「妻のきょうだい」と「私と妻の子」です。この家族構成から、私だけ単身赴任で別居をしていました。
引き続き単身赴任のままですが、ある長期休暇の時に私は私を記銘被保険者とする自動車保険に入っている私名義の車で実家に戻りました。帰省中、その車を使い、私の妻が同居の自分の母を駅まで送って行く途中で自損事故を起こし、妻の母が怪我をしました。
この場合、被害者は被保険者である私の妻と同居の親族なので、免責で対人賠償保険は使えません。ですが規定で「被保険者ごとに個別に適用する」となっております。
私は記銘被保険者なので当然被保険者であり、私から見ると妻の母は「同居の親族」ではないので、免責事由に当たりません。
従って、この場合も結論としては対人賠償保険が支払われることになります。
ですから家族にけがをさせてしまった、被害者が自分の家族だから対人賠償保険は使えない、とすぐにあきらめるのではなく、よく約款を読んで検討する必要があるということです。
自分の思い込みや、世間一般に言われていることをうのみにするのではなく、一度専門家に相談してみてください。
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