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妻は他人でしょうか。自賠責保険と任意保険で異なります。

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妻は他人か

妻は他人でしょうか

交通事故による自動車保険の請求では、たまに「他人性」が問題となります。


自賠責保険任意保険の対人賠償責任保険は、ある人(保険に入っている人=記名被保険者)が、他人の生命や身体を害して損害を与えたときに、その損害賠償を加害者に代わって行う(お金を払ってくれる)ものです。

ですから自分が起こした事故で自分が怪我をしても、自分が加入している対人賠償保険からは支払いがありません。
対人賠償は他人に支払うものだからです。

これは当たり前で、誰でもわかることです。

ですが自分(記名被保険者)が起こした事故で、自分の奥さん(配偶者)に怪我をさせてしまった場合はどうでしょうか。
「奥さんは自分とは別人なのだから、それは当然対人賠償から支払われるでしょう」
記名保険者は自分であり、奥さんではないのだから当然払われる、と考えそうなものですが…


結論としては、自分が起こした事故で奥さんに怪我をさせてしまった場合、自賠責からは損害賠償金が支払われます
これは昭和47年の最高裁判決(「妻は他人」事件)以降、自賠責から支払われるようになったのですが、それまでは自賠責は、このような場合の支払いにはあまり応じて来ませんでした。

このような事故で、家族の一方が損害賠償責任(債務)を負い、もう一方が損害賠償請求権(債権)を持つ場合、妻に限らず同居の親族の場合は実質的に財布が一つであり、通常なら相殺されて差し引きゼロ、その財布のお金の出入りは無いはずなのに、保険に加入しているために「債権者と同じ財布の債務者」の財布の中身が増えてはおかしい!
だから妻は他人ではなく、保険から賠償金は払えない、という理屈だったようです。

ですが昭和47年の最高裁判決で

「自賠法3条は、・・運行供用者・・・及び運転者以外のものを他人といっているのであって、被害者が運行供用者の配偶者等であるからといって、そのことだけで、かかる被害者が右にいう他人に当たらないと解すべき論拠は無く(以下略)」

とされ、これ以降、自賠責では他人として配偶者に損害賠償金を払っています。

注意するべきなのは、自賠責ではなく任意保険は約款で「被保険者の父母、配偶者、子供が被害者になったときは対人賠償の支払いはない」と明記されており、このとおり対人賠償の保険金(賠償金)は支払われません。

ただ、任意保険はこのような(親族間の事故の)場合、対人賠償保険の他に人身傷害保険や搭乗者傷害保険などで補償がカバーできるようになっています。

妻が自分と同一人物ではないという当たり前のことが、結構難しいのです。

 →さらに自賠責の「他人」について(共同運行供用者の他人性)


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