違法に駐車している車にぶつかって怪我をした場合、駐車していた車(の運転手)にも過失がある(責任がある)のでしょうか。
道路交通法によれば、駐車とは、車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止するもの、または車両等が停止し、かつ当該車両等の運転者がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう、とされています。
駐車車両の注意義務の内容を判断するためには、まずは駐車に関する法規制を見る必要があります。
運転免許証を持っている人は、駐車禁止の場所は一応理解しているはずです。つまり道路標識などで駐車が禁止されている場所や、交差点の付近や上り坂の頂上など「法定駐停車禁止場所」などのことです。
しかしながら、違法駐車であるからといって、事故があった場合直ちに過失があるということにはならず、駐車の場所や方法が不適切であるため、その道路の交通の危険が著しく増大し、その結果として事故が発生したといえる場合に駐車車両の過失が認められることになります。
具体的には、上記道路交通法の規定を参考にして、道路の形状、広狭、交通量、時間帯(夜間、昼間)、明るさ、見通しの状況、気象状況、駐車車両の大きさ・色、駐車の目的・時間、駐車の位置・方法、他の交通に生じた支障の程度、駐車の後に必要とされる措置を取ったかどうか、衝突車両の速度、前方注視義務違反の有無・程度、運転ミスの有無などの事情を総合的に考慮して、過失の有無を判断することになります。
駐車車両が原因となって発生する事故で最も多いのは「駐車車両へ他の車両が追突する事故」です。
夜間、国道の駐車禁止場所に駐車灯を付けずに駐車していた大型クレーン車にバイクが追突した事故で、駐車車両に40%の過失を認めた判例があります。
似たような事故で駐車車両に35%の過失を認めた判例もあります。
この他にも事故の様態として「駐車車両を避けようとして転倒、またはほかの車両・歩行者などとぶつかった事故」や「駐車車両が障害となって見通しが悪かったために他の車両や歩行者と衝突した事故」なども考えられます。
これらの場合はより複雑な過失割合となってきますので、その事例ごとに判断しなければならないでしょう