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間接損害(企業・会社の損害、親族の損害)は補償されるのか

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間接損害(被害者本人以外の人の損害)はどう考えるのか

交通事故が発生した場合、加害者に対して損害賠償を請求する人は、直接怪我をした被害者(直接被害者)ですが、まれに直接被害者以外の人が、以下のような理由で被った損害を事故の加害者に請求することがあります。

1.直接被害者が勤務する企業が、間接的に損害を被った場合(企業損害)

2.直接被害者が死亡するなどして、その家族がショックで精神疾患などを発症した場合


以下に検証していきます。


1.企業損害

企業損害

企業が損害賠償を求めるパターンは、以下の二つがあります。

@反射損害

  • 会社役員や従業員が受傷したために就労できなかった期間も、会社が役員報酬や給料を支払い、それを加害者に請求する場合(肩代わり損害

A固定損害

  • 役員や従業員が受傷したために就労できなかったことにより、会社の売り上げが減少したこと等による損害を請求する場合
    ※被害者の休業損害とは別の問題

認められるかどうか

普通に考えるとどちらも事故が原因で生じた損害なので、当然認められるのではないかと思います。

ですが学説では、民法は
損害賠償を請求できる主体(請求権者)は、(民法711条の近親者の慰謝料を除いて)直接の被害者に限られる、という考え方が支配的で、このことを原則として判断されています。

@反射損害

  • これは本来加害者が支払うべき被害者の休業損害を、会社が肩代わりして加害者の代わりに払ったものですから、裁判例では会社からの損害賠償請求が認められるものが多くなっています

    ですが実務上、つまり保険会社と被害者との話し合い(示談交渉)では、なかなか保険会社は認めてくれません。

    「会社から役員報酬(給与)が払われているのだから、あなたの収入は減っていませんよ」「でもそのために会社は損をしました」
    「会社は交通事故の被害者ではないので、うち(任意保険会社)からあなたの勤務先の会社には払えません」

    などという感じの会話が交わされます。
    認めさせるには、じっくり話し合うか裁判をするしかないかもしれません。

A固定損害

  • これは「会社の役員や従業員が休んだので会社の売り上げが落ちた。その損害を支払え」と会社が請求する場合です。

    この訴えは原則として認められませんが、限定的に認められる場合があります。
    限定的な場合とは、いわゆる個人会社など、会社と直接被害者との間に経済的一体の関係がある、つまり会社といってもほとんど個人事業と変わらないような場合です。

    これは資本金額、従業員数、売上高などの企業規模や被害者の地位や業務内容なども勘案され、判断するにはなかなか簡単はことではありません。

2.直接被害者の親族などがショックを受けたことについての損害

親族の損害

民法711条では、死亡した被害者の一定の親族は、被害者の損害賠償請求権を相続することとは別に、その親族固有の慰謝料が認められています。
それ(711条)以外の損害が、直接被害者ではない親族に認められるのか、という話です。

例えば子供(または夫)が交通事故で死亡した場合、その親(または配偶者)がショックでPTSD(心的外傷後ストレス障害)にり患し、後遺障害となったので、その後遺障害(PTSD)の後遺症慰謝料や逸失利益を請求した裁判では、多くは否定的(請求は認められない)です。
(※心療内科等の治療費のみは払う、という場合はあります)

民法711条で近親者の慰謝料が支払われるのだから、その範囲内でガマンしなさい、ということです。
これもやはり、本件交通事故で損害賠償請求権を持つのは直接被害者のみだから、という考えに基づくもののようです。

ただ重傷の被害者の付き添いで家族が仕事を休んだために家族の休業損害を請求する場合、これは直接被害者自身の損害である付き添い費として、「付添費」または「家族の休業損害」の名目で支払いが認められています。

大まかには上記のような感じですが、個々のケースで判断が難しい場合が多いので、よくわからない場合はお問い合わせください。


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