個人事業主等の事業所得者が、事故による怪我で仕事ができなくなり、そのために取引先から契約を解除されたり、廃業を余儀なくされたり、あるいは事業の再開時に余計な経費が掛かったりしたような場合には、損害として認められるのでしょうか。
上記の損害は厳密には「休業損害」ではなく、休業に関連する「その他の損害」となりますが、裁判例ではきちんとした立証をして事故と因果関係があると認められれば「因果関係がある範囲」について損害として認定されます。
例えば東京地裁平成18年7月19日の判決では
DVD制作の企画演出などを請け負っている個人事業主が、事故による怪我のために仕事ができなくなった件で、制作会社から請求された損害賠償金や、本人がもらうはずだった演出料や著作権料などが事故と因果関係がある損害
と認められています。
また、東京地裁昭和61年10月30日の判決では
寿司店経営者が、事故後の休業による客離れへの対策として営業再開にあたり、新聞折り込み広告を出し、顧客に肌掛け布団等を送るなどした件で、広告料の一部を事故と因果関係がある損害
と認めました。
個人事業主の場合は自分がいないと事業自体が止まってしまうことになりますので「休業により派生した損害」もきちんと請求するようにしたいものです。
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