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橋本行政書士事務所(交通事故サポートセンター)
頚椎・腰椎の捻挫や脊柱、脊髄の疾患と後遺障害について、説明していきます。
脊髄が損傷すると、排尿障害が生じることがあります。
膀胱の機能は、尿をためること(蓄尿)と出すこと(排尿)ですが、これには脳、脊髄などの神経が複雑に関与しています。
脊髄のどの部分が障害を受けても排尿障害は起こりえますが、これは膀胱の機能が障害されているということで、神経因性膀胱と呼ばれます。
脊髄の損傷部位によって、上位型(仙髄より中枢の神経)と下位型(仙髄より末梢の神経)の二つに分けられます。
上位型では膀胱が過敏な状態になり、膀胱に尿をためられず、頻尿や尿失禁などが起こります(蓄尿障害)。
下位型では膀胱が伸びきった状態になり、収縮することができなくなることにより、尿意を感じにくく、ほとんど自分で尿を出すことができなくなります(排出障害)。
腹圧により排尿ができているように見えることもありますが、残尿などの問題があります。
これが継続すると、尿路感染を起こし腎機能障害に発展することもあります。
一定量の尿を膀胱内にためる「蓄尿」に障害があると、尿失禁として現れます。
尿失禁とは意思に反して尿が尿道や尿道以外の場所から体外にもれる状態をいいます。
神経因性膀胱での尿失禁は以下の3つが考えられます。
①持続性尿失禁
これは、常に尿がもれる状態です。膀胱括約筋損傷や支配神経の損傷で出現します。
②切迫性尿失禁
急に尿意を覚えて、トイレに行こうとしても我慢できずに途中でもらしてしまう状態です。
③腹圧性尿失禁
重い荷物を持ち上げた時や、走ったりジャンプをした時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った時に尿がもれてしまう状態です。
②と③は非持続性です。
現状の排尿状態を少しでも回復し、腎機能などの上部尿路機能を維持することが重要です。
自排尿の管理を行うため、薬を内服し、間欠自己導尿を併用します。
間欠自己導尿とは、何らかの原因で自分で尿を出せなくなった場合に、一定時間ごとに尿道から膀胱にカテーテルを入れて、膀胱内にたまった尿を排出する方法です。
患者本人や家族が行います。
排尿障害は排出障害と蓄尿障害に分けられます。
排出障害は、残尿感や尿閉などの症状が現れます。
●高度の排尿障害が認められるものは9級11号
これは医師により脊髄損傷などによる神経因性膀胱が排尿障害の原因であると診断され、残尿が100ml以上であることがウロダイナミクス検査で立証された場合です。
●中程度の排尿障害が認められるものは11級10号
これは医師により脊髄損傷などによる神経因性膀胱が排尿障害の原因であると診断され、残尿が50ml以上100ml未満であることがウロダイナミクス検査で立証された場合です。
【ウロダイナミクス検査】
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●持続性尿失禁であると医師に認められるものは7級5号
これは、以下の二つの要件をいずれも満たすことが必要です。
①膀胱括約筋の損傷または支配神経の損傷が医学的に確認できる。
②上記の損傷により蓄尿の機能が失われていることが医学的に確認できる。
そして持続性尿失禁以外の尿失禁(切迫性尿失禁または腹圧性尿失禁)と診断された場合は以下のいずれかになります。
●高度の尿失禁であると医師により認められるものは7級5号
これは尿失禁のうち、常時パッド等を装着しなければならず、かつパッドをしばしば交換しなければならないと医師により認められるものです。
●中程度の尿失禁であると医師により認められるものは9級11号
これは尿失禁のうち、常時パッド等を装着しなければならないが、パッドの交換までは要しないと医師により認められるものです。
●軽度の尿失禁であると医師により認められるものは11級10号
これは尿失禁のうち、常時パッド等の装着は要しないが、下着が少し濡れると医師により認められるものです。
●頻尿を残すと医師に認められるものは11級10号
これは以下の3つの要件のいずれも満たす場合です。
①器質的病変による膀胱容量の減少、または膀胱もしくは尿道の支配神経の損傷がウロダイナミクス検査で立証されていること。
②日中8回以上の排尿が、医師により認められること。
③多飲など、頻尿となる他の原因が認められないこと。
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