会社員ではない「事業所得者」(個人事業主)の休業損害については、基礎収入額(収入日額)は事故前年の確定申告所得額に基づいて認定されます。
その場合、経費等を水増ししていたので収入に対して実際の所得はもっと多いのだ!と主張する被害者がいます。
確定申告を上回る所得があったという主張自体が無効というわけではなく、現実の収入状況が立証されればその金額に応じた休業損害が認められることはあります。
ですが実際には、保険会社はもとより、裁判でもかなり確実性のある立証が求められますので、確定申告に基づかない主張が採用されるのは簡単なことではありません。
では過去の分をさかのぼって「修正申告」をして、過去の分の税金を追加で払ってでも(本来の)所得が多かった確定申告書に変更(修正)して証明書としよう、という人もたまにいます。
原則として事業所得者の収入や所得の証明は確定申告書に基づく、と説明をしましたが、実務上は、事故後に修正申告をした確定申告書はそう簡単に認められるものではありません。
裁判例でも修正後の確定申告書に基づいた所得が認められた例もありますが、修正した理由や修正後の金額についての客観的な資料なども必要となってくることが多く、容易なことではありません。
「節税はするけど休業損害や逸失利益は目一杯いただこう」というのは、なかなか難しいことのようです。
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