(質問)
交通事故に遭い入院もしましたが、損害賠償金に加えて自分の加入している生命保険や傷害保険ももらえるのですか?また、労災保険の給付金はどうですか。
(回答)
保険の制度は、事故によって生じた被害者の損害を填補して最終的に当事者の公平を図るものです。ですから被害者に対して二重に損害を填補する、いわゆる二重取りは許されません。
一般的に、被害者が治療によって仕事を休業したことで収入が減少した場合は、休業補償として損害賠償を請求できます。同様に労災保険も災害にあって就労できなくなったために減少した収入を填補するものです。これらは同じ趣旨に基づいた制度なので、労災保険で支払われた額は損害賠償額から控除されます。
一方、生命保険や傷害保険は、保険契約に基づいて払い込まれた保険料の対価として保険金が支払われるというものです。しかもその保険金は、具体的な損害額に関わらず、入院日数、通院日数に応じてあらかじめ決められた金額が支払われます。したがって二重取りにはならず、損害賠償額から控除する必要はありません。
ただ、自分の自動車保険の「人身傷害保険」は、傷害保険という呼び名でありながら、被害者(自分)の損害の補填の意味合いと、自分の過失分については保険料の対価としての保険金の意味合いがあり、少々理解が難しいところです。