この場合の近親者とは、民法711条で規定されている「父母、配偶者および子」のことです。軽傷で通院のみの場合には認められませんが、入院等でやむを得ない事情が認められる場合は往復の交通費が認められ、日帰りが困難な遠隔地の場合には2名に限って交通費と宿泊費が認められます。
既に被害者が死亡している場合には、これらの費用は葬儀費の一部として認定されます。
事故が原因で留年してしまった場合は、1年間の授業料に相当する金額が認められます。
この場合の「学校」は、学校教育法第1条で記載されている以下の学校です。
小・中・高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校、幼稚園 です。
傷害の態様等から、タクシーの利用がやむを得ないと判断できる場合は、必要かつ妥当な実費を認めるとされています。
傷害の態様(怪我の様態)とは、骨折でギプス固定をしており、松葉づえで通勤ラッシュの電車やバスの利用が不可能な場合を想定しています。
交通事故の入院手術で知人等から血液の提供を受けて輸血した場合は、謝礼として献血者1名1回につき5000円を目安に認定されます。
手術のために剃髪した被害者がかつらを購入した場合は、実費が認定されます。
事故以前から装用していたかつらは、メガネのように人身損害としては処理できず、物損扱いとなります。従って任意保険の「対物賠償」への請求となります。
観光旅行のキャンセル料は、被害者本人の分について認定されます。ただし通院のみの軽傷な事案では、困難かもしれません。
また、自賠責ではコンサートや観劇のチケット代は認められませんので、任意保険との交渉次第ということになります。
結婚式は、新郎新婦どちらか一方が遭った事故でも、2名分認められるとされています。とはいえ、2名分とはどのように計算するのか?100名以上の披露宴がキャンセルされた場合はどうなるのか、については、私には経験がないので不明です。
今後経験をしたらこちらに報告していこうと思います。
車両の引き上げ作業は物損なので自賠責では認められませんが、車両と被害者を同時に引き上げた場合は、必要かつ妥当な実費を認定するとされています。
また、被害者の救助捜索のために応援をしてもらった近隣の人たちに対して、日当や謝礼金を支払った場合は、必要かつ妥当な実費を認めるとされています。
事故現場を通りかかった自動車が被害者を搬送したような場合、被害者の血痕によりシートが汚れ、破損することが考えられます。
このシートの修繕費や、被害者をくるんだ毛布やタオルが使い物にならなくなった費用なども認められます。
嬰児を独立した被害者としてみなし、その損害を認定します。
早産による保育器の使用や慰謝料が認定されます。
不幸にして死亡した場合は死亡事故として扱います。
嬰児について戸籍上出生届が出されていない場合は、医師の証明書が必要です。