有職者の場合は、原則として事故前1年間の実際の収入額と、死亡時(または後遺障害等級確定時)の年齢に対応する年齢別平均賃金額の年相当額を比較して、いずれか高い方を収入額とします。
ただし、年間収入額が年齢別平均給与額の年相当額を大きく下回る場合には、照会や調査が行われます。
なお有職者で事故前1年間の収入額を立証することが困難な場合
●35歳未満の者は、全年齢平均給与額と、年齢別平均給与額を比較して高い金額を採用します。
●35歳以上の者は、年齢別平均給与額を採用します。
有職者として取り扱いがなされます。収入額は「退職前1年間の収入額」が採用されます。
事故前1年以内に失業や退職をした者のことで、非自発的に廃業した事業所得者(自営業者)を含みます。
また、早期退職者または退職優遇制度等の適用を受けて退職した者で、「その後職業に就く意思があり、雇用保険の求職者給付を受けている者」を含みます。
それに対して定年退職者(上記に含まれない者)とは、早期退職者または退職優遇制度等の適用を受けて退職した者で、「その後職業に就く意思がなく、雇用保険の求職者給付を受けていない者」とされています。
廃業したのが自発的か、やむを得ず非自発的だったのか、については現実的には証明は不可能です。
従って、これは判断の基準に含まれないと考えた方がいいです。
ですがこの規定に従って誘導尋問をされるような場面に遭遇した場合、この規定を把握しているかしていないかで、結果が変わってくるのです。
有職者とは、事故以前より職業を有していたこと、稼働の対価として収入を得ていることが要件となります。
以下の確認がなされます。
@被害者の職業の有無
A給与所得者については、会社や雇用主から在職証明書の発行を受ける
B商工業・自由業者は、市区町村の所得証明、同業者組合等の職業証明の発行を受ける
資料の信憑性に疑義がある時はさらに調査を維持するとして、特に高齢者の職業証明書には注意するとされています。
C高齢の農業従事者については「被害者名義で作成された所得証明書」を出し、被害者自身の農業所得額が確認された場合に限って有職者として認定されます。
D有職者、無職者の認定は、被害者の死亡した時点(または後遺障害等級確定時)での判断となります。
・事故当時有職であった被害者が、事故により欠勤が続いて解雇されたケース
・自営業を営む被害者が、事故により経営が困難となり廃業し、死亡時に無職となったケース
これらはいずれも有職者として取り扱いがなされます。
また、事故時に有職であった被害者が、死亡時(または後遺障害等級確定時)までに定年退職となり、死亡時(または後遺障害等級確定時)には無職となった場合は「その他働く意思と能力を有する者」として認定がなされます。