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自賠責保険徹底研究

被害者または加害者から自動車賠償責任保険(自賠責保険)へ請求があった場合、自賠責保険から損害保険料率算出機構の中の自賠責損害調査事務所へ書類が回され、その自賠責損害調査事務所で損害の調査や損害額の算定がなされます。
その損害の項目や算定基準は、国土交通省の告示によって示されていますが、ここではその各損害項目について、支払いの基準と実際の運用について説明していきます。

ーーーー実費(積極損害)についてーーーー

◆治療関係費

◆看護料

◆通院交通費

◆諸雑費

◆義肢等の費用

◆診断書等の費用

◆その他の費用

◆認められない費用

ーーーー休業損害についてーーーー

◆休業損害の考え方

◆給与所得者(会社員)

◆就労期間が短い・再就職・内定者など

◆法人や団体の役員(取締役など)

◆事業所得者(自営業者)

◆家事従事者(専業主婦など)

◆学生・生徒

◆失業者

◆不労所得者

ーーーー慰謝料についてーーーー

◆傷害慰謝料(入通院慰謝料)

◆妊婦が事故で流産または死産した場合

◆後遺障害に対する慰謝料

◆死亡した場合の慰謝料

ーーーー逸失利益についてーーーー

◆死亡による逸失利益

死亡による逸失利益とは

交通事故で被害者が死亡した場合、もし生きていたら将来どれだけの収入(利益)を得られたか、ということが問題になりますが、この得られるはずだった利益のことを「逸失利益」といいます。

逸失利益の計算方法

逸失利益の計算は、年間収入額又は年相当額(死亡時の年収)から本人の生活費として一定割合を控除した額に、就労可能年数に対応するライプニッツ係数を乗じて算出します。

【逸失利益】=(【年間収入額又は年相当額】−【生活費】)×【就労可能年数に対するライプニッツ係数】

生活費を差し引くのは、本人が死亡してしまったのでそれ以降の生活費はかからないでしょ、という考えに基づいています。

自賠責での生活費の控除は、被害者に被扶養者が存在するときは、年間収入額又は年相当額の35%を、被害者に被扶養者が存在しない時は50%を差し引くことになっています。

※被扶養者が存在するとは何か?

これは、配偶者、未成年の子、65歳以上の父母のいずれかを扶養している場合とされております。
未成年のきょうだい等を扶養している場合は、実情を調査したうえで、被扶養者が存在すると認定します。
また、婚姻の届け出はしていない事実婚の配偶者も、民法上の配偶者に準じて取り扱いがなされます。

具体的には以下のことを確認します。

・戸籍上、未成年の子、65歳以上の父母のいずれかが存在する
・戸籍上、未成年の子、65歳以上の父母のいずれも存在しないが、被害者に配偶者が存在する場合で、被害者が戸籍筆頭者または住民票上の世帯主となっている場合
には「被扶養者あり」と認定されます。

ただこれらの条件を満たしていても
・被害者に配偶者がなく学生の場合
・被害者を家事従事者として逸失利益の算定を行う場合
には、被扶養者なしと認定されます。

分かりにくいのですが、事実として被害者の収入で被扶養者の生計が維持されていることが「被扶養者あり」の前提条件となりますので、上記のケースに該当しなくても、納税関係資料や家族構成・職業等の確認できる具体的な資料により立証できれば「被扶養者あり」と認定されます。

また、被扶養者の認定の基準時ですが、これは原則として被害者の死亡時となります。事故当時64歳だった被害者の父母が、被害者死亡時に65歳に達していれば「被扶養者あり」となります。

この他に逸失利益の計算式を構成する「年間収入額又は年相当額」は年齢や職業などによって違うので、それぞれについて以下の別項目で詳しく説明します。

◆後遺障害による逸失利益

◆有職者の年間収入額又は年相当額

◆幼児・児童・生徒・学生・家事従事者の年間収入額又は年相当額

◆その他、働く意思と能力を有するものの年間収入額又は年相当額

◆年金受給者の死亡逸失利益


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